『青春』
また、春が訪れた。
貴方がいない春が_。
***
「麗璃、またね」
「うん!またね、春風」
今年も始まりの季節─春 が来た。
それは春のやわらかな風とともに、心の奥にそっと忍び込んでくる。
制服の襟を整えながら、私は空を見上げた。
雲ひとつない青空。なのに、胸の奥はどこかざわついている。
始まりはいつも、少しの期待と、大きな不安を連れてくる。
だけど_それでも私は、この季節が嫌いじゃない。
なぜなら、あの人の名前に「春」がついているから。
私は、あの人 ─ 春風 が好き
春 に 風 _。
青春の溢れる名前_。
素敵だと思わない…?