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私達は卵焼きとベーコンの朝食を食べた。
「ねぇ、ゼルゼディス様。」
「何ですか?」
「宮廷魔導士も辞められた事ですし、収入がほとんど無いのですよね?」
私は遠慮なく言う。
「そうですね。
野菜ならば、領民が沢山持ってきてくれますけど、それだけでは生きていくだけで精一杯でしょうね…」
ゼルゼディス様も頷いた。
「でしたら、商売をしてみたらどうでしょうか?」
「商売…ですか…?
しかし、売る物もありませんし…」
ゼルゼディス様は困惑気味に答えた。
「この卵焼きを売ったら良いと思いますわ!」
「え?
卵焼きを…?」
「えぇ、出来たての卵焼きを隣町で売ったら結構人気が出ると思いますの!」
私は張り切って言う。
「うーん…
しかし、出来たての食べ物を売るとなると、魔法簡易キッチンくらいは無いと…」
ゼルゼディス様が考え込む。
恐らく結婚式でお金を使った為に、もう貯金は無いはずだ。
「私の貯金がありますわ。」
私は言った。
「えぇ…!?
でも、それはあなたの大切な…」
「夫婦になったのですから、私の貯金はゼルゼディス様の物でもあるのです。
ぜひ、魔法簡易キッチンを買うのに使いましょうよ。」
私は言った。
「でも、あなたは最近化粧品も切らしてて…
いえ、素顔でも美しいですが。
着るワンピースもいつも同じだし…
それでも輝いてますが。
私の為にそこまで…」
ゼルゼディス様はさりげなく私を褒めているが…
「私にはもう化粧品も煌びやかなドレスも必要ありません。
それでも幸せなのですから。」
私は微笑み言った。
「エシャロット…」
何だかゼルゼディス様の瞳は潤んでいるようだ。
「早速、簡易キッチンを買いに行きましょう!
行きたく無いけど、王都に行かなくては…!」
私は食器を片付けながら、そう言った。
そうして、また馬車で王都サルベアに向かったのだった。
ゼルゼディス様が宮廷魔導士を辞めたのにも関わらず、頻繁に王都に行っている私たち…
まぁ、仕方ないか。
そんな事を思いながらも、2日後に王都サルベアに到着した。
魔道具屋さんに入り、魔法簡易キッチンを選んだ。
「1番安いので良いですよね?」
ゼルゼディス様はどうも根っからの貧乏性らしい。
「安いのはすぐに壊れますわよ。
この中間のお値段のにしましょう。
折りたたみ式だし、持ち運びも楽ですわ。」
という訳で、その魔法簡易キッチンを買った。
帰り際…
また、2日間あの馬車に揺られるのか…
そう思った。
私はどうも酔いやすい体質らしく、馬車はそんなに好きではなかった。
すると…
「ねぇ、エシャロット。
たまには空の旅を楽しみませんか?」
ゼルゼディス様はにっこりと笑ってそう言った。