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何色にも染まらないキミ

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水黒 第二話 あげたタバコ

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2023年04月17日

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画像 水黒編 第二話 あげたタバコ


「なぁ、ほとけ〜?全然呑んでなくね?もっと呑みーや?」

「いやいや、アニキ呑みすぎだからね?後、僕も結構飲んでるからね?」

セックスをした後に酒を呑む癖があるアニキ。僕は酒によって情事の記憶を誤魔化し、無かったようにするアニキの事をあまり好きでは無かった。だから僕は今日の夜を忘れようとするアニキの深層心理にのめり込むような物を用意した。煌々と光るLEDライトの下、僕はカバンに入れてあった水色の甘いタバコを取り出した。

「ねね、アニキ〜!確かアニキってタバコ吸えるよね?」

「まぁ、人並みにはな。社会人の嗜みに近い感じ。」

「じゃあ、このタバコあげるよ。コンビニで甘くてオススメです〜って押されて買ったんだけどさ。僕吸えないからアニキ吸っていいよ。」

もちろん、押されて買っただなんて嘘だ。アニキに物をあげたかった僕が言い訳をしただけだ。

「はは、ほとけは押しに弱いからな(笑)どんまいどんまい。ま、それで酒抜くわ。続きするやろ?」

「ん、分かってんじゃん(笑)流石ムッツリスケベ」

「はは、そんな男に育てたんわお前やけどな(笑)」

そうやって煽るように笑いながらタバコを手に取るアニキはやはりカッコよかった。人差し指と中指でタバコを持ち、僕みたいに大人振らないアニキ。静かに火をつけるその姿は誰が見ても綺麗だと感じるだろう。

斜め上を見上げ、煙を吐き出す姿に見惚れていると、アニキがこちらをゆっくり向いてきた。パチッと目が合い、僕がどうしたのかと首を傾げると、目の前に煙が広がった。仄かに甘いような煙に咳き込んでいると、アニキが口を開いた。

「ふふっ、ほとけやっぱこういうの慣れてないんやな。」

「お誘いだとしても急に煙かけるのは良くないでしょ、、、ってか慣れて無いわけじゃないし!?」

タバコの煙を吹きかけるのは夜のお誘いだと聞くけどまさかやられるとは、、タバコをプレゼントとして買った時少し覚悟はしていたが本当にしてくれるとは思わなかったので少しだけ満足感に浸れた。

「ん、じゃあ酒も抜けてきた頃やし激しくしてもらおうかな(笑)」

「いっつも思うんだけどなんでアニキは酒が入ってる状態じゃ激しくヤろうとはしないよね。なんで?酒入ってた方が欲に夢中になれない?」

「ん〜まぁ、欲に夢中になるのも好きやけどな〜チュッ、俺はほとけを堪能したいからな♡

「ん、可愛い事言ってくれるじゃん♡」

僕とのセックスを酒ですぐなかった事にしてしまおうとするアニキの考えを僕は忘れ、素直にキスをしてくれたアニキに僕は答えた。最初は苦い様に感じるが仄かに甘く感じるアニキの舌は僕たちの関係のようだった。愛はないが好きがある、そんな感じだ。

そもそも僕がタバコという消耗品をプレゼントしたのはアニキと会う口実だった。元々は僕だけの匂いを付けるためで買ったタバコだが、僕は気付いてしまった。消耗品ならアニキに無限に奢れるのだ。一石二鳥とはまさに事のこと。そんな事を考えながら僕はアニキに愛を伝えた。


「アニキ、大好きだよ。」


次回に続く

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