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「嫌なことも良いことも、記憶に刻まれたらなかなか忘れることなんてできないと思う」
その言葉に実里くんの表情が少し歪んだ。
「実里くん自分のトラウマと向き合うって言ってたでしょ。それなら誰かのせいにして、それを向き合うなんてことにしたらだめだよ」
「……じゃあ、どうしろって言うの」
学校で見かける実里くんは背中の傷のことがあるからなのか、いつも事情を知らない人とは一定の距離を保っているみたいだった。
知られるのが怖くて、自分の本当の姿をいつも隠したいから夏でも肩にカーディガンをかけて隠しているように私には見えていた。
周りが、だけじゃない。本当は誰よりも実里くん自身が気にしているんだ。自分の過去を。
「……消えない傷を負ったこんな俺のことを見られるのが怖い。この傷を知られたら同情はされても、誰からも本心で好かれないんじゃないかって思うと、俺自身も自分を好きになれない」
「実里くんはわかってないよ」
「……は?」
「潤も他のみんなだって実里くんのこと大好きだよ。その気持ちは同情なんかじゃない。実里くんって存在がみんな大事なんだよ」
同情だけで、潤があんな風に実里くんのこと大事に想うの? 閉じ込められた日だって、倒れた日だってみんな必死だった。
実里くんを助けようって、守りたいって。
きっと潤だけじゃない。他のみんなにとっても実里くんは弟のようにかわいいんだよ。
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