まずは1年

阿部ー今度から、海行く時、俺が運転するね？

目黒ーどうしたの、急に。

阿部ー帰って来て、晩ご飯作るのも、めめで俺は何もできないし。せめて、運転だけはさせて？

目黒ーそんなのいいのに。

阿部ーううん、俺が運転する。

目黒ーじゃあ、頼もうかな。

阿部ーうん！

海に限らず、出かける時は出来るだけ阿部が運転しようと考えている。

練習日

阿部ー翔太、いいとこだったね。

渡辺ーあの辺は、あんなとこばかりだから、人が来ないし楽しいぞ。

ただし、俺たちが行ってるのは内緒な。

阿部ーうん、また俺たちも行こうって。

渡辺ー声はかけるな？

阿部ー分かった。

どこまでも秘密主義の渡辺たち。

あんな風にしないと、6年以上もバレないのかもしれない。

阿部ーまた4人で出かけたいね。

渡辺ーいいぞ、話しておく。

その機会は案外早くやって来た。

渓流沿いを歩く4人。

岩本と渡辺が前を歩いている。

どんどん上流に進む4人。

人がいなくなった。

岩本が渡辺の手を取る。

身体を寄せ合って手を繋いでいる。

それを見て、目黒も阿部の手を取る。

渡辺が楽しそうに笑う。

岩本は、そんな渡辺を優しく見守っている。

改めていい関係だと思う。

岩本が何かを言っている。

渡辺は首を振る。

目黒ー岩本くん、どうしたの？

岩本ーいや、抱きしめたいって言ったらダメだって。

渡辺ー当たり前だ、俺たちだけじゃないし。

目黒ー俺たちは気にしなくていいから。

渡辺ーそんなわけにいくか！

岩本ーあの岩のところで休もう。

目黒ーそうだね、昼ご飯食べる？

岩本ーいいな。

互いにランチボックスを持って来ている。

シートを広げて食べようとなった。

最近は渡辺も頑張って食べているらしく、岩本にあれこれ取り分けられている。

渡辺ー照、多い。

岩本ー食べろ。

渡辺ーぶ〜。

岩本ー食べさせてやろうか？

渡辺ーバカ、食べる。

目黒ー翔太くん、それくらい食べないと。

渡辺ーん〜頑張る。

阿部ー少食はちょっとマシになった？

岩本ーちょっとだ。

目黒ー岩本くん、こっちのも食べて？

岩本ーじゃあ、こっちも食べろ。

阿部ー美味しいね。

渡辺ー照〜。

岩本ーどれ食べたい？

渡辺ーあれとあれ。

岩本ーん。

阿部ー翔太、自分で食べな。

岩本ーいいんだよ、ただ甘えてるだけだから。

渡辺ー照！

目黒ー翔太くん、食べてるだけ？

箸いらないじゃん。

岩本ーいつもだ。

渡辺ー照、煩い。

阿部ー親鳥から餌もらう雛鳥みたい。

渡辺ー阿部！

岩本ー自分で箸持つと、なかなか食べないから。

目黒ーいつも？

岩本ーん。

目黒ー翔太くんの甘えん坊。

渡辺ーもういらない。

岩本ーこれくらいは食べろ。

渡辺ーん〜。

目黒ー頑張って食べて？

渡辺ーいっぱい食べた！

岩本ーどこが？だから・・

渡辺ーチビなんだろ！

岩本ー可愛いからいいけど。

目黒ー俺たち忘れてる？

阿部ーいつもそんな感じ？

岩本ーあぁ、いつも同じだ。

目黒ー岩本くん、苦労するね。

渡辺ー目黒！何だそれ！

阿部ー翔太、可愛いね。

渡辺ーふん！

すぐそばの渓流に行ってしまった。

3人はまだ食べてる。

岩本がおにぎりをポケットに入れる。

目黒と阿部が何だ？と思っている。

ランチボックスを片付けて、また歩き出す。

しばらく歩くと渡辺が言う。

渡辺ー照、お腹空いた。

岩本ーほれ、おにぎり。

渡辺ーん。

それを見て阿部が言う。

阿部ーめめ、岩本くん用意いいね。

目黒ーさっき、ポケットに入れてたの、このためだね。

阿部ー翔太は1度にたくさん食べれないんだね。

目黒ーそうみたいだね。うちでも、食べるの少ないし。

阿部ーめめの家に行くの？

目黒ー1番の仲良しの友達だから。

阿部ー友達？

目黒ーそう、友達。

1番仲良しって言った。

岩本は、何とも思ってないのだろうか？

渡辺と目黒が話してる時、岩本に聞いてみた。

阿部ーめめと翔太が1番仲良しって、照はどう思うの？

岩本ーいい関係だと思う。

阿部ーヤキモチ妬かないの？

岩本ーそれは阿部だろ？

阿部ーん〜。

岩本ー俺は気にしない。

つくづく6年以上って凄いと思った阿部だった。