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あまいキャンディを食べさせて
ちゅっ
飴玉のように甘い口付けをされる。詩葉は理解が追いついていないようで、凜のことを引き剥がした。
「な、なに、して、、、」
詩葉は顔を赤くして、凜のことを睨む。凜はとても綺麗な優しい微笑みを詩葉に見せたあと、甘く優しい声で言った。
「詩葉ちゃん、俺が一生幸せにしてあげる。だからさ、俺とずっと一緒にいてね?」
詩葉はようやくそこで理解した。今まで自分がやってきたことは、もしかしたら間違いだったのかもしれない、、、と。
駅に着き、周りをキョロキョロと見渡す。ちょうど1週間前、詩葉は一人で引っ越すことになったのだ。理由は前の高校で不登校だったからである。母親にさすがにマズいと言われ、自分の実家から離れている東京に引っ越すことになった。さすがに母親達は祖母や祖父のこともあり、実家から出ることは出来なさそうだったため、一人でくることになってしまったのだ。
(と、とりあえず、東京についたってお母さんにLIMEしよ、、、)
ポケットに入っていたスマホを取り出す。そこでお母さんにメッセージを送った。
(さて、どこに行くべきなんだ、、、?)
詩葉はあまり家を出たことがなく、引きこもりのような生活を送っていた。そのため、自分がどこに行けばいいのか分からないのだ。
「ま、まあ、適当に歩いてみるか、、、」
しばらくして、詩葉の手にはたくさんの紙袋が持たれていた。
(あ、あかん、、、美味そうだと思ったもの全部買ってたら、こんなことになってた、、、)
重い。荷物が多すぎて、一番最初に持っていたときよりも重くなっている。サンダルを履いてきている詩葉は、足が靴擦れで痛くなっていく。
(や、やばい、、、。とりあえず、座れるところ)
ちょうどあるベンチの上に急いで座る。そしてカバンから絆創膏を取り出した。過保護なお母さんからもらった救急セット?のようなものだ。靴擦れの場所にズレないようゆっくりと慎重に貼り付ける。危機一髪。応急処置的ななにかは出来たようだ。
(それにしてもどうしよ、、、。こっから私、どこに行けばいいんだろ、、、)
ベンチに腰をかけながらボーッと考える。座っていても靴擦れの痛さはじんじんと伝わってくる。一先ず、この靴擦れをどうにかしないといけない。痛くなくなるまで待つ。それしかないようだ。
(いやだな〜。せっかく東京に来て母さんを安心させられると思ってたのに、、、)
(こんなんじゃまた心配かけちゃう、、、)
詩葉は周りに人が聞こえてしまうくらい大きく深いため息をつく。
(こんなことなら、東京になんて来なければよかった、、、)
「おじょ〜さん。どうしたの?なにか困り事?」
「っ!?」
後ろから急に声が聞こえ、体がビクッと動く。そのまま勢いよく後ろを振り向いた。
「わわっ、怪しいものじゃないよ〜。困ってそうだったから、話しかけただけ」
「え、えっと、、、」
振り返るとそこには、老若男女を虜にするくらい綺麗な少年が立っていた。チャラそうな見た目の少年で、髪は群青、瞳は真紅色だ。
「そんなに怪しまないで。俺の名前は凜。あんたは?」
人形の硝子玉のような瞳で詩葉の顔を覗き込む。
(ち、ちかっ!?)
「ねぇ〜、あんたの名前は〜??」
「わ、私?私の名前は、、、詩葉、です、、、」
詩葉は少し警戒したように凜のことを睨む。凜はそんな詩葉に微笑んで手を取った。
「よろしくね。それで、なにかあったの?困ってそうだったけど、、、」
「え、えっと、、、その、、、」
怪しい。詩葉は母親に言われたことを思い出していた。「知らない人について行っちゃダメよ!!特に都会の人は怖いんだから!」とかそんなことを言っていたような、、、。詩葉は目を逸らしながら言う。
「く、靴擦れが痛くって、、、」
「、、、ぷっ、ははっw詩葉ちゃん、嘘つくのへた〜w」
「なっ!!嘘なんてついてなっ」
「ねぇ、住むとこ困ってるんでしょ?」
「、、、」
詩葉はあからさまに黙る。凜はその反応を見てまたくすくすと笑った。
「詩葉ちゃんがよかったらだけど、俺と一緒に住む?」
「、、、え?」
凜は小悪魔のように笑う と、詩葉に顔を近づけて、話を続ける。
「実は俺、今一人暮らしで寂しいんだよね。だからちょうど退屈しない相手が欲しかったの」
「ね、詩葉ちゃん」
「俺と、同居しない?」
「、、、は?」
これが、全ての始まりである。