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加藤あいさ
21
哀 川 せ せ ら .
14,946
ねむ
222
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一階へ下りると、快晴の方に向かって何か飛んできた。
快晴「あでッ!!」
美虹「快晴君!!」
快晴の上半身にぶつけられて飛んできたソレは、上半身を滅多刺しにされて死んでいる志土の遺体だった。
美虹「そんな…!」
快晴「お、重い…ッ!」
血塗れの死体となっている志土を見て、美虹は瞳孔を開かせて美しい顔を焦燥に染める。そんな中快晴は、白目を剥いて志土の遺体を退かそうとしていた。
快晴「て、手伝って先輩…!」
快晴が美虹に志土を退かすように頼むが、彼女の視界の端に人影が映る。そちらを見てみると、血塗れの包丁を握っている路郎がいた。
美虹「どうして?貴方が?」
美虹は冷や汗をかきながら顎を引いて、返り血塗れの路郎を少し睨む。路郎は端正な顔をしているが優しそうな雰囲気が無くなり、光の無い目で美虹を見ていた。
快晴「せ、先輩!退かしてホント!」
両腕に力を込めるが、自分より体格の良い志土の遺体を退かす事が出来ず、再び美虹に助けを求める。
美虹は路郎から一度目を離して、快晴の上に乗っかっている志土の遺体をゆっくりと持ち上げて退かせた。
そのあと、志土の体を優しく地面に横たわらせた。
快晴「助かりました」
美虹「ええ」
快晴は立ち上がって路郎を見ると、包丁を持ったまま光の無い目で自分と美虹を見ていた。
快晴「もう隠す必要は無い…という事ですか?」
路郎「元々そんなに隠していないよ」
美虹「とうしてこんな事?」
路郎「キッカケは、初めて出来た恋人だった」
快晴「そう言えば、「ちさえ」さんの日記に、貴方に彼女が出来たって喜んでましたね」
路郎「ああ。僕もまさか彼女が出来るなんて驚いたよ。けどある時、僕の部屋で大喧嘩しちゃってね。頭に血が登って、気づいたら彫刻刀で滅多刺しにされた彼女の亡骸があってね」
光の無い目で優しいお兄さんのような物言いをして、過去を語る路郎。
そんな路郎の言葉を聞いて、快晴と美虹は冷や汗を流していた。
路郎「その時血塗れの彼女を見て『綺麗』って思ったんだ。けど、だんだん腐っていくからクローゼットに入れて隠したけどね」
快晴「そのあと、貴方のクローゼットから腐敗臭がすると気づいた母親を殺したんですか?」
路郎「ああそうだよ?その時も母親が綺麗だった。その時に、『血塗れの女性は綺麗』だと思ったんだ」
快晴「狂っとる」
路郎「ま、母親もクローゼットの中に入れたよ。腐敗臭で気づくから、一緒に住んでた父親が寝てる時に遺体は山に棄てたけどね」
快晴「「ろあ」さんは?」
路郎「ああ、妹も僕の部屋に勝手に入ってクローゼットの中覗いてたから、血塗れにして綺麗にしてあげたよ?」
快晴「父親は?」
路郎「父は勝手に自殺してた。多分地下に行って、妹殺す前に殺してた女の子達の死体を見て狂ったんだろうね。可笑しいよねー。腐敗臭になる前の綺麗な女の子しか地下に置いてないハズだけど」
美虹「……やっぱり、『女性嫌いの父親の呪い』なんて嘘だったのね」
路郎「ああ。僕が女性を血塗れに出来続ける為の嘘。ま、女性客は減ったけど『怖いもの見たさで来る女の子』とか、影野様のように『虐められてる女の子』とかはよくここに来店してくれるから、良いんだけどね」
美虹「音奈ちゃんと莉來ちゃんは何処!?」
路郎「二人が何処にいるか知りたいなら、君が血塗れになればいい。君が血塗れになれば、二人がいる所に案内してあげる…って言ったら、羽渡様は血塗れになってくれました。お二人同様動かなくなったし、男性だから綺麗では無いけどね」
端正な笑顔をしてそう言う路郎。狂気的で恐ろしく、快晴と美虹は眉を顰めた。
路郎「さ、次は君の番だ雨戸様。君は凄く美しい人だから、今まで見た女の子より大層綺麗になるだろうね」
血塗れのナイフを持った路郎が歩き始めて、美虹に近づいた。
快晴「美虹先輩を『美女』や思てるアホ共に、『どうぞどうぞ』言うてごっつ渡してやりたいねんけど、今回は相手が悪すぎるわ」
快晴はボソリとそう言いながら、美虹の右手首を掴んで、走り始めた。
路郎「夜まで鬼ごっこかな?それでも構わないよ。僕は別館の中、目を瞑りながらでも動き回れるからね」
路郎は笑顔で言いながら、二人を追いかけ歩き出した。
快晴「(フウちゃんだけ起きひんように強力な睡眠薬あげたんわ、こん時に邪魔されたら困るってことか…。てことは、今日この日。何がなんでも僕と先輩殺しにかかるなー)」
快晴はそう推測しながら、美虹の手を引いて走る。
快晴「(クッソ!フウちゃんおらんのキツい…!)」
護衛の為に呼んだハズの武闘家の幼馴染みの顔を思い浮かべて、快晴は額に青筋を浮かばせて、理不尽な怒りを今この場にいない風太にぶつけた。
快晴「ちょ…ハァ…ッ、もう…ッハァ…ッ走れへん…ッ!」
階段の前で快晴が早々に体力切れを起こしてうつ伏せに倒れてしまった。
美虹「ちょ、こんな時に!?」
快晴「ハァ…ハァ…」
路郎「もう終わりかな?」
路郎は包丁を持ってそのまま美虹に向かって飛びかかった。
美虹「だぁもう!だらしないわね!!」
美虹はピンヒールを履いた靴で飛躍して、路郎の包丁を避けた。倒れた快晴の体を肩に担いで、ピンヒールを脱ぎ捨ててそのまま走り出した。
路郎「……速い」
細身の成人男性の体を軽々しく担ぎ、陸上部員のような見事な走りを見せる美虹。
路郎「……昔陸上部だったのか?まぁどうでもいいか」
路郎は再び美虹と快晴を追いかけた。
路郎「おや?見失ってしまった。まぁいい。どうせ、あの別館からは逃げられない」
片方の口角をあげて不気味に笑いながら、路郎は美虹と快晴を探し始めた。
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