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願うのは、ほんのわずかな愛でした。
あれは、幼い頃の話______
「ねぇ、何してるの?」
「!(ビクッ)」
少年は驚いた目でこっちを見つめている。
「ねぇ、その緑色のぷかぷかしてるの、可愛いね!」
私は、少年の隣にいる緑色の浮いている“人間”みたいなものを見つめた。
少年はその言葉を聞いて、目を見開いたまま、口を開いた。
「え、君…もしかして、見えるの…?」
「うん!そうだよ!…可愛いね!それ!」
少年は何か言いたげに私を見つめている。
「僕は…花京院典明。君の名前は?」
「私?春那美月だよ…美月って呼んで欲しいな。もう一回言うけど、何してるの?」
「ええと…シロツメクサ、探してて…」
少年ー典明はあちらこちらをきょろきょろして、焦っていた。
「それなら、あっちに沢山咲いてるよ!一緒に行こうよ。」
私は、典明くんの手を引っ張って、シロツメクサの沢山咲いている場所へと行った。
これが、私達が仲良くなった初めてな出会いだ。
* * *
「典明くーん!」
私は、シロツメクサの花の冠を作って、典明くんにプレゼントしようとした。
「あ、…美月?どうしたの?」
「じゃーん!これなーんだ?」
「シロツメクサの花の冠?」
すごい嬉しそうな顔をしている。
「うん、そうだよ!これあげるよ?」
「え、いいの?」
私は微笑んで典明くんの頭に被せてあげた。
「すごい似合ってるよ。」
「…ありがとう…」
すごい恥ずかしがってて可愛いかったなぁ。
*****
「ねぇ、美月…」
「ん?どうしたの?」
「これ、前のシロツメクサの花の冠のお返し。」
そう言って、彼は私の左の薬指に何かはめてくれた。
「え、これって…シロツメクサの指輪?ありがとう〜!」
「美月…大人になっても、ずっと一緒でいて?」
「うん!ずっと一緒だよ!」
数年後、私は引っ越してしまい、引っ越し先のショックで、何もかもわからなくなってしまった。