テラーノベル
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〜強盗傷害事件〜
第27話
冬が終わり、春が来た。
多分、話を聞く限り、リナは俺の一つ下。
今年の夏の終わりに、八歳になるから……出張型開始はあと二年と言った所だろう。
……ちゃんと、タメ口に直したからな。
ご主人様の本意だから……いや、俺も心の中で嬉しかった。認められるなんて、今までの職の中ではあまり無かった。
『文句を言わず、処理をしたのは褒めてやる。だけど、雑だから明日は今日の倍だ』
……これくらい。
あの時は、死体処理だっけ? 冷たくなった人を手作業で……
「ノア。休憩よ」
リナが俺の背中を揺すっていた。
こんな事は、多くて一日に数回。少なくて、二日に一度程ある。
……見た目大きくても、心はまだまだ未熟。
「分かった。すまない」
「仕方ない事でしょ。無理をされるのは一番困るのだし」
「あぁ」
そう言って俺は客室のソファーに座った。
……仕方ない。それが今の俺に、一番効く言葉だけど……言えない。
その時、『ガシャン!』というガラス製の何かが割れる音と、剣がぶつかり合うような金属音が表で鳴り響いた。
俺は、急いで駆けつけた。
今は、マリーさんは貴族の屋敷へ。カールさんは、教会へ。カールさんは、もうそろそろ帰宅。
そんな微妙な時間帯に、俺たちは、襲われた。
「ノアっ! この人たち、一筋縄ではいかないわっ!」
そう言いながらリナは剣を振り回していた。
犯人は男三人。仮面を被っていて、顔は分からない。
マントを羽織っていて、その下に何があるのかは分からない。魔力隠しの魔法を使われている。
俺も、自分の爪で参戦した。
❂
「あらあら、リーパーは、そんな無謀な事を……」
サントラップを襲った男三人組は、この国有数の凄腕な殺し屋なはず。
「……しかし、こんな戦い方をするなんてな。人の心に変わったか」
リーパーは、店を壊さないように、慎重な戦い方をしている。それを見た……ノアだっけな。そいつも同じ事を真似してる。
そのノアってやつはさ、腕がいいというか……リーパーの弟子としてちゃんとやれる程の才能はある。獣人で、リーパーの過去を理解できた。それだけでも十分だけど、過去がな……
「……少し、様子をみるしかないか。ただ事じゃないね」
『リナ。これは……表沙汰になる事件なのか?』
ノアと呼ばれる獣人がリーパーと背中合わせになって囁いている。
『分からない。私たちが負けたり、ニルスさんに見られたら表になるだろうし、商品が壊れても聖騎士は来るだろうね』
……良く分かってるな。
七歳であれは、ちょっと引かりそうだが……なんとかやるだろうし、リーパーの影響力は少ないんだから大丈夫。
僕がサントラップの店内に入ると、キンキンと金属音が鼓膜に響いた。一応、人の姿になってるから、鼓膜はある。
この音嫌いなんだよな。殺意満々の剣がぶつかり合う音。
……片方――リーパーとノアは、殺意のさの字もないけどな。どちらかがあると、この音は鳴る。
僕は客室に隠れて、息と魔力を潜めながら隠れる。これは、リーパー程の魔導師でも、見つけられないだろう。
空間魔法を駆使しながら見た。リーパーは飛ばされながらも、必死に耐えている。殺さずに、切傷一つ付けず。
代わりに、痣が酷い。手加減されていると分かってる相手にとっては屈辱だろう。
ノアが相手してる人ももうそろそろと言った所だ。
リーパーが相手しているやつは一番の腕だった。
一人はもうダウンしている。
三人とも、元、奴隷。高い運動神経をかわれ、殺し屋として使われている。
……リーパーはまた別だけど。僕が指示して、殺していた。
「貴方にも、ここに『生きる灯』があるでしょ? 私じゃなくて、それを信じて」
すれ違いざまにノアという獣人に言った言葉。すれ違いざまと言っても、蹴り飛ばされて飛んでいるのだが。
……とても痛々しい。残酷で、完璧な世界か……
「リナっ!」
ノアは叫んだけど、リーパーはカウンターに身体を打って動けそうには無かった。
僕も、治そうと思ったけど、ここで治すとバレるので治せなかった。
「死ねっ!」
そう言って一人がノアの後ろから剣を振り下ろしていた。
ノアは死を覚悟していただろう。僕も、『もう駄目だ』と思った程だった。
「ごめんなさい……」
そう零した瞬間、剣がノアを殺そうとした奴のお腹を斬った。掠ってるけれど。
「何が、ごめんなさいよ……私の事をなめないで」
そう言ってリーパーがふらつきながら剣を握って、殺意では無い何かの気持ち満々で立ち上がった。
……リーパーじゃなくて、『ソラーレ』かな。サントラップにお似合い。
僕は目を細めて彼女らを見守る事にした。
コメント
1件
第28話、読み終わりました…!強盗に襲われる緊迫した場面、すごく引き込まれました。特に「生きる灯」という言葉が心に残ってます。ノアが死を覚悟した瞬間、リナ(リーパー)が立ち上がって「私の事をなめないで」と言うところ、すごくかっこよかったです。危険な中でも人を信じようとする二人の関係性が好きだなあ…。続きがすごく気になります!
こはる
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こはる
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こはる
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