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かは
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iroha
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翠桃
地雷彡バックor自衛
御本人様関係ありません
超下手
ここから出して。
⸻
Prologue
「桃ゞ、好きだよ」
翠はいつだって優しかった。
朝起きればおはようと言ってくれて、疲れているときには甘やかしてくれて、寂しいときには隣にいてくれる。
俺にとって、翠は理想の恋人だった。
少なくとも、あの日までは。
⸻
1. 優しい恋人
桃「翠ー!」
翠「ん、どうしたの?」
桃「今日さ、帰りに寄り道しない?」
翠「いいよ。どこに行きたい?」
桃「んー、特に決めてない!」
翠「ふふ、桃ゞらしいね」
翠は俺の頭を優しく撫でた。
この人は本当に優しい。
付き合って一年。
喧嘩らしい喧嘩もしたことがないし、嫌なところなんて思いつかない。
翠「桃ゞ」
桃「ん?」
翠「今日、うちに泊まりに来ない?」
桃「え、いいの?」
翠「もちろん。いっぱい甘やかしてあげる」
桃「やった!」
翠「ふふ、ほんとかわいいなぁ」
そのときの俺は、何も疑っていなかった。
⸻
2. 少しの違和感
数日後。
桃「なぁ翠、今週末友達と遊んできてもいい?」
翠「友達?」
桃「うん!久しぶりに会うんだよね」
翠「……誰と?」
桃「え?」
翠「いや、誰なのかなって」
桃「あー、昔からの友達!」
翠「ふぅん」
少しだけ、翠の声が低くなった気がした。
桃「……だめ?」
翠「ううん。いいよ」
桃「ほんと!?」
翠「ただ、俺も一緒に行きたいな」
桃「え、友達もいるし、今回は二人で遊んでくる!」
翠「……そっか」
翠は笑っていた。
いつもと同じ、優しい笑顔。
なのに、どうしてか。
その笑顔が少しだけ怖かった。
⸻
3. 連絡
遊びに行った日の夜。
家に帰ってスマホを見ると、翠から何件も通知が来ていた。
翠『今どこ?』
ヾ『まだ遊んでる?』
ヾ『桃ゞ』
ヾ『返信してほしいな』
ヾ『寂しい』
桃『うわ、ごめん!全然気づかなかった!』
翠『おかえり』
ヾ『楽しかった?』
桃『めっちゃ楽しかった!』
翠『よかったね』
桃『今度は翠とも遊ぼ!』
翠『うん』
ヾ『でも、俺は桃ゞが誰といるより、俺と一緒にいる時間が一番好きだよ』
桃『俺も!』
翠『……本当?』
桃『本当だって笑』
翠『そっか』
ヾ『ならいいんだ』
その日の会話は、それで終わった。
けれど、翌日。
翠から突然、電話がかかってきた。
⸻
4. お迎え
翠「桃ゞ、今から会える?」
桃「いいよ!どうしたの?」
翠「ちょっと寂しくなっちゃって」
桃「ふはっ、なんだそれ笑」
翠「だめ?」
桃「いいよ!今から行く!」
待ち合わせ場所に着くと、翠はいつも通りの顔で立っていた。
翠「桃ゞ」
桃「お待たせ!」
翠「ううん」
翠は俺の手を取った。
翠「会いたかった」
桃「俺も!」
翠「ねぇ、今日うちに来ない?」
桃「いいけど、着替えとか持ってきてないよ?」
翠「貸してあげる」
桃「じゃあ、お邪魔しようかな!」
翠「ふふ」
翠は嬉しそうに笑った。
それが、最後の普通の日常だった。
⸻
5. 知らない部屋
目を覚ました。
知らない天井。
知らないベッド。
そして、見慣れない部屋。
桃「……ん、あれ?」
昨夜、翠の家に泊まったはずだ。
なのに、どうしてこんな部屋にいるんだろう。
桃「翠ー?」
返事はない。
ベッドから降りて、部屋のドアに手をかける。
ガチャ。
開かない。
桃「……え?」
もう一度、ドアノブを回す。
やっぱり開かない。
桃「ちょ、嘘だろ……?」
そのとき。
ガチャリ。
外から鍵の開く音がした。
翠「桃ゞ」
桃「……翠?」
翠「おはよう」
翠はいつも通りの笑顔で、部屋に入ってきた。
桃「ここ、どこなの?」
翠「俺の家だよ」
桃「いや、そうじゃなくて……なんで部屋から出られないの?」
翠「あぁ」
翠は少し考えるように首を傾げた。
翠「出さないようにしてるからだよ」
桃「……は?」
翠「桃ゞ、昨日言ってたでしょ?」
桃「何を……?」
翠「俺と一緒にいるのが一番好きって」
桃「それは……!」
翠「嬉しかったなぁ」
翠は俺の隣に腰掛けた。
翠「だから、ずっと一緒にいられるようにしたんだ」
桃「何言って……」
翠「もう誰かと遊びに行かなくていいよ」
桃「翠、冗談だよな?」
翠「冗談に見える?」
笑顔だった。
いつもと同じ、優しい笑顔。
なのに、目だけが笑っていなかった。
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6. 本当の気持ち
桃「……帰りたい」
翠「なんで?」
桃「なんでって……家に帰らなきゃだめだろ!」
翠「ここが桃ゞの家だよ?」
桃「違う!」
翠「……そっか」
翠は静かに俺を見つめた。
翠「俺、桃ゞのこと大切にしてるつもりだったんだけどな」
桃「大切にしてくれてるなら、ここから出してよ」
翠「それはできない」
桃「なんで……!」
翠「だって、桃ゞはすぐどこかに行っちゃうから」
翠の声が少し震えた。
翠「俺がいないところで笑って、俺の知らない人と話して、俺の知らない時間を過ごして」
桃「それは普通のことだろ……」
翠「分かってるよ」
翠は笑った。
翠「分かってるけど、嫌なんだ」
桃「翠……」
翠「俺だけを見ていてほしい」
翠は俺の手を握った。
翠「桃ゞの一番でいたい」
桃「……」
翠「桃ゞが一番に頼る人も、一番に会いたい人も、全部俺がいい」
その言葉は、あまりにも優しかった。
だからこそ、怖かった。
⸻
7. 優しい檻
それから数日が経った。
食事は用意される。
服も用意される。
欲しいものを言えば、翠は何でも買ってきてくれる。
けれど、部屋から出ることだけは許してくれなかった。
桃「……翠」
翠「ん?」
桃「俺、いつになったら帰れるの?」
翠「……まだそんなこと言うの?」
桃「だって、ずっとここにいるんだよ?」
翠「不自由ないようにしてるでしょ?」
桃「そういう問題じゃない!」
翠「桃ゞ」
翠は俺の頬に手を添えた。
翠「俺のこと、嫌いになった?」
桃「……嫌いじゃない」
翠「ならいいじゃん」
桃「でも、帰りたい」
翠「……そっか」
翠は少しだけ寂しそうに笑った。
翠「俺はこんなに好きなのにな」
その言葉に、何も返せなかった。
⸻
8. 何度目かの朝
桃「……翠」
翠「ん?どうしたの?」
桃「今日も、ここにいる?」
翠「いるよ。どこにも行かない」
桃「……そっか」
翠は嬉しそうに笑って、俺の頭を撫でた。
翠「桃ゞは?」
桃「え?」
翠「俺と一緒にいてくれる?」
桃「……」
翠「ねぇ、桃ゞ」
桃「……いるよ」
翠「本当?」
桃「うん。ここにいる」
翠「ふふ、よかった」
翠は俺を抱きしめた。
その腕の中は、昔と何も変わらないくらい温かかった。
帰りたい。
そう思っていたはずなのに。
翠がいない時間を考えると、胸が苦しくなった。
翠「大好きだよ、桃ゞ」
桃「……俺も」
翠「ふふ、知ってる」
翠は俺の髪を優しく撫でた。
俺はもう、帰りたいとは言わなかった。
⸻
Epilogue
翠「桃ゞ」
桃「……なに?」
翠「今日も一緒におれて幸せだね」
桃「……うん」
翠「ずっとこうしていたいな」
桃「……」
翠「ねぇ、桃ゞ」
翠は俺の手を握った。
翠「俺のこと、好きって言って?」
桃「……好きだよ」
翠「ふふ」
翠は満足そうに笑った。
翠「俺も大好き」
そして、部屋のドアに鍵をかける。
カチャリ。
その音を聞いて、俺は静かに目を閉じた。
もう、鍵の音を怖いとは思わなかった。
いや。
怖いと思わないようにした。
だって、翠は優しいから。
俺のことを誰よりも愛してくれるから。
だから、これでいい。
これでいいんだ。
翠「おやすみ、桃ゞ」
桃「おやすみ、翠」
翠の胸元に顔を埋める。
帰りたい。
そんな気持ちは、もう口にしなかった。
だって、翠がいない世界より、ここにいる方がいいと思ってしまったから。
――ここが、俺の帰る場所。
END.
コメント
1件
いやいやいや、最後まで読んで鳥肌止まらんかった😭💦 最初はめっちゃピュアなカップルかと思いきや、“出さないようにしてる”からの展開、じわじわくるタイプの恐怖やった…。 翠の優しさが全部“檻”に見えてくるの、マジで怖いのに切ない。 桃ゞが「帰りたい」って言わなくなっちゃったラスト、胸がギュッてなったよ…。 続きが気になりすぎる…!!