テラーノベル
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その後も、「告白するならどう告るか」「デートするならどこに行きたいか」「1番言われたいセリフは何か」「好きになったきっかけは何か」など、様々な会話が飛び交い、それと比例して羞恥心もどんどん加速していった。菊が質問し、アーサーが小さい声ながらも答える。それにアントーニョとギルベルトが煽り、感性が割と常識人なアルフレッドが呆れの声明を出す。それの繰り返しで、気づけば、皆酔っ払いのように声が大きくなっており深夜テンションが部屋中を占めていた。
ただ、それがいけなかったと思う。
「くっそ、散々俺をおちょくりやがって、、、」
「wだって、眉毛おもろ過ぎる、、、w親分馬鹿腹痛いわ、、、w」
「アーサーめっちゃ顔赤いんだぞ」
「っあ゛ー!!もう!!お前らのせいだよ馬鹿ぁ!!!」
最後の言葉を言い終わるか言い終わらないか位のタイミングで、勢いよく襖が開かれた。
「おいお前ら!いつまで起きてんだ!!」
「わっ、せ、先生!?」
「はぁー、いくら修学旅行の夜だからってな、はしゃぎすぎだ。せめてもう少し声のトーン落とせ」
「うっ、す、すみません、、、」
「あんなでけー声だと普通に廊下から聞こえんぞ。」
「えっそうなんですか」
「ああ。まあ友達と過ごす夜も楽しいのは分かるが、早めに寝とけよ。明日の自由行動寝不足で倒れんぞ?」
「「「「「はーい」」」」」
「よし、良い返事だ。えーそれじゃあ俺はやることがあるんで帰らせてもらう。くれぐれも他の班に迷惑かけないようにしろよ。
、、、あ、そういえば、部屋の前にいたボヌフォワはお前らの共犯か?」
「、、、え?」
「さっきまで部屋の前でうろちょろしてたんだが、声掛けたらばーっと逃げちまってな。変な顔、、、体調不良っぼかったけど、、、お前らなんか約束でもしてたのか?部屋移動は原則禁止だけど、友達ぐらい入れてやれよ。じゃ!」
その事だけ言い残し、襖をぴしゃりと閉じて去っていった。
残されたのは、呆気に取られた5人だ。彼が言った言葉をもう一度頭の中で繰り返す。「部屋のまえにいたボヌフォワ」、「でけー声だと普通に廊下から聞こえる」、「変な顔」、、、つまり、、、
「、、、もしかして、フランシスに会話、聞かれたんじゃないのかい?」
「っは!!?」
「、、、あーっ!!忘れとった!!そういやフランに部屋来る?って誘ったまんまやった!!ああー、メッセも結構前に来とる、、、」
「トーニョ、おま、何やってんだ!、w」
「いやー、堪忍なぁ、、、恋バナで全部すっ飛んでしもうた、、、」
「っき、菊〜!!おまっ、お前が恋バナとか言い出すからだ馬鹿〜〜!」
そう言いアーサーは菊の館内着を掴み前後に揺さぶるが、菊は
「いやー、恐れ入りますすみませーん」
と、目を合わせずに言った。口調の割にどこか雑なような、面白いものが見れたとも言わんばかりの表情をしている。
その様子にアーサーは小さく舌打ちをかましたが、これはどう責めてものれんに腕押しだ、と諦め手を離し、ほぼヤケになって布団に寝転がった。
「ぅあ゛ー、、、くそ、学校でどんな顔すればいいんだよ、、、てか家近いんだぞ、、、」
「、、、あれ?というか明日の自由行動お前ら一緒の班じゃね?」
「、、、はっ?」
「うわほんまや。お気の毒になー、」
「あ、明日まわる場所有名な恋愛成就スポットあるらしいですよ。」
「さっき考えた告白のセリフ使い時じゃないか」
「はあああ!?いや言えるわけねーだろ!!あんならしくねえの、、、はあー、、、まじか、、、明日何話せばいいんだよ、、、
というか、絶対気まずいだろ、、、」
だんだんと小さくなっていく声と共に、アーサーは再び布団の中へと潜り込んでいった。
その様子に他のメンバーはうっすらと罪悪感を感じたが、同時に、「でもまあ一番声でかかったのこいつだしなぁ」とも思った。
兎にも角にも、アーサーは明日、好意を知られた相手に会わなくちゃいけない。それは揺るぎない事実で、今更変えられようにもないことだ。それにまた頭を抱える。
気が気でない本人をよそに、本田菊はこっそりとしたり顔を浮かべた。
実は自由時間の時、アントーニョの携帯が通知を知らせたのを偶然見てしまったのだ。差出人と内容にてある程度状況を把握した菊は、ふと、とある計画を思いついた。
普段から洞察力が優れていた彼は、アーサーがフランシスを好いていること、それからフランシスも同じ気持ちを抱いていることに気が付いていた。勿論本人達は知る由もない。
そしてそのフランシスが今夜この部屋に来る。
これはチャンスだ。いつも相手に対して素直になれない彼らをこの際、急接近させてしまおう。あからさまな反応をしているのにお互い気付いていない様子は、見ているこっちがもどかしい。
追い詰めれば追い詰められるほどボロが出るアーサーは、取り繕おうとする際に本音が出てしまう。そこを逆手に取ってしまえば、煽りが得意な友人が上手い具合に聞き出し、互いの本心を知れるきっかけになるのでは無いだろうか。
そう思って、突拍子もなく恋バナを提案してみたのだった。
まあこの計画は、完全に思惑通りとは行かなかった。恋バナが最下位制になったり、(結果的にはアーサーがなったが)来ると思っていたフランシスが来なかったり、騒がしくし過ぎて先生に怒られたりと予想していなかったことは起きたが、最終的には理想通りにいってくれて良かった。
さあこれから二人がどうなるのかが楽しみだ。明日、影から少し様子でも伺ってみようか。そんな事を考えながら、菊はゆっくりと眠りについた。
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おまけ 兄ちゃん視点
時間軸としてはトランプし始めた時ぐらい
(、、、既読付かないなー、、、)
風呂上がり後の自由時間、フランシスは携帯とにらめっこしていた。
実は日中、アントーニョと話した際に夜部屋に遊びに来ないか誘われたのだ。勿論誘いには乗り気だったが、その時、 でもあっちの班にはあの可愛くない腐れ縁眉毛が居るからなー、と出来るだけ嫌な顔をした、つもりでいる。
つもり、というのはまあ要するに、本当は嫌じゃない、寧ろ行きたい。普通じゃ有り得ない夜の時間帯に、アイツの顔が見れることが内心嬉しくて上手く誤魔化せてる自信がない、という事で、、
そこまで考えてはっと我に返り、携帯を閉じた。 だめだだめだ、ほんっとにもう、アイツの事になるとすぐ調子狂う。と、なんとか思考を振り払う。
、、、ずっと、続けてきた長い片思いだ。
あっちはただの腐れ縁としか思っていないだろうけど、こちとら小学生の時からずっと初恋を引きづっている。
かれこれ7年以上にはなるかな、アイツの事なんか何度も忘れようとしたけど、まあ無理だった。お陰様で、割とモテるのに恋人を作ったことがない。アイツと恋人になれるなら是が非でもそうしたいが、無理に想いを伝えて拒絶でもされたら、、、、そう考えると今の関係は心地よくて、中々捨てがたいものだった。
この想いはどれだけ親しい仲でも誰にだって言ったことがない。例えば今現在音信不通の友人、アントーニョにもだ。
先程、いつ部屋に行ってもいいかメッセージを送ったのだが、まったく反応が帰ってこない。にらめっこの原因はこれだ。
(、、、トーニョのことだしなんか忘れてそうだな、、、ま、いっか。行ったら開けてくれるでしょ)
そう思い、班員に一言声をかけてから部屋を後にした。
目的地に近づくにつれ、その場所から話し声が聞こえてくるようになった。部屋の真ん前まで来ると、割と会話の内容が分かる。どうやら今アイツらはカードゲーム、まあおそらくトランプでもしているんだろう。やけに切羽詰まっている様子だから、罰ゲームでもかけてるのかもしれない。
そして、たった今聞こえてきたアーサーの悔しがる声から察するに、負けたんだな、と理解した。本当に、つくづく運のない奴だ。今入っていくのもあれだし、もう少しこの状況を楽しんでいよう。
そのまま襖の前で聞き耳を立ててみる。
『、、、、、、、、、 い、言いたくねえぇ、、、』
『まあまあ、お前の好きな奴がどんな相手だって否定はしないぜ?』
、、、あー、なるほど。負けた人が好きな人を言うっていう罰ゲームか、中々ベタなことをするなあ。てか絶対発案者菊ちゃんでしょ。あーあ。これはこの先弄られるぞ〜、アーサーどんまい。
(、、、????いやちょっと待って!?!?はっ?えっちょ、アイツ好きな人いんの!?ええお兄さん知らないよ!?!えっいやほんとに分かんない、いたの!?というか誰!?き、聞きたくないけどでも気になる!!うわー待ってどうしようまだ心の準備が、失恋の準備が整ってない!!えこれもう言う流れだよね!?うんそうだよね!いや落ち着け、もう大丈夫どんな相手だって驚かない、大丈夫、大丈夫、)
いきなりの新事実にかなり大きめのショックを受けたが、まだ一応自分を立て直すことが出来た。心を落ち着かせながら、また慎重に奥へと耳を澄ませる。
、、、『態度に出すぎ。まあ相手には伝わってないけど』
『ウブな感じですよね。いつも見守っていましたよ』
『、、、ななな何だよお前ら!?じ、じゃあ相手言えんのかよ!?』
っうわいきなりか。聞くと同時にほぼ反射的に目を瞑り、服をぎゅっと握りしめた。
しかし、耳に入ってきた想定外の言葉に、閉じた目を思わず見開くことになる。
『『『『フランシスさんですよね?』だろう?』やんな?』だよな?』
(、、、、、、、、、、、、、、、ん?????
、、、え、は?今なんて、コイツらなんて言った?なんか聞き覚えのあるというか、知ってるというかそういう次元じゃなくて、えっと、俺の名前が出た、気が、
、、、ああ、いや聞き間違いか、そうだよね。んな訳ないよね。うん。ていうかまだそうだと決まった訳じゃないし。本人の口から言った訳じゃないし。俺の耳がおかしかっただけだよね?うんもうちょっと聞いてからにしよう)
そう心の中でまくし立て、再び壁に耳を押し当てた。
、、、『、、、、、、、なんっで知ってんだよ、、、』
自分の心臓の音がうるさくて微かな声でしか聞き取れなかったが、はっきりとそう聞こえた。
、、、つまり、アイツは俺の事が好き、、、、????
浮かんでいた仮説が確証に変わり、脳内が大パニックに陥る。
まだ事態を飲み込めていなく、ひたすら疑問が浮かび上がる自分と、片思いだと思っていたものが両思いだった事に死ぬほど舞い上がっている自分と、それはそれとしてもう少し別のタイミングで知りたかった!今修学旅行中だぞ!という自分達がせめぎ合っていて正直頭が回らない。
、、、ただどうやら今の俺がどうなっているのか微塵も知らないコイツらは、テンションがMAXになっているのかもしれない。耳をまったく傾けなくとも聞こえる大きさで、意中の相手が言った。
『、、、、っ!、あーもう!!そうだよ!!俺はフランシスのことが好きだよ!!結構前から!!悪いか!!』
今度はちゃんと本人の口から、それも聞き間違いではなくはっきりと。一生聞けることは無いと思っていた言葉を。
正直もうこれ以上ないほど頭がキャパオーバーした。恥ずかしさのお陰で全身が熱くなり、今すぐ床をのたうち回りたくなる。
でもそれ以上に嬉しかった。だってずっと好きだった相手が自分と同じ気持ちだったんだから。こんなこと夢にも思っていなかった。
多幸感と羞恥心でにやけそうになる口元をなんとか抑える。
どうやらこの後もアーサーに対して質問をするようだ。でも流石にさっきを超えるショックと嬉しさは出てこないだろう。もう心臓が悲鳴を上げているから勘弁して欲しい。
一息ついたら今度は壁にもたれかかり、熱を冷ましながら会話を聞いた。
そう落ち着いて居られたのもつかの間、怒涛の惚気話で羞恥心がレベルMAXになった。なんだよあのツンデレ野郎。もうほぼデレしかないじゃん。普段からそんくらい素直で居てくれよ。
いやまさかここまでお兄さんのこと好きだとは思わないじゃん?まあこっちも同じくらい好きだけどさ!!
(くっそ〜、、あの眉毛め、、、これからどう接してけばいいんだよ、、、告白でもしろってのかよ、、、)
でももう後にも引けず、悶々と部屋の前の廊下を行ったり来たりしていた。
状況が一変したのは、時刻が丁度深夜に差し掛かった頃。感情を持て余して同じ所をぐるぐるとしていた所、見知った声が耳に入った。
「、、、あれ?そこにいるのって、、、ボヌフォワか?こんな時間に何してんだ?」
心臓がばくんと跳ね上がった。油断してた。そうだ、先生達は見回りがあるんだった。
「っ!?せっせせ先生!?!?あっえとその、ごめんなさい!!」
「あっちょ、おい!?」
気が動転していたせいで顔も合わせずにその場から逃げ出してしまった。
ぱたぱたとあまり音を立てないように廊下を走り、自分の部屋へと逃げ込んだ。布団の中で息を整えるも、正気に戻っていくにつれて、また違うベクトルの気恥ずかしさが込み上げてきた。
(そういえば、、、明日自由行動一緒の班じゃん!うわー絶対まともな顔出来ねぇー、、、)
そう静かに絶望するも、流石に疲れが溜まっているのか、じきに睡魔が襲ってきた。明日のアイツへの接し方を計画したい所だが、仕方なく瞼を閉じる事にした。
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てなわけで後書きです。ほぼ無理矢理終わらせた気がする。いつも思ってる倍以上の長さになるの何で?
いつも小説投稿し終わった翌日くらいから新しいの書き始めてんのに1ヶ月以上はかかる、、、⊂( ˙ᢦ˙ )⊃
今回はヘタリアでしたが次からまた交互に界隈混ぜていくと思うので、、、フォローでも何でもしてってくれたら嬉しいです。♡も、、、
まあこの私が1番伝えたいことは、
ドーヴァーは尊い!以上!!
終わりです。お疲れっしたー
コメント
1件
フランシスさんよ名字アーサーさんに上げてくれよ貰ってもいいからおねげぇだおぉあと、祖国様ないすぅー