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今日は俺の人生で1番最高な日。
俺が命を懸けてでも守りたいヒトとの結婚式。天気も晴れで、この世の全てが俺たちを祝福してくれてるような幸せな日。式も、俺たちの憧れていたガーデンウェディング。今の季節は春。暖かで柔らかい日光が式場を照らす。
そろそろ花嫁の入場だ。大きなドアが小さく音を立てて開く。この日のために、何ヶ月も悩んで決めたウエディングドレス。
ー眩しい。
あれ、
花嫁がいない。
そこから先はほとんど覚えてない。
俺の家族によると、俺は式から数日間、寝込んでいたらしい。そんなことも覚えてない。2週間たった今でも、料理が喉を通らない。味も感じない。一人暮らしには似合わない、大きめのソファに座る。予定では今は行方不明の「あのヒト」と座って映画を観るはずだったのに。俺はふと思い、寂しさを紛らわすためか、テレビをつけた。
つけなければよかった。
デカデカと見出しのところに、
ー花嫁姿の女性死亡 自殺かー
出てきた名前を見てみる。写真を見てみる。 やはり。見間違えではない。
見間違えであって欲しかった。でもいくら見ても見覚えのありすぎる名前とその顔は変わらない。視界が大きく揺れた。俺はソファに倒れ込む。電話の音がずっと鳴り響いているが、そんなのは気にならない。俺はゆっくりと意識を失った。