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私は中学生に、海斗は小学1年生になる年の春休み。父と母が真剣な顔をして私たちを呼んだ。
「どうしたの?」
「大切な話なんだ。この話をするには早すぎると思ったんだが、社長が頃合だと言うからな…」
社長、というのが誰かはわからないが、質問する気にもならなかった。大体の予想はできている。
「実は…俺たちは消防士やパートが本業じゃないんだ」
「え?うん、知ってるけど」
「あー…やっぱり」
海斗とほぼ同時に言う。海斗は頭がいい。やっぱり気づいていたらしい。
とはいえ、海斗に生々しい血の匂いを嗅がせるわけにはいかないから、アホ両親の正体がバレないように全力を尽くしたのだけど。それでも何かがおかしいと気づくのは、やはり私の弟なだけあるというわけだ。
「2人とも気づいてたの?」
「5、6歳のときに見たからね」
「仕事のわりにお金もってるな…と思って」
2人は唖然としている。やはりアホだ。なぜ私たちの頭ができたのか謎なくらいに。
「俺たちはKEELという、警察に協力するための殺し屋の事務所に所属しているんだ」
「警察に協力?人を殺すことが?」
「殺すのは終身刑が決まった人だけだ。他は拘束するために活動している」
「じゃあ、殺したことはあるんだね」
「…あぁ」
私は海斗を連れて家を出た。なぜかわからないけど、海斗にはこんな話を聞かせたくないという思いがいちばん強かった。
まだ春だと言うのに今日は暑い。公園の木陰で座り込む。
「ごめんね海斗、何も言わず連れてきちゃった」
「ううん。姉さんのせいじゃない」
海斗の手と声が震えていた。まだ6歳だ。いくら頭が良くても怖いものは怖い。現実を受け入れられなくてもおかしくはないのだ。
「海斗、私たちこれからどうやって生きていこう」
「…わからない」
「ほんと、わからないことばっかりだよね」
私たち子供に、自由という言葉は存在しないのだろうか。お金を稼げるようになるまでは親の支援を受けなければならない。大人になるために必要な勉強をしなければならない。生きるにはどうしたって親が必要なのだ。
それなのに、その親が犯罪を犯している。人を殺している。命を奪って、私たちを育てているのだ。
「あー…きもちわるい」
本当に、気味が悪い。
コメント
1件
Luluさん、第15話読みました。家族の秘密が明かされるタイミングと、姉弟の反応がすごくリアルで苦しかったです。特に「きもちわるい」という最後の一言が、ただの嫌悪じゃなくて、育ててもらったことへの複雑な感情が滲んでいて…。6歳の海斗の震えと、中学生の姉が「どうやって生きていこう」とつぶやく対比も効いてました。この設定の先がすごく気になります。