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◇勇斗、仁人
今日は結構余裕を持って集合時間前に事務所に来れた。
空き部屋の都合で今日の控え室は応接室使ってと連絡があったので、勇斗がスタッフや社員さんに挨拶をしながらそこへ向かう。
『吉田くんがもう来てるよ』
先に聞いてたからそこまで緊張しなかった。
仁人に会えるのは嬉しい。
勇斗がドアを開けると、一人掛けソファに埋まるように仁人が目を閉じて座っていた。
持っていた荷物を置いて、仁人に声をかける。
「じーんちゃん、変な姿勢で寝てるとまた腰が痛くなっちゃうよ?
寝るならおっきいソファにしなよ」
「ん、ぁ…?」
「なに?本気で寝てたの?」
クスクス笑いながら勇斗がテーブルを挟んで反対側の三人掛けソファに座った。
「…寝てたらお前らが絶対何かするじゃん」
「結局寝てるんなら同じでしょーが」
仁人が体をほぐしながら座り直して姿勢を正す。
「…なんか」
膝に肘をつけて手を組み、正面の勇斗に話しかける。こうやって二人だけで話すのは久々かもしれない。
「…柔とか舜太とかが疲れてるなら勇斗に甘えろ〜とか言ってくるんだけど」
なんだあれ、と仁人がウンザリとした表情で報告してくる。
「あ〜、…昔俺たちが付き合ってたことバレちゃったからそのせいかな」
「…あ?」
組んだ両手の上に顔を伏せて仁人がジタバタする。
「あーもーなんでバレるんだよ!お前か!?」
「まぁ」
「ふざけんな!もう面倒臭いしかねぇじゃん!」
これ以上テンパらせないでほしい。
頭をかかえる仁人を見て勇斗が宥める。
「…バレたのは俺がごめんだけど」
「大丈夫でしょ、あいつら知った上で頼れって言ってくれてるんでしょ」
「…俺が限界きてたとき、仁人は甘えさてくれたじゃん」
俺は嬉しかったよ、と勇斗に言われて仁人は少し目をキョロキョロさせて、そしてふー、と息を吐きながらもう一度ずるりとソファに沈みこんだ。
「…俺、こんな忙しいの初めてかもしれなくてもう必要最小限のこと以外考えたくないの」
「皆にも勇斗にも頼るのは嫌だし」
「…でも、嫌とかそういう事考えるのも嫌になる………」
#ryop
ゆゆ@プロフお読み下さい。

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水虹ひにゃ@リムらないでほしい
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いつき@ちか様とペア画中
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ちらり、と仁人が勇斗を見上げる。
そっと見上げただけで、仁人を見つめていた勇斗とバチッと視線が合った。
「…悩んだ時は相談するのがM!LKでしょ」
言ってよ、と勇斗が優しく仁人を見つめ続ける。
…相談ってどこまで?どこまで縋っていいのかも分からない、考えたくない。
仁人の思考がぼやける。
眠っても晴れない何か。
もう限界に近い。
全方向に向けられはているトゲトゲが良くない事だって分かってはいるのに。
こんなのどうやって治せばいいんだろう。
…何も考えたくないから、疲れているから、ただ少しだけ本能が欲しがるそれに従ってみてもいいのかな。
「勇斗」
仁人の両腕がゆらりと伸びる。
「…じゃあ今だけ、全部取っ払って甘えさせて?」
勇斗がゴクリと息を飲んだ。
…すごい構図だ。甘える為に伸ばされた腕、これを無自覚でやれるのが本当に仁人って感じ。
心臓がバクバクする。
夢かな、と思うより先に勇斗は立ち上がってテーブルを回り仁人のその手を取った。
「いいよ、俺も仁人に甘えたかったから」
「…うわ!?」
仁人の腕を引いてその身体を抱き寄せ、くるりとお互いの位置を替えるとボスッと勇斗がソファに座る。
膝の上に乗っかる形になった仁人が『えぇぇ』と勇斗を見上げた。
「…俺にも充電させて」
ぎゅ、と仁人を抱きしめると最初は身体を硬くしていた仁人もゆっくりと力を抜き勇斗にその身を預けた。
「…昔はこうやって補充し合ってたよね」
大人たちに囲まれて自分たちがやってる事が本当に正しいのか分からなくてこの努力が報われているのか不安で、そんな中で付き合い始めた。
大好きだった。
逃げじゃなくて必要だった。
誰かと付き合うの初めてっていう仁人はキスも初めてで本当に初々しいお付き合いだった。
手を繋ぐだけで嬉しかった。
ハグで幸せになれた。
仁人が黙って勇斗の服をきゅっと握る。
ポンポンと勇斗が仁人の背中を小さく叩く。
「…寝てていいよ、集合時間までまだ20分くらいあるから皆が来る前に起こしてあげる」
答える代わりにスリ、と勇斗の首元に頭を擦り付けて仁人が静かに目を閉じた。
「本当に寝てもいいよ?…俺もこのまま眠っちゃいたいなぁ」
そんな事を言いながら勇斗も目の前の仁人の髪に頬を埋めて目を閉じる。
「…どっちも寝たらヤバいだろ…」
「15分、…10分でも十分。
本音を言えばずっとこうしていたいけど」
もぞ、と仁人が足を縮めてもっとすっぽりと勇斗の腕の中に収まる。
丸まった分密着部分がもう少しだけ増える。
「…くっついてるとなんか幸せだねぇ」
「…うん」
肯定してくれたのが嬉しくて仁人を抱き抱える腕に力が入ってしまう。
仁人にもっと言いたい事も言わなきゃいけない事もある気がするけど何も言えない、嬉しいのにもどかしい。
それを、仁人が言葉にした。
「…俺たちさ、こんなに大人になったのにこうやってあの頃みたいに安心できるの、なんか、すごいな…」
トクトクとお互いの心臓の音を感じる。
あの頃と同じ。
恋人同士でもメンバー同士でも。
「仁人、俺は」
◇全員
「うーっす、お疲れさ……、うぇぇっあんたら何やっとんの!?」
ガチャ、とドアが開いて入ってきた太智が勇斗と仁人を見て小さな悲鳴を上げる。
「なになに?」
「勇ちゃんと仁ちゃん先に来てるんやろ」
その後続けて入ってきた柔太朗と舜太もくっついて座っている年長者二人を見て驚く。
「え、え、復縁したん?」
「してない」
そこは顔を赤くした仁人に即答される。
「え、でも」
勇斗の膝の上で腕の中で仁人が身を起こして吹っ切れたように勇斗の顔の横に自分の顔を寄せた。
「お前らがこーしろって言ったんだろ?俺はそれを実行しただけ!」
「そうだよ、お前らもっと遅刻して来いよ」
「遅刻はダメだろ」
勇斗の頭をパシ、と叩いて仁人が勇斗の上から飛び降りる。
「…仁ちゃん顔色良くなった気がする」
「元気になれた?」
「………………………………、おかげさまで」
目元から耳まで赤くして、仁人がボソリと答えた。
「…極端すぎやろ」
太智が本気で興味無いと部屋を進んで一番端のソファに座ると鞄からスマホを取り出す。
「太智、もう時間になるからスマホは」
「いやいや仁ちゃん!勇ちゃんに抱っこされるまでの経緯が知りたいんやけど!?」
太智に注意するリーダーに舜太がツッコミよろしく攻め込む。
「う、」
そんなこと聞くなと言いたいがどう逆ギレしても逃げきれない気がする。
口ごもる仁人を後ろから、勇斗が被さるように抱き寄せた。
「あのね、俺と仁人、ここ最近噛み合ってない時間が長かったから、即効で回復させる為にめちゃ密着してたの」
「…ヨリを戻したわけでもないのに?」
「これくらいしないと俺も仁人も元気になれないもん」
「まぁ…、二人が回復できたんなら、良かった、のかな?」
柔太朗と舜太が分かったような納得できないような顔で首を傾げる。
「…元気になったんなら良かったやん」
太智がスマホ画面を見ながら結論付けた。
早くこの話題終わらせてほしいとその横顔が言ってる。
「…またヤバくなったらハグしようね♡」
「っ、人前でそういう事…っ」
仁人の肩に顎を乗せて勇斗が嬉しそうにそう言うと仁人がヤメロとその顔を押す。
「えー、じゃあキスとか」
「やだっ」
年上二人のやり取りに年下三人が少しだけ引く。
「…もうかまわん方がええで」
「本当に付き合ってないんだよね???」
「うん、付き合ってなくてこれとか茶化すのも難しいわ…」
変な空気のままでいるとマネージャーが呼びに来てグループでの仕事が始まり、何となく有耶無耶でこの件は終わってしまった。
それでも、パワフルな最年長と口うるさいまとめ役のリーダーがこれまで以上に上手くじゃれ合ってることでM!LKの空気が整っていることは認めないわけにはいかなくて、他の三人もそんな年上組がいつまた恋人という関係に戻るのかと揶揄うのが定番になってしまった。
M!LKは今日も平和です。
一旦 【終】
書きたいとこ書いた後は満足してしまってどうにもきれいに終わりを書ききれなくて、しかも五人揃ってると永遠にわちゃわちゃを書き続けてしまうのでこんな感じで終わらせてしまいました。
後日談的オマケ書きます。
コメント
1件
うわ~、このエピソードすごく良かったです…!勇斗と仁人の距離感が絶妙で、昔の恋人同士だった頃の感覚がちゃんと残ってるのが伝わってきました。「充電させて」って言葉、すごくしっくり来るし、二人とも互いにそういう存在なんだなあと沁みました。後からメンバーが入ってきて「復縁したん?」の流れも、その後の仁人の照れ隠しもリアルで。かぼすさんの描くM!LKの空気感、好きです!おまけも楽しみにしてますね~。