テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
第47話 拗れた話に現る面倒事
md side
工房の中は思っていた以上に広く、地下へ続く階段もあった。作業場には多くのドワーフが剣を鍛錬していた。カンッ…カンッ…という音が空間の中に木霊する。クリスは自分の持ち場と思われる場所に行き、他のドワーフと同じく剣の鍛錬を始めた。僕は魔石に術式を込めるために少し離れた場所に用意された机と椅子に向かった。ラダオは剣を鍛錬している様子がよほど珍しかったのか、目が釘付けになっていた。しばらくそのままにしておこう…。僕は既に用意されていた魔石と、その魔石に込める術式について書かれていた資料を見つめ、作業を始めた。正直、術式に関しては毎日やっているのでいつもの作業の簡単バージョンみたいなもの。それでも何個かは複雑になっている術式を組み込むそう。まぁその程度で難航することはないが。
作業を始めてからどれくらい経ったのか。それを確認する間もなく集中して術式を組み込み、気づけばあと数個。剣の鍛錬も終わりに差し掛かっていた。その時、工房の扉が勢いよく開いた。
「おい、注文の進捗はどうだ!」
親方
「…あともう少しで完成だ。」
「もう少しだぁ!?俺が来る頃には終わってろよ、このドワーフめが!」
…何だ、この不愉快な奴は。僕はたまたま近くにいたクリスに小さく耳打ちをした。
ガイスト(md)
「…ねぇクリス、そこにいる不愉快な奴って何者なの?」
クリス・エル・セリスト(ch)
「エルフのお偉いさんだ。お前だって分かってるだろ?エルフとドワーフの上層部は揉めてるって話。親方はもちろん、ここにいる連中はそんなの知らんみたいな感じだがな。」
md
「え…それじゃあただの巻き添え食らってるだけってことじゃん……。」
ch
「はぁ…埒が明かなそうだな。ちょっと仲介してくる。」
そう言ってクリスは親方とそのエルフのお偉いさんの元へ向かった。なんか、もっと話が拗れそうな感じがするの…僕だけ?
ラダオ・ヴェルディオン(rd)
「クリスに任せて大丈夫なの?」
md
「全然大丈夫じゃないと思ってる。」
どうやらラダオも僕と同じ意見だったらしい。いざとなったらラダオに仲介に入ってもらおうかな。僕、知らない人と話すの苦手だし…ラダオはグナーデの第三王子だから、多少相手を丸めさせることができるかもしれないしね。
ch
「おい、その辺にしとけよ。お前らが無理難題を押し付けながらも何とかやってんだ。文句言うな。」
「はぁ?…って誰かと思えばろくな実績もないくせに七つの王冠になったクリスじゃねぇの。何でお前なんかがその席にまだ座ってんだ。そこに座んのは底辺のドワーフなんかじゃねぇんだよ!」
ch
「底辺だぁ?こっちはちゃんと努力して成り上がったんだ。俺を席から下ろしたいんなら、それ相当の実力をつけてから言えよな。」
「な、何を生意気な…!」
あー…うん、やっぱ話拗れたわ。知ってた。あの状態じゃここでドンパチやる流れになるのかな。どうせクリスの圧勝なんだろうけど、あんまり事を大きくしたらもっと面倒くさくなるんだろうなぁ…。まぁ僕は無関係だから責任追及はないだろうけど。
???
「そこで何をしている。」
聞き馴染みのある声が聞こえたので、入口の方を見ると、そこに見慣れた姿がそこにあった。
md
「エレナ…。」
エレナ・シュレイザー(el)
「聞こえなかったか、何をしていると聞いている。」
「そ、それは…こ、コイツらが俺を侮辱してきて……。」
ch
「はっ!侮辱してたのはそっちだろ。変な誤解与えんじゃねぇよ。」
el
「2人の言い分は分かった。確かにクリスの口調は良いものとは言えないが嘘は言ってないな。クリス、そしてそこの役員。話が拗れる前に一度役場で話を聞こう。 」
そう言ってエレナは、着いてくるように言うと2人は大人しく着いて行った。エレナはドアに手をかけようとした時、伸ばした手を止めて、振り返り僕を見た。
el
「ガイスト。この手紙を渡しておく。詳細が書いてあるから直ぐに読んだあと、指定の場所に来てくれ。」
それだけ言うとエレナは2人を連れて行ってしまった。この工房の中に静寂が走った。
rd
「それ、何が書いてあるの?」
エレナが渡してきたものだから、意味の無いものではないだろうけど、何か凄く怖い。封を切って中の手紙を確認すると、そこにはエルフとドワーフ、両種族の合同会議の招待状だった。これに参加しろって?僕関係なくない??というか僕がここにいなくても伝達バトでも何でもして手紙を届けるんだろうな。ていうか絶対参加だ…終わった……。行きたくないなぁ……!
…なんて思いも虚しく合同会議の日が来てしまった。
To Be Continued………
#我々だ
紅茶@推し多
75
389
#らっだぁ運営
くろだんご
417
ちくわ
1,313
コメント
1件
第47話、読みました! エルフの偉いさんが突然の乱入で、工房の空気が一気に張りつめたのが伝わってきました。クリスの啖呵が痛快だったけど、ガイストの「拗れそうな感じするの…僕だけ?」って小さな不安がまさに読者の気持ちで、思わずうなずいてしまいました。最後にエレナから手紙を渡されるところ、巻き込まれ感がじわじわ来て続きが気になります…!