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本読むのはスキ
授業聞くのはキライ
自分が目立つのはスキ
クラスの目立ちたがり屋はキライ
遠くでコソコソ言ってる奴キライ
無理に話しかけてくる奴キライ
他人がキライ
俺の世界は、キライなもので溢れすぎている。
だから俺は今日も、机にどっしりと乗せた自らの両腕に埋もれるんだ。
深く、深く。
1人もキライなくせに。
『同級生』
入学式翌日。
母親の手前、取り敢えず来た中学校はやはり小学校とそんなに代わり映えするはずもなく、酷く退屈だった。
目立つ連中は既にグループを作り始めつつ、みんながみんな、それぞれの出方を伺ってる
いちばんキライな時期。
「お前ギターやってんだって!?」
頭の上を一際威勢のいい声が通り過ぎていく。
自分には関係ないと決め込んで、動かずにいると
「なぁ、大森!」
まさかの俺の名が続いた。
のっそり顔を上げると、いかにも人の良さそうな笑顔。
こいつ絶対一軍陽キャじゃん…わざわざ俺なんかに話しかけなくても…
と思いつつ、数少ない音楽の話だったから、とりあえず話を合わせた。
とは言っても、…若井?が勝手に喋ってて、2、3回「うん」と答えただけだけど。
話の流れで、気まぐれにメアドと動画サイトのアドレスを教えた気がする。
どうせすぐ忘れられるだろうから、まあどうでもいい。
程なくして俺は、音作りに没頭した。
学校?なにそれ。
俺から音が出ない時に本読めば十分。
年が離れ、既に家を出た兄たちが残した本は面白いものが多い。
漫画、聖書、哲学本が特に面白かった。
周りが2年になる頃には、俺と学校という名の檻との繋がりは、気まぐれにアドレスを教えた若井だけになっていた。
律儀に毎回曲の感想を送ってくる。
ウザイ。お前のために作ってんじゃねえよ。
ついでに2年になった途端、ウザイやつは何故か毎朝家までやって来た。なんで俺の家知ってんだよ。
「今日学校行くー?」
「いかない」
もう何回目かも数えられない、定型のやり取り。
やばい、こいつはヤバすぎる。
俺の中で若井は一軍陽キャから暇人変態に降格した。
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第3話までの内容を繋げました。
もしも琴線に触れましたら、
この先は本編でお楽しみください。