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秦中先生短編集

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秦中先生短編集

23 - 第23話数学全然わかんねぇや

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2025年06月15日

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※飯綱さん学生がんばってます









🎭「…お前補講何回目?」

🧣「…28超えたあたりから数えてないっす」


他の生徒が部活を終え、寮に戻っている頃、飯綱は補講を受け続けていた。再テスト…類題、しかも教科担当の先生が諦めて同じ数字の問題も多少入れたが結局0点。あまりに酷いため、学園長に話が回ってきた。飯綱は、学園長の言うことなら4割くらい素直に受け入れることがあるからだ。そう言われてしまってはやるしかないので、学園長は渋々飯綱の補講を見ている


🎭「何がそんなにわかんねぇんだよ」

🧣「まず、問題わかんないっす」

🎭「…よし、振り仮名全部振ってやるからそれで一回やってみろ」

🧣「うっす」

























🎭「おいクソガキ。これはどういうことだ」

🧣「さ、さーせん…」


振り仮名を振ったはいいものの、飯綱は当たり前のように0点だった。しかし、別にこれでふざけているわけではないのだ。解いてる最中も、時間いっぱい悩んで解こうとしてはいた。バックれるようならもう少しキツくいけるのだが、解こうとはしていたためにかなり抑えている


🎭「…」

🧣「…」

🎭「わりぃ。何がわかんねのかわかんねえんだけど」

🧣「煽ってます?」

🎭「いや、マジで」


今回、足し算引き算できれば済む、という話でもないが、問題が理解できれば解けるはずなのだ


🧣「わかんねぇんですよそれが…」

🎭「…しょうがないですね。土曜、学園長室にきてください」

🧣「は?」

🎭「再テスト用の授業してあげますから。…今水曜日ですけど、土曜までに合格できないでしょう?」

🧣「はい」


およそ教育者とは思えない事を言ったが、特段気にかけることもなく、むしろ胸を張って頷く。先にこいつに危機管理能力を身につけさせた方がいいかもしれない





















🧣「学園長〜」

🎭「ノックをしろといつも言ってるでしょう…」

🧣「学園長室に頻繁に出入りするのなんて俺と凛太郎と柳田くらいじゃないっすか」


恐らく教師達よりも学園長室に入り浸っている3人。おかげで学園長室は毎日賑やかで3日ごとに内装が変わる


🎭「…まあいい。さっさと座れ」

🧣「へーい」










🎭「なんべんいったらわかんだよ、このダボ!!!!!」

🧣「だから、何言ってるのかわかんないんですって!!!!!」

🎭「ああ?!んなもんこーしたらおわんだって!!」

🧣「おわんねぇからわかんねぇんだよ!!!!!!」


全く理解が追いつかない飯綱に、学園長…道満は堪忍袋の尾が切れた。怒鳴れば、さらに大きい声が返っていく。分からないことが分からない道満。分かる意味が分からない飯綱。双方イライラが最高潮に達していた


🎭「ったく……。お前、情報処理はできるんだよな?」

🧣「…基準によります」

🎭「ならワンチャン…ほれ」

🧣「…コレは?」

🎭「俺のカンペ」

🧣「カンペ…」

🎭「教師だってカンペ教科書みながら授業してんだろ」

🧣「…!」

🎭「…それくらいなら、わかるか?」

🧣「…月曜のテスト楽しみにしててくださいよ」


不敵に笑う飯綱。万年0点が何を余裕そうに、と思ったが、恐らく何か糸口を見つけたのだろう。とりあえず、月曜日の再テスト結果を待ってみることにした














「が、学園長!」

🎭「おや、どうかしましたか?」

「こ、コレ…」

🎭「…!」


慌てた様子で学園長室に入ってきた数学の担当教師。とりあえず学園長は飯綱を呼び出した





🧣「え、悪くなかったっすよね」

🎭「…答案を、預かってる」

🧣「え、またっすか。…全部埋めたんだけどな…」


結果は、0点


🧣「うっそマジで?合ってたと思ったのに…」

🎭「ある種才能だな」

🧣「頑張ったのに〜…」

🎭「そうだな…」

🧣「…どうしたんすか、なんか優しいっすね。てっきりぶっ殺されるかと思ったんですけど」

🎭「…これ、模範解答」


失礼すぎる発言は聞かなかったことにしてっやた。道満は、黙って模範解答を渡した


🧣「模範解答なんざもらって、も…」

🎭「おまえ…www解答欄ずれてんぞwwww」

🧣「…」

🎭「はっっっっっっっはははははははははwwwwwwwwwwwwww」

🧣「酷いっすね」


飯綱が引き攣った顔で道満にクレームを入れるも、道満には届かない。何年ぶりだろうか。ここ、あで声をあげて笑ったのは。いや、初めてかもしれない。逆に、これで笑わない奴がいるならそいつの方がおかしい。飯綱は、解答欄がずれてさえいなければ満点だった。ここで、矛盾が生じる。1問分解答欄が空いている時点で、満点はないはずだ。しかし、飯綱は1番最後の問題の答えを1番最初の問題の解答欄に書いていた。 つまり、全ての回答が一個ずれていた。恐らく、枠がないから空いてる欄に書いたのだろう。しかし、そこは1番最初の問題の解答欄。その時点で解答欄がずれていることに気づかなかったのだ。バカすぎる


🎭「あ゛ーー…はらいってぇ…」

🧣「…」

🎭「バカは世界を救うかもな…www😂」

🧣「どう言う意味です…」

🎭「さっきまでの疲れとか全部吹き飛んだwww」

🧣「…」

🎭「でも、まあ…頑張ったな。…結果はともかく」

🧣「…ありがとうございます…」


妙に優しい学園長に違和感を覚えつつ、学園長の気分がいいうちに退出した。今でもその奇跡の答案は捨てずに持っている











🫘「お前マジでどうやって大学行ったんだよ…」

🧣「努力」

🐈「さしてしてないだろ?!」

🧣「学園長の」

🫘「本当に…お前変なとこですごいな…」

🐈「晴明もなんとかしてくれるぞ!」

🧣「俺がなんとかしてやろうか?www」

🫘🐈「お前におそわることはない!!!!!」


2匹に声を揃えられ、イラっとするも気分がいいので聞き流した。今舞塚と秋雨が悩んでいるのは、あの日学園長に教えてもらった単元。学園長のカンペのコピペでも持ってきてやることにした。原本は、少々破れてしまっている。学園長には言わなかったが、あの後飯綱は土日で20時間以上勉強していた。やろうと思えるほどに、学園長のカンペは分かりやすかった。飯綱の書き込みも残っているので役には立つかもしれない。後日、数学のテストで10点をとった舞塚と秋雨に飼い主は喜び、2匹が持っていたプリントが気になり、職員室で見せてもらっていた晴明。なんとなく飯綱と学園長の字が混じっている気がして、学園長に聞いたところ、学園長は湯呑みを倒した。学園長でもこんな露骨に驚くことに驚く晴明。そして、自分の知らない書き込みや、まだ持っていることに耳を赤くしたり込み上げてくるものを抑えたりと忙しい学園長だった










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