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#ざまぁ
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大人の男のくせに
俺からストレートに好意をぶつけられると、すぐにこうしてキャパオーバーを起こす。
そこに気付いてしまった俺は、さっきまでの照れを引っ込めて、にやっと意地悪く笑った。
「ほら、また照れてる」
「照れてない。お前が脈絡のないこと言うからだ」
「照れてるって。耳、真っ赤だもん」
ソファの上で少し距離を詰め、隣に座っていた竜牙さんの大きな体に、横から思い切り抱きつく。
一瞬だけビクッと体を硬くさせたものの
すぐに「仕方ないな」と言いたげな溜息とともに、太くて逞しい腕が自然と俺の背中へと回された。
(あー…めちゃくちゃ安心する……)
体格差のせいで、竜牙さんの胸にすっぽりと収まってしまうこの感覚がたまらない。
男らしい、少しウッディで
清潔な香水と体温が混ざり合った匂いに包まれて、俺は竜牙さんの肩口に深く顔を埋めた。
この人、本当に恋人として完璧すぎる。
初めてのデートの時だってそうだった。
俺がウィンドウショッピング中に
ショーウィンドウの前で「あ、これ可愛いな」って小さく呟いた数日後
なんでもない日のプレゼントとしてしれっとそれを渡してきたりする。
ちょっと背伸びしてヒール高めのブーツを履いて行って、夕方に足を引きずっていたら
何も言わずに「こっち持て」って、俺のトートバッグを全部自分の肩にかけたり。
ディナーの会計はいつの間にかスマートに済んでいるし、エスコートの仕方もいちいち洗練されている。
そのくせ、俺がちょっと調子に乗って
「ねえ、今日の俺、可愛い?」って上目遣いで聞いてみると
「……可愛いけど。その服、ちょっと露出しすぎだろ。外ではもうちょっと着込め」
って、本気で顔を赤くしながら真面目にヤキモチを焼いてきたりするのだ。
最高。非の打ち所がない、本当に世界一の彼氏。
────だからこそ。
完璧であればあるほど、最近、胸の奥に小さな
だけど無視できない歪な不満が、澱のように溜まり始めていた。
「……ねえ、竜牙さん」
「ん?」
背中に回された手のひらが、愛おしそうに俺の髪を撫でる。
その心地よさに身を委ねながら
俺は意を決して、ずっと言いたかったおねだりを口にしてみた。
「今日さ……一緒に、お風呂入んない?」
その瞬間。
ピタ、と、俺の頭を撫でていた竜牙さんの大きな手の動きが、完全に停止した。
回されていた腕の力が、わずかに強張る。
「あー……いや。お前、先に入れよ。俺は後でゆっくり入るから」
「また?先週も、その前の休みもそう言ったじゃん」
「……今日は、仕事でちょっと疲れてるから。一人でさっと済ませたいんだよ」
「前も全く同じ言い訳してた。疲れてるなら、俺が洗ってあげようかって言ってるのに」
「そうだっけか。忘れた」
竜牙さんは、視線を泳がせながら、いつもの大人の苦笑いで誤魔化そうとする。
俺は腕の中から這い出て、むっと両頬を膨らませて彼を睨みつけた。
最近、本当にずっとこうなのだ。
お風呂に一緒に入ろうと誘っても、百パーセントの確率で断られる。
それだけじゃない。
この部屋で泊まる時だって、竜牙さんは絶対に俺の前で服を脱がないし
着替える時はわざわざ脱衣所か別の部屋に移動する。
そして何より、夜のベッドの上だって。
「……慧斗。電気、消していいか」