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るあ💙
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姫宮いお
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第三話 向かいの席
家へ戻る。
扉を開ける。
メモリアルも当然みたいについてくる。
「帰れよ」
「キュ」
帰らない。
架はため息をついた。
テーブルへパンの袋を置く。
椅子へ座る。
向かいにも座った。
「……」
パンを取り出す。
メモリアルも見る。
「やらないぞ」
「キュ」
架はパンをかじった。
「……」
もう一口。
「……?」
いつの間にか、
メモリアルが椅子から身を乗り出していた。
「近い」
「キュ」
架はもう一口かじる。
「……」
仕方なく半分にちぎる。
「今回だけだからな」
メモリアルは飛びついた。
「キュ」
夢中でパンを食べ始める。
架は自分の分をかじった。
しばらく静かな時間が流れる。
「そういえば」
メモリアルを見る。
「お前、名前とかないのか」
「キュ?」
首が傾く。
「……」
パンをかじる。
「聞いてるのか?」
「キュ」
「……」
架はパンを食べ終えた。
立ち上がる。
袋を捨てる。
皿を流しへ運ぶ。
コップを手に取る。
ふと、おっちゃんの言葉を思い出した。
――今日はひとつでいいのか?
「……」
――いつもはふたつずつ買ってただろ。
手が止まる。
コップを流しへ置く。
「……?」
棚の奥。
同じコップがもう一つ並んでいた。
手に取る。
しばらく見つめる。
「……なんで2つあるんだ」
「キュ」
「……」
コップを戻す。
振り返る。
メモリアルがいない。
「……?」
部屋へ戻る。
「……」
いた。
ベッドの上。
架の枕を抱えていた。
「おい」
「キュ」
離す気はないらしい。
コメント
1件
第3話、読み終わりました。 すごく良かったです……静かなのに、一つ一つの動作に感情が乗ってて。 半分にちぎってパンを分けるところ、あれはもう距離が縮まってる証拠ですよね。それでいて「今回だけだからな」って言うのが架らしい。 そして「ふたつ」の伏線——おっちゃんの言葉が効いてる。 同じコップがもう一つある、っていう光景にゾッとしつつ、胸が締め付けられました。 過去に誰かがいたんだろうな、と一瞬で察せる構成が上手い。 最後、枕を抱えて離さないメモリアルに思わず笑顔に。 「おい」に対して「キュ」だけで主張を通すの、ずるい可愛さですね。 たつさん、この抑制の効いた文体、すごく好きです。続きが気になります。