テラーノベル
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「お先に」
「お先っ」
収録を終え、照と俺が先を争うように楽屋を飛び出すと、どちらともなく局の廊下を走り出し、そのままエレベーターへと飛び込んだ。
ちょうど来たエレベーターには、スタッフが一人だけ。彼はB1の駐車場に着く前に、俺たちに頭を下げて途中階で降りて行った。
訪れた無音の空間。
どちらともなく小指を繋いで、これ以上誰も乗り込まなそうなのが分かると、照が俺の顎を持ち上げてキスを降らせた。
「………ばか」
口ではそう言いつつも、嫌な気はしない。
いつだってスキンシップが過剰な照には愛されてると感じるから。どちらかが次の現場へ行く時も、このまま二人で照の家に直行する時も、楽屋の外でキスをするのはなんとなく俺たちの習慣になっていた。
しかし、性欲強めの照は時に猛りすぎててちょっと待てよ、となることもある。そしてこの日は、その待てよってなった日だった。
◇◆◇◆
今日の照は変だ。
エレベーターから降り、移動車に向かおうとした俺の腕を掴むと、照は迷いなく人気のない非常階段へと俺を誘導した。収録が押したせいで時刻はほぼ真夜中。ひっそりとした局の駐車場内には車は数台しか残っていなかった。
「照?」
照は、スマホを取り出すと、俺と渡辺はタクシーで帰るからと俺の同意もなしにマネージャーに伝えている。通話を切ると、照はにやりと笑った。
その時俺はやっと気づいた。
照の口元は笑ってるのに、目がまったく笑っていないことに。
◆◇◆◇
「やだっ……ひかるっ……人が来るって…っ」
「だから脱がしてないじゃん」
非常階段の一番下の突き当たり。
薄暗い照明に照らされた白い無機質な壁に両手をつき、今、俺は前屈みで立たされている。照の手は忙しなく俺の胸の先端を捏ね、俺は唇を噛んで、必死に自分の声を押し殺していた。 ただでさえ声が反響するこの場所で、いつ人が来るともしれない状況に冷や汗が吹き出している。
「っは……ぁ……んっ……ああ…」
「翔太、今日さあ、目黒と何話してたの?」
照は、耳元で俺に言う。
答えたくても答えられない。指先が意地悪く俺の感じるところをずっと擦っているからだ。俺は目を閉じて、声を我慢することに集中した。
すると照は、わざとらしくため息を吐いて、片方の手を俺の口に入れ、無理やりにこじ開けさせた。
「あっ……はっ……んっ…」
閉じることのできなくなった口から、息混じりの声が漏れる。照の大きな身体は後ろからすっぽりと俺に覆い被さり、胸を弄っていた手は、今や前を握っている。早くも迸る先端からの先走りとともに、くちゅくちゅと上下する手の動きで少しずつ頭がぼんやりしてきた。こんなところでイクわけにはいかない。イキたくないのに、照は手の力を緩めない。だめだ、だめだと思うほどに腰が動いて感じてしまう。
「やめて……いっちゃうから……ぁっ…」
それでも何とか抗議すると、照はゆっくりと手を離した。ぬるぬるとした嫌な感触が下着を濡らしているのがわかる。
「目黒と何話してたの」
「はぁ……っ…」
「俺のいる現場で、あんまり俺を妬かせないでよ?」
不機嫌そうに口を尖らせて同じ質問を繰り返してくる照と漸く目が合う。
俺は振り返り、照の首に腕を回した。そして回した腕を引き、近づいてきた唇に舌を挿し込んだ。
身体が熱い。
自分でやめろとは言ったものの、本当に呆気なくやめられてしまうと下腹部が疼いて辛い。
もう移動車もない。
今、外に出たらメンバーと鉢合わせするかもしれない。
次から次へと纏まらない思考が俺の頭を駆け巡るけど、今はコイツが欲しくて堪らない。
「なんも……っ…話してない。涼太のことで…話を聞いてやってただけだ…」
収録の合間に、めめが涼太のことが気になるというので、好物とか好みそうな場所とかを聞かれていたのを手短に説明する。最初は深いキスを受け入れるだけだった照が、事情に納得すると、反撃とばかりに自分から舌を抱き合わせ始めた。
「このままシたい……。イイ?」
照は勃ち上がったものを俺に触れさせ、また後ろを向かせた。
その時。
……カツン。
非常階段を降りてくる音が上方でしたかと思うと、靴音が暫く続き、最後にドアの開閉音が続いた。二人、慌てて息を止めた。
目を合わせ、上を見上げる。
人の気配は消えたように感じた。
しかし、弛緩した体にいきなり突き立てられた欲望の感触に思わず大きな声が出てしまう。
「ああんっ!!!」
「翔太、声」
いきなり挿れて来るからだろ、そう怒鳴りつけたいのに、場所が場所だけに大きな声は出せない。あとはなるべく喘ぐ声が大きくならないように、強い刺激と快感を低い声で逃すように我慢するしかなかった。
「むちゃくちゃ締まるね?」
ローションもなしだから、後ろは結構痛い。痛いけど、興奮しているのか照はいつもより早く中でイキ、中で放たれた白濁のお陰で不本意にも感触が滑らかになってからは、痛みに気を取られることなく、俺も次第に気持ち良くなっていった。
「あんっ、あんっ、あっ、ああーーーーっ!!」
◆◇◆◇
「おい、なべ。ここの非常階段、出るらしいぞ」
後日。
そう言って、俺をビビらせようとしてきたふっかの言葉に、俺が違う理由でビビっていたことは絶対に言えない。
おわり。
コメント
18件
ごちそうさまです🫣💛💙 最高✨✨✨
かわいいしほんと仕事がはやい…!🥹 二人のリンク感じてきゃーってなりました😳