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向井が来てから数ヶ月が経つ――
深澤から、小さな鍵を手渡された。
🧡「え……これって」
💜「合鍵」
さらりと告げられる。
💜「今度から、住み込みでお願いしたい」
一瞬、言葉が追いつかない。
🧡「……は、はい!!」
🧡「精一杯、頑張ります!!」
💜「ん」
💜「じゃ、仕事行ってくる」
🧡「行ってらっしゃい!!」
扉が閉まったあと。
向井は、合鍵をぎゅっと握りしめた。
胸の奥が、じんわりと熱くなる。
──────────────
夜――
🧡「おかえりなさい!!」
💜「ただいま」
🧡「ちょうど深澤さんのドラマ、始まりますよ!」
🧡「一緒に見ましょ!」
流れるようにソファへ案内される。
🧡「今日はご飯、食べてきたんですよね?」
🧡「コーヒー、いれますね」
💜「うん」
──────────────
二人並んで、ドラマを眺める。
恋愛シーン。
💜「あんまり、自分のやつ見ないんだよな」
🧡「ええ!?そうなんですか!?」
🧡「反省会とかしないんです?」
💜「特には」
🧡「へえー……!」
しばらくしてーー
画面の中で、キスシーンが流れる。
🧡「わあ……」
🧡「キス……!」
思わず隣を見ようとした、その瞬間。
肩に、重みがかかる。
🧡「……深澤さん?」
💜「……」
静かな寝息。
🧡(え、……かわいい寝顔)
そっと手を伸ばしかけて――
はっとして止める。
それでも。
このままで、いいかと思ってしまう。
🧡(……手くらい、いいよね)
そっと触れる。
🧡(あったかい……)
その温もりに安心して、
向井もいつの間にか眠りに落ちていた。
──────────────
🧡(……ん)
目を覚ますと、
やわらかな布団がかけられていた。
🧡(やば……寝ちゃってた)
そのとき。
💜「起きた?」
風呂上がりの深澤が、タオルで髪を拭きながら立っていた。
その姿に思わず、どきっとする。
🧡「すみませんっ……俺」
💜「いいよ」
💜「ゆっくりしてて」
🧡「え」
💜「たまには、休め」
やわらかい笑顔。
🧡「……ありがとうございます」
💜「風呂も使っていいから」
🧡「お、お借りします!」
──────────────
湯気に包まれながら――
🧡(最近、深澤さんの顔…やわらかくなったな)
🧡(やっぱ、支えるって大事だよな)
🧡(もっと、頑張らなきゃ…)
🧡(……気持ちいい)
目を閉じる。
──────────────
💜「……向井」
💜「向井!!」
🧡「……っ!?」
気づけば、まだ湯船の中だった。
🧡「やばっ……!」
立ち上がろうとして、ふらつく。
💜「危ない!」
とっさに、支えられる。
距離が一気に近づく。
思わず息が止まる。
🧡「す、すみません……!」
🧡「家政婦失格だっ――」
その言葉は、最後まで続かなかった。
強く、抱きしめられる。
💜「……よかった」
💜「なかなか出てこないから、心配した」
💜「間に合ってよかった……」
🧡「……」
必死な声に、言葉を失う。
💜「とりあえず……服、着よっか」
🧡「は、はい……」
──────────────
しばらくして。
💜「まだ、顔赤いな」
🧡「すみません……」
💜「謝るなって」
💜「いつも、頑張ってくれてるし」
そっと、向井の頬に触れる。
そのせいで、さらに熱くなる。
思わず、その手に自分の手を重ねた。
🧡「……冷たくて、気持ちいいです」
向井は優しく微笑む。
💜「……」
深澤はふいに、視線を逸らす。
💜「ちゃんとベッドで寝ろよ」
🧡「……はい」
――この夜。
二人の距離は、今までで一番近づいていた。
つづく。
コメント
2件
きゃー!!すごい!! 最高ー!!続き楽しみです!!