TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

マイバックには、ミッフィーの絵柄が施されていて、これは私がポイントを貯めて手に入れた戦利品の様なものだ。


「お前は年甲斐もなく…」

「いいの」

「そういうの、ポイ活ってんだろ?」

「知らない」

「そう、ニュースくらい見なきゃ」


夫は色々言っていたど、好きなものは好き。

だから仕方ない。

それに、年甲斐ってどういう事?

おばさんなんだから、


「それ相応の身だしなみや、言動を心がけなさい」


と、でも言いたいの?

なら、あなたも大人らしく、


「いい加減、お前呼ばわりするのはやめたら?」


いつか言ってやりたい言葉を、私はいつも噛み殺している。


何故だろう?


私は最近、過去の夫からの言動ばかりを思い返しては、淋しくなったり怒ったりを繰り返している。

恋愛中には見つけられなかった、ほんのちいさなほころびが、私の理性を責め立てる。


結婚したら恋愛じゃなくなる。


だけど、そんなのは虚しいから、必死で私なりの幸せを見つけようと必死だった。

アンティークラジオもそう。

洗濯物を物干し竿にいっぱいに掛ける安堵感も、食事の準備やお揃いの湯飲みやお茶碗だってそう。

入浴剤にこだわるのも、綺麗な肌でいたいのも、お化粧や可愛い下着だって、全ては幸せを感じていたいからであって、そこに年甲斐なんて存在はしていない。

そんな事を考えながら、私はマイバックを片手にスーパーの食品売り場を歩き回っていた。

前までは、献立を考えるのも楽しい仕事だったのに。


「おいしい」


と、言ってくれていたのは恋愛中 ー 結婚してからはその台詞は激減した。

私が料理をするのは、それを待っている人がいるからで、味や見た目よりも作る過程が大好きなのだ。

自惚れかも知れない。

しかし、それがなくなってしまったら、私は何の為にご飯を作るのだろう?


すき焼きは関西風。

味噌汁は赤味噌。

ご飯は十八穀米。

お茶はカリガネ茶。

夫婦でやっと見つけたわが家の味も、時にはひとりぼっちで食べる日もある。

仕事の付き合いで、呑む機会が増える年末は特にそうだ。

夫は元々アルコールが弱いから、帰宅するとすぐに眠ってしまう。

ベットはひとつしかないから、私は申し訳なさそうに夫の隣に忍び込む。

あんなに好きだった彼の体臭、髪の毛の手触り、温かすぎる体温、骨張った腕や肩。

今ではそれに触れる悦びも無くなってしまった。

ベッドがもうひとつ欲しい…


キスをしなくなったのはいつの頃からだろう?

セックスをしなくなって、いったいどのくらい経ったのだろう?


とはいえ、夫と愛し合う行為すら想像出来なくなっていく時間の流れは、私にとっては残酷だった。

今日の献立は、まだ決まっていない。

セックスレス 私と教授の7日間

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

0

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚