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入学式が終わり高1は教室に案内されたあと
俺は廊下を歩きながら、なんとなく一年の教室のほうを見た。
――教室に行くの迷ってないだろうな。
そんな心配をしている時点で、もうわりと重症だと思う。
その頃、当の本人――こさめは。
🦈「ここが……こさめの教室……たぶん……!」
黒板に書かれたクラス表を見上げながら、なぜか達成感に満ちていた。
🦈「ちゃんと来れた……! こさめ、えらい……!」
拍手(自分で)。
その様子を、後ろから穏やかな声が包んだ。
👑「うん、えらいね」
🦈「ひゃっ!?」
振り向くと、そこに立っていたのは、柔らかく微笑む男子だった。
整った顔立ちに、すっと伸びた姿勢。
なんというか、自然体なのに王子様っぽい。
👑「隣の席だよね。俺、みこと」
こさめはぱちぱち瞬きをする。
🦈「みこと……?」
👑「うん。さっき廊下で三周してたでしょ」
🦈「見られてた!?」
👑「迷ってるのかなって」
みことはふわっと笑う。
👑「実は俺も、さっき職員室行こうとして保健室に入った」
🦈「仲間だ……!」
こさめの目がきらきらする。
🦈「みこちゃんも方向音痴?」
👑「うん、わりと重度」
🦈「こさめも!」
なぜか誇らしげ。
二人はそのまま、自然と話し始めた。
🦈「こさめね、さっき先輩に助けてもらったの」
👑「優しい先輩だね」
🦈「すちくんっていうの。壁は動かないって教えてくれた」
👑「大事な知識だね」
みことは真顔で頷く。
(なんだこの会話)
休み時間。
こさめが消しゴムを落とす。
🦈「あっ」
拾おうとして机に頭をぶつける。
🦈「いたっ」
その前に、すっと手が伸びた。
👑「どうぞ」
みことが消しゴムを差し出す。
🦈「ありがとう……王子様……?」
👑「違うよ、ただの方向音痴だよ」
🦈「方向音痴の王子様……」
みことはくすっと笑う。
👑「こさめちゃん、面白いね」
🦈「よく言われる!」
👑「たぶん褒め言葉」
🦈「たぶん!?」
こうして友情が爆誕した。
放課後。
👑「一緒に帰らない、?」
みことが言う。
🦈「うん!帰る!」
こさめは元気よく立ち上がる。
🦈「今日は迷わない。こさめ、もう教室覚えた」
👑「頼もしい」
二人は自信満々に廊下へ出た。
そして。
五分後。
🦈「……ここどこ?」
👑「理科準備室前だね」
🦈「出口どっちだっけ」
👑「……あっち?」
行く。
階段を降りる。
行き止まり。
👑「倉庫だね」
🦈「倉庫だね」
引き返す。
🦈「さっきの角、曲がった?」
👑「曲がった気がする」
🦈「気がするは危険だよね」
👑「うん」
十分経過。
🦈「ねえみこちゃん」
👑「なに?」
🦈「校門って外にあるよね?」
👑「うん、たぶん」
🦈「たぶん!?」
ついに二人は中庭に出た。
🦈「外出た!」
👑「出てない、まだ敷地内」
🦈「広すぎない……?」
ベンチに座る。
🦈「こさめ、ちょっと方向感覚失ったかも」
👑「俺も」
🦈「今どっちが北?」
👑「心が向いてるほう?」
🦈「抽象的!」
その頃。
俺は校門近くで友達と別れ、ふと嫌な予感がした。
――静かすぎる。
一年生が帰る時間。
なのに、あの騒がしい迷子の気配がない。
まさか。
俺は校舎へ引き返した。
中庭。
ベンチでしょん、と並んで座る二人の一年生。
🍵「……なにしてるの?」
こさめが顔を上げる。
🦈「あっ、すちくん!」
ぱあっと明るくなる。
その隣で、みことが立ち上がり丁寧に会釈した。
👑「こんにちは。遭難しました」
🍵「校内でその単語使わないで」
こさめがしょんぼり言う。
🦈「出口が……見つからなくて……」
🍵「なんで増えてるの?」
🦈「増えた?」
🍵「迷子が」
みことはにこっと微笑む。
👑「二人だと心強いよ」
🍵「強くないでしょ‥」
俺はため息をつきながらも、二人を促した。
🍵「ほら、校門こっち」
歩き出すと、後ろから小走りの足音。
🦈「すちくんすごい……」
👑「救世主だね」
🦈「え、かっこいい」
🍵(かっこいいか、?)
🍵「迷子量産しないで‥」
校門が見えた瞬間。
🦈「出れたーーー!」
こさめが感動している。
👑「今日は無事帰れそう」
みこともほっとした顔。
俺は腕を組んだ。
🍵「明日からどうすんの、?」
こさめはにこっと笑う。
🦈「また助けて?」
🍵「確定かぁ‥」
みことも穏やかに言う。
👑「三人なら大丈夫かも」
🍵「俺を道標にしないで」
でも。
並んで笑う二人を見て、俺は小さく息を吐く。
……まあ、放っておけないのが二人に増えただけか。
これ、書くの楽しぃ
第6話まですでに書いてしまった