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ライラ からぴち・シクフォニ♡
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「俺は……みんなにお祝いしてほしい。いつきくんがおらなイヤや」
「……可愛いね、しゅうと。ゆうたが好きになるの、わかるよ」
「う~! じゃあ今から俺のこと好きになって!」
「……ダメだよ。先にいっちゃんに出逢ちゃったんだもん」
くそぉ~、腹立つこと言われてんのに、めちゃくちゃ可愛い。こんなにテレテレしてるいつきくんを、あいつは毎日見てるんやろな! あいつ、ある意味億万長者やんけ。金より貴重なもん独り占めしやがって!
「なぁ、もう先生来るから、そろそろ返してもらっていい?」
「あぁん? ゴルァ、いつきくんをモノみたいに言うなや」
「だめだよしゅうと、ヤクザみたいになってる」
「まぁ、可愛らしいヤクザちゃんですこと。……ゔぎゃっ!?」
あいつの余裕ぶった態度にカチンときて、前を歩くあいつの股間に腕を突っ込んで、思いきり金玉握り潰してやった。ヤクザちゃんを甘く見んなよ。いつきくんにカッコ悪いところ見せて、一瞬でも嫌われろ!
「しゅうちゃん、廊下からすごい声したけど、何?」
教室に戻ると、りゅうせいくんが不思議そうな顔をしていた。
「いっちゃんが廊下で、金玉、 車に轢かれたみたいやわ。かわいそうに、一生使いもんにならんのちゃう?」
「はっはっはー」と乾いた笑い声を上げたら、流石のりゅうせいくんも「……悪魔だ」と呟いて、そっと前を向いた。
あーもう、それよりどうしよう。何にも解決せんかったやん。
ほんまにいつきくんは頼りになる人なんか? 結局「しゅうとはどうしたい?」って丸投げやったやんか。……まぁ、「可愛い」をいただいたから、うへへ、ええけど。
それにしても、今日の休み時間は暇や。
いっちゃんといつきくんは、二時間目まで帰ってこんかった。俺に恐れおののいているのか、その後は授業が終わると同時に二人で消えてしまう。
りゅうせいくんは相変わらずともやと教室の端っこでイチャイチャしてるし、ゆうたは友達と運動場で休み時間のたびにサッカーをしている。小学生かよ。
「……久々やな、一人なん」
ふぅ、と溜息をついて運動場を眺める。
ゆうたって、俺以外にもちゃんと友達おったんやな。そういえば、学校でゆうたと一緒にいるようになったのは最近の事や。
二人に恋人ができて、一人になった俺のところに、あいつはずっと来てくれていた。今まで仲の良い友達がおったはずやのに、それを置いてまで。
「しゅうちゃん、金曜どうする?」
ぼーっとしていると、りゅうせいくんが話しかけてきた。
「ん? 行かん。ちょっとバイト始めようと思って」
「あんなにフットサル命だったのに!? どうしたの?」
「あー……えっと、誕生日パーティーすることになって」
「しゅうちゃんの誕生日? 俺らが出すよ?」
「あー……」
あかん。自然な流れで「みんなでパーティー」の方向に進んでいってるやん。
「ゆうたも誕生日やねん。やから、一緒にしよ思て」
「え、そうなの? 流石に二人分はきちぃわ」
りゅうせいくんの言葉が胸に刺さる。……それは相手がゆうたやから? もし、いつきくんやいっちゃんやったら、無理してでも出してくれたんかな。
「……今年はゆうたと二人でお祝いしよおもてるねん。だから、気持ちだけで充分。ありがとうな」
「え~、寂しいじゃん。じゃあ来年はみんなで祝わせてね。約束!」
「うん」
……なんやろ、このモヤモヤした気持ちは。
そりゃあ、ゆうたとの始まりは最悪やった。でも、被害を受けたのは俺だけで、他の誰かに迷惑がかかったわけやない。俺が寂しかった時ずっと側にいてくれたのはあいつで、ゆうたはもうあの時の仇を恩で返してくれてるはずやのに。
「しゅうと!! 今日、一緒に帰れる?!」
放課後。どうせ又一人やろうと早々に教室を出たら、背後から猛烈な勢いでゆうたが追いかけてきた。あんなに一日中サッカーしてたのに、どこにそんな体力が残ってるん?
「ええけど……今日遊んでた友達は放っておいてええの?」
「うん、大丈夫! あいつら今からラウンド1行くんだって。それに、あれは『クッション』でもあるから」
「クッション?」
「……昨日の放課後、いっぱい一緒にいたし。今日もベタベタくっつくと嫌われるかな、って……」
「……え」
あー……また、昨日マクドでおちょぼ口してた時と同じ顔してる!
あかん、キュンとした! 迂闊にも、全力でキュンとしてもうたやんけ!!
「べ、別に友達なんやから、嫌われるとかないんちゃう? ほら、いつきくんもりゅうせいくんも、ずっと一緒におるけどずっと好きやし……」
「本当!? もう俺のこと嫌いにならない?」
「……うん」
『もう』って。まるで俺が前にゆうたのことを嫌いやったって、バレてるみたいな言い回しやん。……でも、そうか。あの暗黒期、俺はゆうたのことが嫌いやったんやな。
「よかった! じゃあ、明日から一緒にサッカーやんない!?」
「流石にそれは無理やわ。ゆうた以外知らん人やし」
「そっか! ごめん!」
俺が何を言うても、ゆうたは太陽みたいにずっと笑ってる。つられてこっちまで口角が上がってしまう。ほんまに俺のことが好きなんやなぁと思ったら、なんだか誇らしくて、嬉しくなってきた。
なくしたくないなぁ、こんな友達。……このまま、ずっと告白せんといてくれたらいいのに。
「あ、そうだ!誕生日パーティーなんだけど!」
「うん」
「せっちゃんとだいちゃんに声かけたよ! やっぱしゅうとと共通の友達の方がいいかなって」
「え……そうなん?」
「うん! 大学生だし実家だし、俺らよりお金に余裕ありそうだからね!」
「あー……そうなんや」
一瞬で、心臓のあたりが冷たくなった。
……なんや、俺。勝手に「二人きり」って思い込んで、あんなに悩んで、自惚れすぎてただけか。ダッサ、自分。