テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
桜咲かな
267
眠狂四郎
1,804
厨二病の創破
61
#狂愛
桜咲かな
209
第43話
よく分からなかったので、とりあえず家に帰った。
勿論、誰も居ないし、荒らされても無いけど、何か違和感というか、何かが違うように見えた。
それの正体が何か分からずにその日を終えた。
次の日。
馬は休ませているから、とりあえず自分で街に降りようと思う。
太陽が孤独に歩いている僕を照らしているけれど、北風が冷たくてどうしても厚着が手放せないような陽気だ。
とりあえず、買い足したい日用品と、新しい地図と、マントを買って、サンコウの木に向かった。
正しくは、ソフィーが十五年前に突然、現れた所。
何かヒントがあるかもしれない。そこから暴風が起こったのだから……
サンコウの木へ着くと前見た時のように傷だらけだったけど、力強く生えていて、光っているように見える。心が安らぐというか、力がみなぎってくる……ん?
何だろう……やっぱり引っかかる。
食欲も出てき……あ! 光ってるようにじゃなくて、光ってるんだ!
今まで何で気付けなかったんだ……でも、そういう事だったら、光の力が集まる所に向かえば何か共通点が……?
……そしたらあの、黒いモヤがあった所も?
封印している人は光があった所に戻るの?
でも、あそこはそんなに多く無かったような……
二人で封印していたのなら、片方がいなくなると抑えきれなくなって追い出された……?
あり得る。光がある所だったら治るもん。そりゃ
僕はそんな考えを頭に張り巡らせて血が滲むまで唇を噛みながらまた集中した。ここでならもう少し頑張れる。
僕は瞳を閉じながら深呼吸をした。
目を開けると黒龍と戦った所より強い光と二つの強力な光の筋と細々とした小さな光の筋がある。こんなにも集中できたのは始めてくらいに使える。
僕は黄色い方の筋を追ったけど、離れたら急激に僕に負担がかかって途切れてしまった。
……やっぱり、僕にはできなさそうだな……二人は凄いや……
僕は苦笑しながら、サンコウの木の元へ戻った。
色々と分かって息をつくと、手が震えた。
……これは、怖いから? それとも怒り? 怯えてるから? やるせないから? 何この気持ち?
僕はモヤモヤしながら、草のベッドに寝っ転がって震える手を必死に抑えた。
大丈夫……止まって……
僕は起き上がって手を握りしめた。
✡
あれから気分が良くなってきて、食欲も復活した。熱も下がって、頭痛も無い。丸一日経っても
ロルフさんって、何をしたの? こんなに確実に治せる文献なんてどこにも見つからなかった。しかも、術と……私は一体何の病気で、大丈夫なの?
連れてきた張本人である、騎士団長も『口数が少なすぎてよく分かってない』と言う。
光の中目覚めた気がするのは気の所為かな? 私、あの声以外覚えてないし。
家族もいないし、婚約者もお見合いを何度かしたけれど、条件が合う人がいなかったらしい。隣国や、光の家の子孫の元へ行ったとも。聞いた話だけど……
それにしても『口外しはしないでください。面倒になってしまいますので』って、何だろう? 勘が鈍いせいか全く見当もつかなかった。
私はベッドの上で謎が多い少年――ロルフさんの事について考えた。
というか、何歳? 大人びてるし、態度もしっかりしてるけど……可愛らしい顔つきに華奢な体つきなのは……あ、僕っていう一人称が子供のように見てしまう要因か。
でも、聞く話によると、話しかけなかったら話さないし、無口で無愛想だとも、裏の仕事もしているとか……私には、どれを信じてどれを疑えばいいのかなんて分からない。
……無理をしてたのは分かる。彼は必死に堪えてたように見えた。私を避けられているようにも……
優しいし、忠誠心もしっかりしてるし、礼儀正しいし、何だか前に会った事があるような気がする。
でも、それは絶対に無い。それは分かるけど、どこか懐かしくて、小さな背中で全部を背負っているような心身共に強い人。彼を見ていて思った。
「換気はもう十分です。下がって大丈夫ですよ」
私がそう言うと治癒騎士の男性が窓を閉めて部屋を出た。
……あの人も彼の陰口を言っているとか……まぁ、女性に人気があるし、あれだけ強いから、嫉妬はされるだろうな。
あぁ〜。もう、ロルフさんについての謎は深まるばかりだし、室内でも動くのも許されないし、急に姫様って呼ばれて、本当、何なの。
私はやけになって考え事を全部振り払って頰を膨らませながら布団に潜った。
コメント
1件
こはるさん、第44話、拝読しました。サンコウの木の光の正体に気づくシーン、すごく印象的でした。主人公が「光ってるように見える」から「光ってるんだ」へと認識が切り替わる瞬間の胸の高まりが伝わってきて、一緒に「あ!」ってなりました。一方で、光の筋を追いきれなくて「僕にはできなさそうだな」と苦笑する諦めの切なさも…。ソフィー視点でロルフさんの謎がさらに深まっていくのも気になります。続きが待ち遠しいです🌷