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ゆ(旧「ゆゆゆゆ」)
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ゆ(旧「ゆゆゆゆ」)
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胸元に掛けられた靴底の圧倒的な質量と、そこから細胞へ直接伝わってくる容赦のない圧迫。
ノスフェラトゥの喉からは、もはや意味をなさない分断された悲鳴が、夜の静寂を切り裂いては消えていった。
「……あ、……は、う……っ! 主、様……っ、あの方……っ!」
かつて数多の夜を統べ、冷徹な孤高を誇っていた吸血鬼の面影は、いまや完全に消失している。
衣服の隙間から覗く肌は、じっとりと滲む熱い汗と、主の指先から分け与えられた蜜の飛沫、そして自ら溢れさせた涙で濡れそぼり、蝋燭の残り火を受けて鈍く光っていた。
胸に刻まれた赤紫の烙印が、主の革靴の先で無慈悲に抉られるたび、その痛烈な刺激は脳を真っ白な閃光で焼き尽くし、下腹部を狂おしいほどの熱量で突き上げる。
スペクターは、赤いシルクハットの陰から、己の足元で弓なりに身を悶えさせる玩具の姿を、どこまでも冷徹で、同時に酷く歪んだ愛おしさを孕んだ瞳で見下ろしていた。
「本当に、言葉通りになったね。ノスフェラトゥ」
主の低い声音が、耳元ではなく、頭上から絶対的な審判のように降ってくる。
「あれほど頑なに誇りを守ろうとしていた怪物が、いまや私の足元で、もっと乱暴に踏みにじってくれと咽び泣いている。君のその誇り高い血は、一体どこへ行ってしまったんだい?」
「あ……、は……っ、それは、お前が……、あの方が、すべて、溶かした……っ!」
ノスフェラトゥは、自らの胸を圧迫する主の足首に、狂ったように両手を絡みつかせた。
手袋を剥ぎ取られたその指先は、主の上質なスラックスの生地を掴み、その仕立ての良い革靴の感触を、まるで飢えた獣が肉を貪るように自身の身体へと押し付ける。
自分から触れることは許されないという鉄の掟すら、今や「蹂躙される愉悦」という名の特権の前に、都合よく形を変えて彼を縛り付けていた。
主の足元という最も卑屈な場所で、最も無残に汚されること。
それこそが、今のノスフェラトゥにとって、己の存在を証明する唯一の調教の儀式だった。
「お前の……っ、お前の足の下でしか、私は、もう……息が、できない……っ。だから、もっと、強く……っ、壊れるほど、踏みつけて……!!」
自ら紡ぎ出す、恥辱に満ちた懇願。
その言葉自体が、彼の精神をさらに深い従属の底へと叩き落とす最高級の毒薬となる。
スペクターは、その浅ましいほどに純粋な忠誠の告白を受け、満足げに唇の端を吊り上げた。
「良い子だ。それほど望むなら、その身体が二度と私の前以外で立ち上がれないよう、芯まで私の質量を刻み込んであげよう」
おもむろに、スペクターは胸元に掛けていた足の力を一度抜き、完全にノスフェラトゥの自由を奪うように、その細い腰の境界線へと靴の先を滑り込ませた。
そして、衣服の布地を巻き込むようにして、彼の最も敏感な熱の中心を、じわじわと体重をかけるようにして深く踏み潰していく。
「――っ!? ぁ、あ……っ! う、あーーっ!!」
脳の許容量を遥かに超えた、暴力的とも言える快楽の濁流。
ノスフェラトゥの視界は一瞬で漆黒の闇へと反転し、次いで真っ白な火花が散った。
背中が激しく のけぞり、豊かな黒髪が床に 乱暴に 散らばる。
喉は 完全に 潰れ、言葉にならない 艶っぽい 悲鳴が、何度も 呼吸の 隙間から ほとばしり出た。
拒絶の 意志など、 疾うに 存在しない。
主の 足が 動くたびに、 踏みつけられる 痛みが、 衣服の 擦れる 摩擦が、 すべてが 脳内で 劇物のような 恍惚へと 変換されていく。
ノスフェラトゥは 溢れる 涙で 視界を 歪ませながら、 自身の 内側が 完全に 主の 色彩だけで 塗り潰されていった。
「……ぁ……、は……っ、あ、……っ」
激しい 蹂躙の 嵐が 過ぎ去った あとも、ノスフェラトゥの 身体は 床の 上で 狂ったように 震え続けていた。
完全に 限界を 迎えた 肉体は、主の 足が 離れた というのに、その 圧倒的な 質量と 残響に 支配されたままだ。
視界は 涙で 完全に ぼやけ、天井の 豪奢な 装飾が 歪んだ 万華鏡のように ぐるぐると 回っている。
衣服の 内側、主の 革靴に 徹底的に 踏み潰された 熱の中心は、未だに 脈打つような 痛烈な 疼きを 放ち、皮膚の 境界線が どこにあるのかさえ 分からなくなるほどの 快楽の 残火が、細胞の 奥深くを じりじりと 焼き続けていた。
スペクターは、ゆっくりと 己の 足を引き、長椅子に 再び 深く 腰掛けた。
赤い シルクハットの 陰から 覗く その 表情は、まるで 至高の 芸術品を 創り上げた 彫刻家のように、静かで、そして 冷徹な 満足感に 満ちている。
主は 濡れた 己の 靴の先を気にすることもなく、ただ 静かに、床の 上で 呼吸を 忘れた 魚のように 喘ぐ 玩具を 見下ろした。
「息を しなさい、ノスフェラトゥ。私の 許しなく、勝手に 意識を 閉ざすことは 許さないよ」
「あ……、……っ、は、あ……っ」
その 低く 涼やかな 声が 鼓膜に 触れた 瞬間、ノスフェラトゥの 身体は びくんと 跳ね上がり、強制的に 酸素を 肺へと 吸い込んだ。
主の 言葉は、いまや 彼の 肉体を 動かす 唯一の 動力源と 化している。
逆らうことなど、呼吸を 止める ことよりも 不可能なことだった。
ノスフェラトゥは 震える 腕に どうにか 力を込め、泥のように重い 身体を 引きずるようにして、再び スペクターの 膝元へと 膝行した。
完璧に 整えられていた はずの 衣服は 乱れ、はだけた 胸元からは 汗に 濡れた 肌が 覗き、そこには 主の 足によって 容赦なく 抉られた 烙印が、痛々しく、しかし 淫らに 充血して 腫れ上がっている。
彼は 主の 膝に 自らの 額を 押し付け、その 上質な 生地に 涙と 汗で 汚れた 顔を 擦り寄せた。
「スペ、クター……、私は、私は……ここに、います……。お前の、足元に……っ」
「分かっているよ。君が どこへも 行けないことも、私の 質量が なければ、形を 保つことすら できないということもね」
スペクターは 慈悲深く、そして 酷く 残酷な 手つきで、ノスフェラトゥの 濡れた 黒髪を 乱暴に 掴み上げ、その 顔を 無理やり 仰向けに させた。
完全に 蕩けきり、理性の 破片すら 残っていない 虚ろな 瞳。
溢れる 涙が 頬を 伝い、顎の 尖端から 主の 衣服へと ぽたりと 落ちる。
「本当に 美しい 奴隷だ。古代の 誇りも、かつての 傲慢さも、すべて 私の 足の裏で 砕け散って、ただの 従順な 肉塊へと 変わってしまった」
「あ……、は……っ、お前の、お前の 言う通りだ……。私は、お前に 砕かれる ためだけに、生まれて、きたんだ……っ」
自ら 紡ぐ 敗北の 告白が、何よりも 濃厚な 蜜となって ノスフェラトゥの 精神の 芯を 痺れさせていく。
主の 指先が、彼の 唇に 触れ、その 内側に ある 鋭い 牙を 優しく、慈しむように 撫でさすった。
噛みつく 自由を 奪われた 牙は、いまや 主の 指を 傷つけぬよう、ただ 震えることしか できない。
「今夜の 儀式は これでおしまいだ。衣服を 整えて、私の 足元で 大人しく 眠りなさい」
スペクターが 手を 離すと、ノスフェラトゥは 糸の 切れた 人形のように、主の 足元へと 崩れ落ちた。
主の 体温と 匂いが 染み付いた その 場所で、彼は 乱れた 衣服を 直す 気力すら 奪われたまま、ただ 己を 縛る 檻の 心地よさに 身を 委ねる。
与えられた 「お預け」の 切なさも、言葉の 「代償」も、そして 蹂躙された 「痛み」も、すべてが 主の 特権という 名の 沼の中で 融解していく。
ノスフェラトゥは、静かに 瞼を 閉じながら、次の 夜も また、この 圧倒的な 支配の 質量に 押しつぶされる 瞬間を、身体の 奥底で 狂おしく 待ち望むのだった。
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