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コメント
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第六章、読み終わったよ……。黒影のキャラ、すごく深いね。力がなければ守れないっていう哀しみと、でもそのために仮面を被って孤独でいる感じが、蒼牙と重なるところがあって胸が締め付けられた。敵なのか味方なのか、まだ分からないまま終わったのも気になるし、次が楽しみだよ。弦雲さん、ここまで重い空気をちゃんと描写できるのが本当にすごい。この闇を書ける人、尊敬する🌙
天龍の間。
巨大な広間には重苦しい沈黙が流れていた。
玉座に立つ天冥は、蒼牙たちを見下ろしながら静かに笑う。
「ここまで来たことは褒めてやろう。」
蒼牙は蒼月を構え、一歩も引かない。
「今日でお前の野望は終わる!」
その瞬間、玉座の前へ黒い影が降り立った。
黒い外套。
顔を覆う漆黒の仮面。
腰には一本の黒刀だけ。
その男が立っただけで、広間の空気が凍りつく。
狼牙でさえ一歩後ろへ下がった。
黒衣の剣士は静かに刀へ手を添える。
「主君へ近づく者は、この黒影が斬る。」
蒼牙は剣を握り直した。
「来るぞ!」
次の瞬間だった。
黒影の姿が消える。
「速い!」
蒼牙が反応した時には、黒刀はすでに目の前まで迫っていた。
――キィン!
蒼月がかろうじて受け止める。
しかし凄まじい衝撃で蒼牙は数メートル吹き飛ばされ、石柱へ激突した。
「ぐはっ!」
玲が叫ぶ。
「蒼牙!」
玄斎は険しい表情で黒影を見つめる。
「この剣……。」
「まさか。」
弦雲も刀を抜く。
「私が相手をする。」
二人の剣士が向かい合う。
黒影は何も語らない。
弦雲も静かに構える。
そして同時に踏み込んだ。
剣と剣が交わるたび、火花が広間を照らす。
あまりの速さに、玲も紗雪も剣筋が見えない。
影丸が小さくつぶやく。
「これが……最強同士の戦いか。」
十合、二十合と打ち合いが続く。
しかし黒影は息一つ乱さない。
一瞬の隙を突き、黒刀が弦雲の肩を浅く斬り裂いた。
鮮血が床へ落ちる。
蒼牙は目を見開いた。
「弦雲!」
弦雲は後ろへ下がりながら笑う。
「強いな。」
黒影は初めて口を開いた。
「お前も悪くない。」
「だが、まだ届かぬ。」
その冷たい声に、広間全体が静まり返る。
蒼牙は立ち上がり、蒼月を強く握り締めた。
自分も、この戦いへ加わらなければならない。
乱世最大の死闘が、ついに始まった。
蒼牙は口元の血をぬぐい、ゆっくりと立ち上がった。
黒影と弦雲の剣はなおも激しくぶつかり合い、火花が天龍の間を照らしている。
あまりにも速い斬り合いに、誰も割って入ることができなかった。
「弦雲、一人で戦うな!」
蒼牙は叫び、床を蹴る。
蒼月が一直線に黒影へ迫る。
しかし黒影は振り返ることなく黒刀を払った。
――キィン!
蒼牙の剣は弾かれ、そのまま後方へ押し返される。
「まだ未熟だ。」
黒影は静かに言った。
その一言が蒼牙の胸へ深く突き刺さる。
「未熟でも……負けるわけにはいかない!」
蒼牙は再び立ち向かう。
今度は弦雲と息を合わせ、左右から同時に攻撃を仕掛けた。
二人の剣が同時に黒影へ襲いかかる。
だが黒影は最小限の動きだけで二人の攻撃を受け流し、一歩踏み込む。
鋭い一閃。
弦雲は紙一重でかわしたが、蒼牙の肩が浅く斬り裂かれた。
鮮血が飛び散る。
「蒼牙!」
玲は思わず叫んだ。
「大丈夫だ!」
蒼牙は傷を押さえながら立ち上がる。
玄斎は戦いを見つめ、低くつぶやいた。
「黒影の剣は力でも速さでもない。」
「相手の動きを完全に読んでいる。」
影丸もうなずく。
「ならば、読み切れない攻撃を作るしかない。」
その言葉を聞いた蒼牙は弦雲を見る。
弦雲も静かにうなずいた。
二人は言葉を交わさず、それだけで互いの考えを理解する。
次の瞬間、蒼牙が正面から突撃し、弦雲が天井近くまで跳び上がる。
黒影は蒼牙へ意識を向けた。
その一瞬の隙。
弦雲が上空から鋭い一撃を放つ。
黒影は素早く受け止めたものの、その間に蒼牙の蒼月が黒影の左腕をかすめた。
黒い外套が切り裂かれ、一筋の血が流れる。
広間が静まり返る。
狼牙が目を見開いた。
「黒影様が……傷を負った。」
天冥も初めてわずかに表情を変えた。
黒影は流れる血を見つめ、小さく笑う。
「なるほど。」
「少しは楽しめそうだ。」
そう言うと、黒刀から今まで以上に濃い黒い闘気が噴き上がり、広間全体を包み込んだ。
玄斎はすぐに叫ぶ。
「全員下がれ! 本気を出すぞ!」
黒影は静かに刀を構え直した。
「ここからが、本当の戦いだ。」
後ろから弦雲が現れる。
「今だ。」
二人の剣が同時に黒影へ向かう。
黒影は後退し、距離を取った。
広間に静寂が戻る。
蒼牙たちは息を整える。
黒影はしばらく黙っていた。
そして、ゆっくりと口を開く。
「面白い。」
「ここまで私を追い込んだ者は久しい。」
天冥が玉座から立ち上がる。
「黒影。」
「そろそろ終わらせろ。」
黒影は静かにうなずいた。
「承知しました。」
その瞬間、黒影の周囲にさらに濃い闇が集まる。
まだ第二段階の力を残していた。
蒼牙は蒼月を握り直す。
「まだ……終わっていない。」
乱世最大級の剣士同士の戦いは、さらに激しさを増していく。
黒い闘気が天龍の間を覆っていく。
蒼牙は息を整えながら、目の前の黒影を見つめた。
今までの攻撃とは違う。
黒影の姿から感じるものは、ただの殺気ではなかった。
悲しみ。
孤独。
そして、長い年月を戦い続けてきた者だけが持つ重さだった。
「なぜだ。」
蒼牙は問いかける。
「なぜ、そんな力を持ちながら人を苦しめる側にいる。」
黒影はしばらく黙っていた。
やがて、低い声で答える。
「力がなければ、何も守れないからだ。」
その言葉に、玄斎の表情が変わる。
「白夜……。」
黒影の手がわずかに止まった。
「その名で呼ぶな。」
冷たい声。
しかし、その奥には揺れる感情があった。
蒼牙は気付く。
黒影は本当に何も感じていないわけではない。
過去に何かを失い、その痛みを隠すために仮面を被っているのだ。
「お前も……俺と同じなのか。」
蒼牙の言葉に、黒影は目を細める。
「同じ?」
「家族や大切なものを失って、それでも前へ進もうとしている。」
「だから俺には分かる。」
蒼牙は蒼月を構える。
「その苦しみを、間違った方向へ向けてほしくない。」
黒影は静かに刀を構えた。
「甘いな。」
「乱世では、そんな考えでは何も変えられない。」
二人の間に再び緊張が走る。
その時、天冥が笑った。
「くだらない。」
「過去の傷など、弱者の言い訳だ。」
黒影の目が一瞬だけ鋭くなる。
蒼牙はその変化を見逃さなかった。
黒影は天冥を完全には信じていない。
だが、なぜ従っているのか。
その理由はまだ分からない。
黒影は刀を振り上げる。
「次の一撃で終わらせる。」
蒼牙も蒼月を握り締める。
「来い。」
「俺は絶対に負けない。」
二人の剣士が同時に踏み込む。
黒刀と蒼月。
二つの刃が再び激しくぶつかった。
乱世の運命を変える戦いが、最高潮へ達しようとしていた。
そして黒影は小さくつぶやいた。
「……甘いな。」
だが、その声には初めて少しだけ温かさがあった。
天冥はその様子を見て、表情を曇らせる。
「くだらん。」
「情など、乱世では何の役にも立たない。」
その瞬間、城全体に大きな鐘の音が響いた。
戦況が変わった。
敵軍が王城へ迫っている。
影丸が外の様子を確認する。
「急いでください!」
「新たな軍勢が近づいています!」
蒼牙たちは黒影を残し、撤退の準備を始める。
しかし蒼牙は最後に一度だけ振り返った。
黒影は何も言わない。
ただ、静かに立っていた。
敵なのか。
味方なのか。
まだ誰にも分からない。
だが、この出会いが乱世の未来を大きく変えることになる。
蒼牙は驚く。
「なぜ助ける。」
黒影は背を向けたまま答える。
「まだ、お前の答えを見ていないからだ。」
「乱世を終わらせると言った、その言葉が本物かどうか。」
蒼牙はしばらく黙った。
そして、うなずく。
「必ず証明する。」
蒼牙たちは脱出口へ向かう。
しかし最後に蒼牙は振り返った。
黒影は一人、天龍の間に残っていた。
敵の中にいる孤独な剣士。
その姿は、かつての自分と重なって見えた。
そして夜明け前。
蒼牙たちは王城を脱出する。
だが、乱世の戦いはまだ始まったばかりだった。
新たな敵。
新たな仲間。
そして、まだ知らぬ巨大な陰謀。
すべてが蒼牙を次の戦場へ導いていく。
――第五章 完
第六章「新たな同盟」へ続く。