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シオリ(白髪ロングの獣人《ネコ》)が固有武装持ちになったことを知った一同は俺の方をじっと見つめ始めた。(今日は四月二十七日)
「な、なんだよ。俺は別に何もしてないぞ?」
「ナオ兄に開発してもらったおかげで普通に使えるようになったよ。ありがとう、ナオ兄」
「し、シオリ! その言い方はマズイって!!」
『開発?』
「ナオト、あんたもしかしてついに手を出したの?」
ミノリ(吸血鬼)がゴミを見るような目で俺を見つめている。
「お、俺が幼女に手を出すと思うか?」
「思わないわ。というか、さっさと手を出しなさいよ。まったく、もう」
「え? 今なんか言ったか?」
「べ、別に何も言ってないわよ!」
「そ、そうか。なら、いいんだけど」
「ナオ兄のおへそ開発、気持ちよかったなー」
「シオリー、余計なこと言わなくていいぞー」
「分かった」
「ねえ、ナオト。今のシオリの発言は嘘なの? それとも本当なの?」
「え、えーっと、半分嘘で半分本当、かな?」
というか、固有武装に乗っ取られてる時の記憶あるんだな。
「へえ、そうなの。ふーん」
「あっ! そうだ! なあ、シオリ。マナミに固有武装を半分渡すんだろ? 今からできるか?」
「うん、できるよ。マナミちゃん、こっちに来て」
「え? あっ、うん、分かった」
マナミ(茶髪ショートの獣人《ネコ》)は恐る恐るシオリ(白髪ロングの獣人《ネコ》)に近づく。
シオリはマナミをその場に座らせると、マナミの猫耳を触りながら彼女の首筋を舐め始めた。
「し、シオリちゃん! そこはダメだよー!」
「リラックスして。力抜かないと固有武装に乗っ取られるよ」
「わ、私! 固有武装は、うっ! 自分で、ひゃん! 手に入れるから、はう! シオリちゃんのはいらないよー!」
「……マナミちゃんは現状維持できればいいの?」
「し、シオリちゃん、急にどうしたの?」
「私は嫌だよ。ナオ兄のこと独り占めしたいもん」
「シオリ、ちゃん?」
「マナミちゃんはいい子すぎるよ。もっと欲を出さないとナオ兄とられちゃうよ」
「きょ、今日のシオリちゃんなんか変だよ? 何かあったの?」
「マナミちゃん。マナミちゃんは何のために生きてるの? マナミちゃんはナオ兄のこと、どう思ってるの?」
「し、シオリちゃん、なんか怖いよ」
「怖い? マナミちゃんがいつまでもおとなしくしてるのが悪いんだよ。ねえ、マナミちゃん。マナミちゃんの命、もらっていい?」
「な、何言ってるの? そんなのダメだよ」
「ダメ? キミコちゃんっていう前例があるんだから別にいいでしょ?」
「し、シオリちゃん! まさか!!」
「そう、そのまさかだよ」
シオリ(白髪ロングの獣人《ネコ》)がマナミ(茶髪ショートの獣人《ネコ》)の胸骨付近に手を伸ばす。いけない! このままだとマナミの命が!! 俺がシオリの肩に手を伸ばした瞬間、マナミが叫んだ。
「私、まだ! 死にたくないよおおおおおおお!!」
「うおっ! ま、眩しい!!」
マナミの体から放たれている白い光は徐々に彼女の足に集中し始めた。
そう、つまりその光の正体は……。
「やったね、マナミちゃん」
「え? あ、あれ? こ、これって」
「マナミ、お前……それ!」
「はぁ……おめでとう、マナミ。あんたは今日から固有武装持ちよ」
ミノリ(吸血鬼)は少し嫌そうな顔をしているが同時に少し嬉しそうだ。
「こ、これが私の固有、武装」
「マナミの固有武装ってマナミの髪の色と同じなんだな。あっ、シオリの固有武装もそうだな。というか、シオリ。お前、わざとマナミを脅しただろ?」
「え? そうなの?」
「うん、そうだよ」
「な、なあんだ。じゃあ、その気は最初からなかったんだね?」
「その気? どんな気?」
「え? いや、ほら、私の命を取り込もうとしてたでしょ? キミコちゃんみたいに」
「私、そんなひどいことしないよ? でも、ちょっと試してみたいことはあるよ」
「試してみたいこと?」
「うん、けど今はそんなことよりマナミちゃんの固有武装に名前を付けてあげないといけないよ」
「あっ、そ、そうだね。え、えっと、ナオトさん!」
「おう、なんだ?」
「え、えっと、その……わ、私の固有武装に名前を付けてください! お願いします!」
「おう、任せろ!」
とは言ったものの……うーん、どうしようかなー。
まあ、あんまり覚えにくいのだと使う時に困るからなー。
「うーん、じゃあ『|摩訶不思議な猫の足《マジキャルレッグ》』でいいかな?」
「なるほど。前半はシオリちゃんと同じなんですね」
「いや、シオリのは魅惑的なって意味で使っててマナミのは摩訶不思議なって意味で使ってるから意味は全然違うぞ」
多分。
「そうなんですか! ナオトさんってやっぱりすごいですね!」
「そ、そうかな? 別に普通だと思うが」
「そんなことないですよ! ねえ? シオリちゃん」
「うん、ナオ兄はすごい。優しいしテクニシャンだしかわいい」
「えー? そうかー?」
テクニシャンは余計かなー。というか、俺はかわいいのか?
ナオト(『第二形態』になった副作用で身長が百三十センチになってしまった主人公)、今日はいつも以上にデレデレしてるわね。
うわあ、なんかミノリ(吸血鬼)がこっち見てるー。すっごく不機嫌そう。
「ねえ、シオリ。あんた、なんであたしのことミノリちゃんって呼ぶようになってるの? いつものようにミノリお姉ちゃんって呼びなさいよ」
「ミノリちゃんだけじゃないよ。ナオ兄以外、私の恋敵だからもうその呼び方はやめたんだよ」
へえ、そうなの。
「あっ、そう。あんたにも譲れないものがあるのね」
「まあねー」
「し、シオリちゃん。さっき試したいことがあるって言ってたよね?」
「え? あー、まあ、あるけど、それはマナミちゃんと私の固有武装の性能とか特性を把握してからでいい?」
「え? あー、うん、いいよ」
「了解。あっ、そうだ。マナミちゃん」
「な、なあに?」
「マナミちゃんのファーストキスもらっていい?」
「え? あー、うん、もちろんいいよ……って、ええええええええええええええええええええええ!!」