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三文小説
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数日後。
あの意味の分からない出会いから、気づけば数日が経っていた。
「共同のものは綺麗に使うこと」
「家事は分担」
「お互いの生活に干渉しすぎないこと」
冷蔵庫に貼られたメモには、桐原衣月と決めたルールが並んでいる。
酔った勢いで始まった同居生活。
朝起きた時は、本気で終わったと思った。
知らない人と住む?
しかも居酒屋で会った人と?
普通なら断る。
……なのに。
「朝陽、風呂空いた」
「あ、はい!」
気づけば普通に暮らしていた。
いや、なんで?
自分でも分からない。
衣月は広告会社で働いている。
朝はスーツを着て出勤し、帰りは遅い日も多い。
スマホを見ながら何か考えていたり、パソコンを開いたままソファで寝そうになってたり。
たまに仕事の電話も聞こえる。
「いや、その案やと伝えたいものがぼやけません?」
「……もう少し絞った方がいいと思います」
静かな声なのに、不思議と説得力がある。
なんか、仕事できそう。
この生活にも、不思議と慣れてきた。