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一緒に食べたハンバーグは、もはや来都くんに夢中で味がしなかった。ゆっくり嗜む暇もなく、あっという間に食べきった。私がこのハンバーグを奢らなくては…咄嗟に言い出し方を考えた。
「今日はすっごく楽しかったし本当に美味しかった!お礼に私から奢らせて?」
これで来都くんも折れてくれるだろう。と思ったが、不満そうな顔をしている。
「僕だって、デビューして一人前だから大丈夫!!」
末っ子メンバーの彼は、メンバーに奢られることしかなく人に奢ったことがない。それがとても寂しかったらしい。というのが、ファンである私にはよくわかってしまった。
「ごちそうさま!ありがとうね!」
結局奢らせてしまった…来都くん、めっちゃ嬉しそう。
「人に奢るって気持ちいいね!いい経験をありがとう!僕の奢り第1号ね〜」
ついに私は、嬉しい称号を得てしまった。彼のことは大好きだし、好きすぎるけどこれ以上がないとわかっているのが辛い。
これ以上にもなってはいけない気持ちがあるおかげで、自分は制御できている。今日は仕事が残っているから帰ることにした。
「本当に今日はありがとうね!仕事の残りがあるから先に帰るよ〜。2人も気をつけて帰ってね!楽しんでっ」
帰路を向いた瞬間、この夢を終わらせたくないと泣きそうになりながら歩き始めた。