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雪が深々と降り積もる山脈地帯に、フィンたちは足を踏み入れていた。サンタクロースとの激闘から数日後、休む間もなく新たな異変の報告を受けたのだ。
「村人の話では、この辺りに“白い巨人”が出没して、家畜や人をさらっているらしい。」ドレイクが地図を見ながら説明する。
アリシアは厚手のコートを着込みながら、眉をひそめた。
「白い巨人…雪山に現れる伝説の怪物、イエティのことね。でも、本当にそんなものがいるのかしら?」
ローザリンドは弓を握りしめ、警戒を強める。
「伝説だろうと現実だろうと、被害が出ている以上、見過ごせないわ。」
フィンは雪を踏みしめながら前を見据える。
「どんな相手でも、俺たちのやるべきことは変わらない。村人たちを守る。それだけだ。」
その時、遠くから低い咆哮が響き渡り、全員の背筋が凍りつく。
「今の…聞こえたか?」ドレイクが小声で言う。
「間違いないわ。あれがイエティの声…!」ローザリンドが矢を番えながら応じた。
フィンたちが注意深く進んでいると、突然、雪の中から巨大な影が飛び出してきた。それは高さ30メートルを超える巨体を持つ真っ白な毛むくじゃらの怪物だった。
「イエティ!」アリシアが叫び、咄嗟に魔法で氷の盾を展開する。
イエティは強力な腕を振り下ろし、雪を吹き飛ばす衝撃波を放つ。フィンたちは散開して攻撃の準備を整えた。
「思ったよりずっと大きいぞ!」ドレイクが剣を抜き、イエティの横から突撃する。
しかし、イエティの動きは予想以上に素早く、ドレイクの攻撃を避けて逆に鋭い爪で反撃してきた。
「うわっ、速い!?」
ローザリンドが即座に援護射撃を放つが、矢はイエティの厚い毛皮に阻まれ、深く刺さらない。
「これじゃ、ダメージが通らないわ!」ローザリンドが歯を食いしばる。
「ただの力押しじゃ倒せない。弱点を見つけるしかない!」フィンが冷静に仲間たちに指示を出す。
アリシアが周囲を見渡し、雪原の地形を利用するアイデアを思いついた。
「この雪の下には凍った湖があるかもしれない! 罠を仕掛けましょう!」
フィンはその案にうなずき、イエティを湖の中心に誘導する作戦を立てた。
「全員で注意を引いて、ここに誘い込むんだ。タイミングを見て氷を割る!」
作戦が進行する中、ドレイクが挑発的にイエティに声をかける。
「こっちだ、この大きな毛玉野郎!」
イエティが怒り狂ってドレイクを追いかける間に、アリシアが魔法で湖の氷を薄く削り始める。一方、ローザリンドは矢でイエティの注意を分散させ、フィンが最後の決定打を狙う。
「今だ!」フィンが叫び、アリシアが氷を完全に破壊する魔法を放つ。
イエティは自重で氷を突き破り、凍った湖の中に落ちた。しかし、その怪力で水中から再び這い上がろうとする。
「終わってない!」フィンは跳び上がり、剣に全力を込めてイエティの頭部を狙った。剣が命中し、イエティは動きを止めた。
倒れたイエティの体から、光の玉が浮かび上がった。それは消えかけていた村人の魂だった。
「これは…村人たち?」アリシアが驚きの声を上げる。
魂はやがて雪の中に吸い込まれ、静かに消えていった。その光景を見て、フィンは拳を握りしめる。
「イエティはただの怪物じゃなかった。きっと何かに操られていたんだ…。」
「サンタクロースの残した影響かもしれない。」ローザリンドが呟く。
「だとしたら、これが最後じゃないな。」ドレイクが険しい顔で前を見据えた。