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「おい、見ろよビルダーマン! 本日の戦利品、街一番のチキン屋のスペシャルバーレルだぞ! 衣はカリカリ、肉汁は——」
開発室のドアがバタンと開き、茶色い巻き毛を揺らしながらシェドレツキーが踏み込んできた。
片手には油の染み出た紙袋が握られている。
彼がご機嫌でその香ばしい匂いを自慢しようとした、まさにその一瞬だった。
シュバッ!!
風を切るような鋭い素振りの音が室内を駆け抜けた。
「あっ」
シェドレツキーが固まる。
彼の掲げていた紙袋から、揚げたてのフライドチキンが一本、まるでマジックのように消え去っていた。
「ターゲット獲得完了デス!( `・ω・´ )」
数メートル離れた作業台の上で、ヴェロニカが素早い足さばきで見事な着地を決めていた。
その右手には、まだほくほくと湯気を立てるチキンがしっかりと握られている。
ピンク色の画面には、誇らしげなドヤ顔の顔文字が浮かんでいた。
( ̄∀ ̄)
「ヴェ、ヴェロニカ!? お前、何やってんだ!!」
キーボードを叩いていたビルダーマンが跳び起き、頭を抱えて焦りまくる。
「お前はロボットだぞ! 消化器官なんて積んでないし、油分が入ったら内部回路がショートして一発で壊れる! 食べられないだろ、そんなもん!!」
「Sir ビルダー、落ち着いてくだサイ。食べるなどという無茶な物理摂取はいたしマセン」
ヴェロニカはチキンを目の前にかざすと、テレビ画面の走査線をチカチカと高速発光させた。
「高解像度カメラによる視覚スキャン、および匂いセンサーによる分子解析を完了シマシタ。カロリー:推定350kcal、幸福度供給値:極めて高い……データとして鑑賞しました( `・ω・´ )」
「データとして鑑賞ってなんだよ! 鑑賞したら持ち主に返せ!!」
「えー……せっかくの美味(データ)なのにデスか?」
不満そうにコンセントケーブルの尻尾をパタパタと振り、チキンを愛おしそうに眺めるヴェロニカ。
ビルダーマンは額に青筋を立てながら、彼女からチキンを奪い返そうと手を伸ばす。
「返せ! シェドレツキーが泣くぞ!」
「渡せマセン! これは『Helper RO-Bots』としての食文化データの収集作業デス!」
「屁理屈こねるな! お前の食文化データ収集はただの強奪だ!」
息の合ったかけ合いで追いかけっこを始める一人と一機。
ビルダーマンが右へ回り込めば、ヴェロニカは「( > ▽ < )」と顔文字を変えて軽やかに跳び箱の要領で作業台を飛び越える。完全に漫才のボケとツッコミの構図であった。
「……なあ、ジェーン。あいつら何やってんの?」
入り口で呆然と立ち尽くしていたシェドレツキーが、隣で書類を確認していたジェーンに引きつった笑顔で尋ねる。
「さあね」
ジェーンはピンク色の髪を揺らし、視線も向けずに冷ややかに答えた。
「社長様は仕事そっちのけで自家製ロボットとコント中。で、あんたはチキンを奪われた哀れな被害者。……バカバカしくて見てられないわ」
「おいビルダー! 俺のチキンから衣のカスが落ちてる! 弁償しろよ!!」
シェドレツキーの叫び声も虚しく、開発室には
「Sir ビルダー、捕まえてみてくだサイ!( ≧ ω ≦ )」
「待てと言ってるだろヴェロニカ!!」
というドタバタ劇の騒音が響き渡るのだった。
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