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「……っ」
(やだ、何考えてるの? 仕事中! 今は病棟よ!? あんな事思い出しちゃうなんてっ! 破廉恥、破廉恥すぎるわ私っ……!)
必死に邪念を振り払おうとするが、一度溢れ出した「熱の記憶」は止まらない。ナオミに骨抜きにされたあの感覚が、じりじりと全身の神経を熱く侵食してくる。
「おやおやぁ? 安住ちゃん。急に顔を真っ赤にしたかと思えば今度は慌ててお化けでも見たような顔をして……。一体どうしたんだい?」
「へっ!? 」
ベッドの上からのんきに投げかけられた声に、穂乃果は飛び上がるほど驚いて我に返った。
見れば、加藤さんがニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべながら、特等席から穂乃果の顔を観察している。
「いや、その、何でもありませんっ! 加藤さん、寝衣のボタン、掛け違えてますよ!」
「誤魔化しちゃってさ。今、完全に『好きな男のこと』を考えてただろ?ひょっとして、昨夜はお楽しみだったのかな? 恋する乙女の顔をしておったぞ。ワシがお尻を触ろうとしたときの、あの般若のような冷たい目とは大違いだ」
「なっ、ち、ちが……っ」
「違うのかい? ふぅん?」
「~~~っ! もう! からかわないで下さいっ! は、般若だなんて人聞きが悪いっ! もう、加藤さんがセクハラしようとするからですよ!」
(好きな男って……っ私とナオ ミさんはそんなんじゃ……あぁでも、することはシちゃったわけだし……って! 違う違うっ!ナオミさんは女には興味ないって言ってたし――……。でも、じゃぁ昨夜のアレはなんだったの?)
「へぇ。真っ赤になって、可愛いじゃないか。惜しいなぁ、ワシの相手もしてくれんかなぁ。なんて言うと、真鍋先生に怒られてしまいそうだな。はっはっは」
「……っ、それだけ元気なら問題なさそうですね!失礼しますっ」
恥ずかしさのあまり耳の付け根どころか、首筋のキスマークまで真っ赤に染め上げながら、穂乃果は逃げるように新しい点滴をスタンドに引っかけてその部屋を後にした。
あや