寒いのか暑いのか、晴れてるのか曇り空なのか分からない程に目の前は真っ暗闇でなんとか前に繰り出した足は俺をどこに連れて行こうとしてるのかな?
片想いってこんなに辛かったっけ?佐久間を好きだった時は会う事を拒まれたり拒絶されるような事はなかった。〝いつかきっと〟の思いで嫌なこともたくさんあったけどそれでも楽しかったように思う。
自分のせいで亮平や蓮を傷付けて、それでも尚亮平に愛されたいだなんて都合が良過ぎたんだ。
亮平に拒絶されるたびに〝5分だけ待ってて〟と言って脱衣場に駆け込み涙を拭った。頰をバチンと叩いてはツリちゃんにぶら下がるスワロフスキーを人差し指で突いて〝パワーチャージ〟なんて心の中で叫びながら笑顔で亮平の元へ戻った。
流石のポジティブな俺でも限界はあるんだな…毎日早起きして作ったケーキは昨日のケーキとすり替えて泣きながら頬張った。〝一日冷蔵庫の中でごめんね〟手作りのケーキは形が潰れて無惨な姿で可哀想だった。蓮からは〝よく毎日食べれるね〟なんて呆れられたけど〝ケーキに罪はない〟なんて言いながら泣きながら食べるケーキは甘く涙は思ったほどしょっぱくなかった。
毎日2時起きの俺は、テラスから静まり返った真っ暗な東京の空におはようを告げるとパンダのアップリケ付きのエプロンをキュッと結びケーキを作った。焼き上がりの時間も生クリームを作っている時もその全ての時間が亮平の為に充てられた時間で尊かった。 自己満足といえばそれまでだけど…
今朝はなんだか気分が優れず身体が重たかった。いつもみたいなワクワク感がなくて、傷心の俺は出掛けにウミガメさんからパワーを貰うと〝きっと俺の方が効果あるよ?〟なんてお茶目に笑った蓮に少しだけ甘えた。
翔太💙『抱いてください…あぁまた間違えた//抱きしめて少しだけ』
蓮 🖤『ふふっねぇもうわざとだよね?ねぇちょっと熱くない?熱でもあるんじゃない?』
そう言えば蓮が言ってたな…風邪が感染るといけないからホテルに泊まろうかな。足がふらつき流石に今日はタクシーで帰ろうかと思ったその時、ポタポタと傘に落ちる雨音で雨が降っていたのだと気付いた。俺の左側から顔を覗き込んできたのは蓮だった。
蓮 🖤『やっぱり具合悪いでしょ?』
もう限界だった。膝から崩れ落ちる俺を慌てて受け止めようと離れた手から蓮の握っていた傘が宙を舞った。ゆっくりとスローモーションのように舞う傘はやっぱり大の大人が入るには小さすぎる。
翔太💙『大きい傘買えよ…』
蓮 🖤『また濡れたら拭いてくれるでしょ?そしたらまた抱いてって言ってよ?』
翔太💙『バカだねえお前…俺の次にバカだ』
傷を舐め合う関係も悪くないね蓮。君が居てくれて俺は辛うじて笑顔でいられている。抱き抱えられたまま静かに目を閉じると再び傘を差した蓮が隠れて俺の唇にキスをした。〝隠れ蓑にするには丁度いい〟なんて言っちゃってホント馬鹿なやつ。遠退いていく意識の中、聞こえたのは俺の名前を叫ぶ愛しい人の声だった。あぁとうとう幻聴まで聞こえ出したよ……
亮平 side
怯むな亮平…
俺の前にヒーローのように颯爽と現れた蓮は、翔太に駆け寄ると崩れ落ちるように倒れる彼を抱き支えた。自然と繰り出した足に、自分でも驚くほど大きな声で彼の名前を叫んだ。
亮平💚『翔太!』
駆け寄る俺に蓮は差していた傘を持ち上げるとにっこりと笑った〝遅い…遅過ぎるんだよ〟と言って翔太を抱き抱えたまま立ち上がると俺の家へと向かった。〝俺が変わる…担がせて?〟と差し出した手を振り払われた。
蓮 🖤『これが最後なら…家まで送らせて。俺には長過ぎたよ待ちくたびれた//みんなが傷付いて何になるの?』
亮平💚『ごめんなさい//怖かったんだ……』
蓮 🖤『もう怖くないの?』
〝意地悪言うなよ〟と言った俺に少しくらい小言を言わせてと白い歯を剥き出しにして笑った蓮は愛おしそうに翔太を見つめている。荒く呼吸を繰り返す翔太をゆっくりとベットに降ろした蓮は途中買ってきたと言う風邪薬などをサイドテーブルに置くと〝阿部ちゃんあとは頼んだよ〟と言って優しく翔太のおでこにキスをした。
亮平💚『蓮…ごめんなさい』
蓮 🖤『早く濡れた服を脱がせてあげて…ごめんなさいより〝ありがとう〟でしょ?2人の決まり事だった筈だよ?謝ってばかりだ翔太も…もうこれ以上辛い姿は見たくない』
優しく翔太の頰を撫でる蓮の手に前のような嫉妬心が湧かないのは何故だろう。翔太を手放した俺はもう前のように彼を愛せないのかも知れない…〝俺なんかが翔太を幸せに出来るだろうか〟
蓮 🖤『馬鹿じゃないの?幸せにしてなんて翔太が頼んだ?しょっぴーは自分で幸せになれる方法を知ってるよ?泣いても泣いてもここに通ってるのは何故?』
翔太💙『リョウヘイ…』
蓮 🖤『ほら一緒に居てあげて俺じゃないんだよ阿部ちゃんありがとう2人の優しさに甘え過ぎた』
俺の背中をバシッと叩いた蓮は〝頑張って先輩!〟だなんて意地悪く笑いながらも、帰って行く背中は寂しそうで蓮の優しさに触れた気がした。
玄関に置かれた翔太の荷物から服を取り出すと寝室に戻って服を脱がせていく。白い陶器のような肌はピンク色に紅葉し熱を帯びている。当の本人は体の熱さとは反対に寒いと言ってカタカタと震えた。
亮平💚『大丈夫だからすぐに暖かくなるからね』
翔太💙『夢見てる?亮平で合ってる?』
躊躇いがちに伸びた翔太の手が俺の頰に触れられずに空を掴んだ。頰を伝い流れ落ちる涙は美しく、唇を重ねると声を荒げて泣いた翔太は俺の首にしがみ付いて離れなかった。
亮平💚『ねぇそれじゃあ着替えられないでしょ?お願い少しだけ離れて?熱があがっちゃう』
翔太💙『嫌だ!また1人にする気でしょ?熱なんかないもん。お願いどこへも行かないで』
ごめんねもう離れたりしないから、ずっと一緒に居るからちゃんと風邪治そうね。翔太が欲しい言葉を言えないでいる。弱った彼を目の前にしても、俺の首に、腕にしがみ付く彼に臆病が勝る俺は〝愛してる〟が言えないでキツく抱き締めると肩を震わせ泣いた。その行為が益々彼を不安にさせてしまった。
〝もう一度捨てられるくらいなら…〟そう小さな声で呟いた翔太は
翔太💙『タクシー呼んで…風邪移しちゃ大変だ』
弱々しくそう言うと、握っていた服を俺から取り上げ自分で纏った。〝迷惑かけてごめんなさい〟この期に及んで何を躊躇う?愛する人から愛されるなんて奇跡はそうそう起きないのに、これ以上の幸せはないだろう。気付いたら彼を押し倒し乱暴に服を脱がせていた。驚いた様子の翔太は戸惑いと不安な目を俺に向けている。
亮平💚『愛してる…ごめんなさい喉に支えて‥…ンンンッしょう…』
何処にそんな力残っていたんだよ。首に再びしがみ付いた翔太は自身に引き寄せると熱いキスを交わした。息も出来ない程に貪り合い泣いた。力尽きたように手が離れベットに横たわると〝おやすみもう力残ってない…俺も…愛してるよ亮平さん〟静かに目を瞑った翔太に罵声を浴びせる。
亮平💚『おい嘘だろ頑張れよ?これはエッチするとこだよな?おい翔太!』
翔太💙『ふふっ//急に男出してくるなよ///うるさいよ静かにして?亮平が思ってるより重症だよ?』
復活を夢見る男は甲斐甲斐しく、お粥を作り食べさせると薬を飲ませた。汗を掻いた服を何度も着替えさせ身体を拭いた。時折〝元気になった?〟〝エッチ出来そう?〟なんてムードも何も合ったもんじゃない。その度に〝我慢しろよ変態〟だなんてクスクス笑って、そのやり取りだけでも幸せだった。気付いたらもう既にお昼を過ぎていてテラスに出てキリッとした寒さの中、寒空の東京を見ていた。風が強くイチョウ並木は黄色い絨毯で覆われていく。
翔太💙『今度はお前が風邪引くぞ!』
少し顔色が良くなった翔太は寒そうに肩を抱きながらテラスに出てきた。〝そっちこそ、悪化したらいつまで経ってもエッチ出来ないだろう?〟それしか言うことないのかよと恥ずかしそうにクスッと笑った。〝おいで〟腕を広げた胸になかなか飛び込んで来ない翔太は意地悪そうな顔を浮かべて〝悪化するといけないからベットに戻ります〟だなんて言って俺に背中を向けた。
亮平💚『意地悪言えるならもう元気だね?』
抱き抱えると、翔太は両手で顔を隠している〝何?どうしたの?〟よく見ると耳まで真っ赤だった。〝降ろして〟小さな声でそう言うと〝ダメ…心臓もたない〟だなんて可愛過ぎかよ////
ベットに横たわる翔太は恥ずかしそうに目を逸らし横向きになってまともにこちらを見ていない。
亮平💚『ちゃんと見ろよ?全部覚えてて翔太愛してる。俺の指も唇も髪の毛も全て翔太のものだよもっと愛してるを伝えたい』
翔太💙『まあまあ重そうな愛だね///ふふっあんなに躊躇ってたのに恥ずかしいくらいに愛を叫ぶなよ』
亮平💚『ねぇいつからそんなに意地悪になった?』
〝ねぇ頑固な亮平は何処に行った?〟頰を撫でる翔太の手が温かい。俺の存在を確認するようにゆっくりと撫でた手を取り頬擦りすると〝何処にも行ってない頑固なままだエッチしよっ?〟
翔太💙『頑固だねぇ〜まだ熱あるよ?』
亮平💚『焦らすなよ意地っ張り』
〝お前に言われるなんて心外だ〟煩いお口は閉じてなさい意地っ張りらしく意地でも抱いてやるんだから…口を塞ぐようにキスをした。長く触れ合った唇がじんわりと温かくなっていく。胸の奥まで光が灯ったように温かく、溶けていく感覚がある。
翔太💙『亮平の全部が大好きだ』
意地も頑固も、真面目さもこれまで俺が築いてきたものや、長所も短所も翔太の前では無意味なモノで何の武器にもならない。だって俺の全てを愛してくれる愛おしいと言ってくれるから。
翔太💙『あっでも頑固な性格だけは直せよ?可愛くないぞ』
亮平💚『はあっ💢全部って言ったろ?』
〝怒るなよ////〟薄く開いた隙間から差し込んだ舌が翔太の口内を犯していく。歯列をなぞり 抱き合わせた舌が音を立ててイヤラしく糸を引いた。首筋に這わした舌にくすぐったそうに身体を捩らせ足を絡ませると服を脱がせて行く〝寒い風邪引く〟もう引いてるんだよ馬鹿者〝分かってんなら脱がすなよ〟脱がなきゃエッチ出来ないだろ〝それしか言うことないのかよ〟
亮平💚『好きの向こう側へ行こう?』
翔太💙『エッチするだけだろ?何でもかんでもそれ言うなよ』
亮平💚『ふふっじゃあ快楽の向こう側へ行こう////』
〝うざっ〟これじゃあ何も変わらないじゃないって?変わらないことの方がきっと難しいんだ。翔太とならいつだっていつも通り。安心や安定はお互いに与え合い、愛は愛し合って育んで、身体を重ねて感じてあって、俺たちはいつだってお互い求め合って繋がるんだ。
全ての服を剥がされた翔太の身体に舌が這う。弱々しく俺の腕を握り締めて息を荒げた。胸の突起を舐めればぷっくりと膨らんだ蕾を舌で転がした。吐息が漏れ出て恥ずかしそう頰を赤らめた翔太は〝手握って〟と甘えた声で可愛らしく小さな手をニギニギして見せた。指と指を絡ませ握るとギュッと握り返した翔太は〝捕まえた♡〟だなんて〝捕まっちゃった…恥ずかしい事言わせないで///〟
翔太💙『ずっと手握ってて』
亮平💚『それじゃあ後ろ解せないでしょ?』
〝そう言う事じゃなくて///〟物理的な事じゃないよと恥ずかしそうな翔太の隣でただの変態と化してる俺は見っともなかった。
亮平💚『ごめん///ほんとごめん恥ずかしい』
翔太💙『ふはっ可愛い亮平///じゃっじゃぁ……解して?』
全身ピンク色の翔太は横向きになると恥ずかしそうに手で顔を覆いお尻を突き出して見せた。
亮平💚『鼻血出そう』
翔太💙『馬鹿ばっか言ってんじゃねぇよ』
〝焦るなよ〜〟がっついてんのはそっちだろうと怒られた。〝離さないよ絶対に…泣かないで?ごめんね翔太〟蓮との賭けを決めた翔太が一番不安を抱えていた筈なのに、どうして彼を信じ待っていられなかったのだろう。何故自分ばかりが辛い思いをしていると思ってしまったのだろうか。胸の中で泣き崩れた翔太は必死に手を掴んで離れまいとしがみ付く姿が儚げで可愛かった。
何度身体を重ねてもドキドキするね。白磁の肌は柔らかく吸い付くようにしっとりとして首筋に顔を埋めると耳を舐め回した。鎖骨辺りで小さく握られた拳が可愛らしく小刻みに揺れた。自然と開いた口からは甘い吐息が漏れる。後孔に指を当てがいゆっくりと侵入させるとふぅーと息を吐き少し緊張した面持ちの翔太の手はまだ拳のままだ。
亮平💚『力抜いて?緊張してるの?』
翔太💙『初めてを思い出す///それくらい胸がドキドキはち切れそう』
亮平💚『可愛いこと言うのやめて///食べちゃうぞ』
〝もう食べてんじゃん////〟中まで味わい尽くすよなんてバカみたいな事言っちゃって、俺だって胸がドキドキ騒がしく、どうやって息しているのかさえわからない程に呼吸が乱れ苦しい。指で後孔を解しながら花茎に触れた。先走りで溢れたそこは口に含むとビク付きながらもドクドクと脈を打ち口内で硬さを増していく。
翔太💙『ンンンンッ……亮平//はあっ………んっ』
〝亮平早くキテ…〟横向きに寝かせたままの翔太の中に挿入っていく。みちみちと押し広げながら侵入した中はいつもより温かく、窮屈で蓮とは暫くエッチしていない事が伺えた。ふぅーと再び息を吐いた翔太に〝痛い?大丈夫?〟と尋ねると〝幸せ〟と満面の笑みが返ってきた。屈託なく笑うその姿に自然と涙が溢れた。
亮平💚『ごめんねただいまお尻ちゃん』
翔太💙『なんか変態に塗れてて嫌だソレ////』
〝はぁ?💢じゃぁケツの穴の方がイイってのか?〟馬鹿じゃないの///早く動けよ変態〝ああ゛💢上等じゃねぇか〟2人してケラケラ笑い合った。こんな馬鹿げたやり取りをしている奴らなんて世界中探したって何処にもいないと言う俺に、そんな事ないと言って翔太は首を振った。
翔太💙『馬鹿みたいに愛し合って、馬鹿みたいに喧嘩して裸になって抱き合って、きっと世界中そんな奴らばっかりだよ///特別な愛なんて存在しない』
腰を掴んで奥を目指した。愛はそこら中に溢れ、誰もが愛に触れられる特別なモノではなく、彼こそが特別なんだと。ふたり愛し合えた事が特別で儚く尊い。互いの存在を確かめ合うように繋がり合うと、翔太の手に指を絡ませ腰を打ちつける。引いては押し抽挿を繰り返すたびに、グッと指に力が籠る。声を荒げて顎を上げた翔太は白濁を放って果てるとそれに続いて翔太の中に欲を出した。
コメント
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3回目。 今回あべちゃん長持ちくん💚🤣🤣🤣
3話連続で涙腺壊されてるんだよね😭😭😭
