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#三角関係
霞花怜
1,066
#イラスト部屋
寿命㌫(主) 🔮🖤ᩚ
695
「な、なに……?」
「柊吾さんが、大樹と連絡を取り合っていたなんて、俺は知りませんでした」
至近距離のまま、瑞樹の声のトーンがすっと低くなる。
「今日のカラオケ大会、大樹に知らせたのは柊吾さんなんですよね? いつの間に連絡先を交換したんですか?」
じとりと見つめてくる瑞樹の瞳には、拗ねたような、それでいて逃さないぞと言わんばかりの粘着質な光が宿っていた。
「そ、それは……。ええっと、黒瀬さんが仕事でいない時にふらりとやって来た時があって。その時に成り行きで交換しただけで……」
「……その話、僕は聞いてないんですが?」
「そ、そうだっけ? あぁでもほらっ、あの人、いつもフラって現れるし! と言うか、お茶飲んで帰ってっただけですし」
「いつも? ……ふぅん?」
視線を泳がせ、必死に平静を装おうとするが、頬に集まる熱や小刻みに震える指先はどうにも止められない。
別に疚しいことはないはずだ。ただ額にキスをされただけで、自分から望んだわけでもない。それなのになぜ、こんなにも心臓が痛いくらいに脈打っているのだろう。
嘘をついているわけじゃない。けれど、正直に話してしまえば、瑞樹がどれほど不機嫌になり、あの執着をさらに向けられるか――それを想像するだけで、喉の奥がきゅっと詰まって声が出せなくなる。
「柊吾さん」
「な、なに……」
「柊吾さんって、嘘が下手ですね。目が泳いでますし、指先も震えてる」
瑞樹の視線が、柊吾の指先へすっと落ちた。逃げ場を塞ぐように一歩詰め寄られ、見透かされた羞恥に、柊吾は思わずぎゅっと拳を握りしめる。
「……っ、それは、その……」
「……まあ、いいです」
瑞樹はそれ以上追及するのをやめるように、ふっと小さく息を吐いて体を離そうとした。
その背中を見て、柊吾の胸がひやりとした。
「っ……」
怒らせてしまった、愛想を尽かされるかもしれない――そんな焦りと不安が胸を突き上げ、落ち込んだ柊吾は反射的に動く。離れていく瑞樹の服の裾を、震える指先でぎゅっと掴んで引き留めた。
「……額に、軽くキスされただけで……それ以上もそれ以下でもないですから……!」
逃げ出したい衝動を必死に抑え込み、これ以上怒らせたくない一心で、柊吾は赤く染まった顔を上げ、絞り出すような声でそう告げた。自分から余計な事実を白状してしまう情けなさに唇を噛み締める。
瑞樹はしばらくじっとその様子を見つめ、何かを測るように考えてから、「そう、ですか……」と小さく息を吐いて――不意に、呆れたような、けれど底抜けに愛おしそうな笑みを浮かべた。
「……本当に、柊吾さんは可愛いですね」
「はぁ!? 何言って……」
「わざわざ、そんな事白状しなくてもいいのに……」
「だって、怒ってるじゃないですか。僕は、黒瀬さんを怒らせたいわけじゃないから……だから……っ」
恥ずかしさで泣きそうになりながら抗議する柊吾の腕を、今度は優しく、けれど絶対に逃がさない力加減で瑞樹が引き寄せる。
「怒ってはいますよ、俺の知らないところで大樹と仲良くしていた事に。でも、こうして必死に俺に言い訳してくれるところを見たら……全部吹き飛んじゃいました」
耳元で紡がれる低い声と共に、瑞樹の腕が背中をしっかりと抱きしめる。強張っていた柊吾の身体の力が、安心感と恥ずかしさの入り混じった熱の中で次第に抜けていった。
「……もう、怒ってないんですか?」
おずおずと顔を上げて尋ねると、瑞樹はふっと目を細め、額に自分の額をこつんと合わせてきた。
「怒ってないと言ったら、嘘になります。……でも、それ以上に」
至近距離で、瑞樹の瞳が甘く揺れる。
「俺のために必死に言葉を探してくれる柊吾さんが、愛しくて仕方ない。それだけで、もう十分です」
「……っ」
柔らかく重なる視線に、先ほどまでの緊張とは違う、甘い痺れが胸の奥からじわりと広がっていく。
コメント
1件
うわああ、もうこの2人の距離感がエモすぎてやばいです……! 瑞樹の「嘘が下手ですね」からの追及、一瞬ひやっとしたけど、最後に「愛しくて仕方ない」って言い直すのがズルすぎる。柊吾が震えながら服の裾掴んで白状するところ、めちゃくちゃ可愛くて胸がギュッとなった。執着と甘さのバランスが絶妙で、読んでてこっちまでどきどきしました🔥 次も楽しみにしてます!