ガチャッ
阿部)どうぞー、
〇〇)お、お邪魔しまーす…、
久しぶりの亮平の家は相変わらず清潔で安心感があった。
私がソファに座ると亮平はキッチンに回る。
阿部)〇〇は紅茶だよね?
〇〇)はい!ごめんなさい、いつも出してもらっちゃって。
阿部)ううん、俺が出したくて出してるだけだから。
阿部)いつもお客さんには絶対飲み物出すって決めてるんだ。
〇〇)そうなんですか?
阿部)うん。あったかい飲み物飲んでたほうが落ち着くでしょ?
そう言いながら私の前にティーカップを置いた。紅茶からほのかなラベンダーの茶葉の香りが広がった。
〇〇)ラベンダーですか?
阿部)うん。ラベンダーティーって言って、リラックスしたい時に飲むんだって。
紅茶を口に運ぶと口の中に優しい甘さとほのかな渋みが広がった。
〇〇)美味しい…
確かに気持ちがスッキリする。紅茶の暖かさが胸に沁みる。
紅茶は飲みやすくてスルスルと飲めてしまった。
亮平も私の隣に腰掛けてニコニコとその様子を眺めていた。
カップを受け皿に置くと自然と涙が溢れてきた。
阿部)大丈夫?〇〇?
亮平が背中をさすってくれる。
〇〇)私ずっと怖くて、早くここから出たい、逃げたいって思ってて。
〇〇)このまま一生亮平に会えなかったらどうしようって考えてた。
〇〇)でも、亮平が来てくれて、嬉しかったけど…、ちょっと怖かった、
阿部)どうして?
〇〇)亮平まで巻き添え喰らわしちゃったって思って。目黒くんに何されるかもわかんないのに。
阿部)なんで?好きな人を助けるのは当たり前じゃん。〇〇が1番大切な人なんだから。
〇〇)ごめんね…、
阿部)ごめんなさいじゃないでしょ?
亮平が私の顔を覗き込む。
〇〇)…ありがとう。
阿部)よくできました。
亮平が私を抱きしめてくれる。
その温かさと安心感で私はまた涙が止まらなくなった。
阿部)また泣いちゃったの?
〇〇)安心しちゃって、
阿部)…
チュッ
〇〇)…⁉︎
阿部)んふふ、可愛かったからつい…ってえ?
私が亮平にキスをすると驚いたように目が見開かれた。
〇〇)亮平って人からキスされるの弱いよね。
阿部)うるさいっ//
ガチャッ
ちょうどその時玄関のドアが勢い良く開いた。
私の顔がサーっと青ざめる。そこにいたのは目黒くんだった。
亮平が素早く私を守ってくれた。
〇〇)なんでここが…!
目黒)〇〇にGPSつけてるんだからそれぐらいわかるよ。
目黒くんがズカズカと私たちの方に向かってくる。
阿部)〇〇に触るなっ!
亮平が私の前に立ち塞がって私を庇う。
目黒)…どいてください。阿部先生。
阿部)やだっ!
目黒)どかないとあの録音バラしますよ?
阿部)っ…!
亮平が黙り込む。
〇〇)もうやめてっ!
思わず私の口から叫び声が漏れた。
目黒)〇〇?
〇〇)目を覚ましてよ!前はそんなんじゃなかったじゃん…、
〇〇)今の目黒くんは全然かっこよくないよ…
目黒)え…、なんで…?こんなに好きなのに…?
阿部)〇〇の言う通りだよ。伝え方が間違ってる。
〇〇)目黒くんは寂しいんだよ…、
目黒)俺が…寂しい…?
〇〇)目黒くんの生活は充実し過ぎていた。だけど愛が無かった。
〇〇)…だから物足りなくた私に依存した、
目黒)愛…、
目黒)そうだよっ、小さい頃から親が全然家に帰ってこなくてっ、たまに帰ってきてもずっとイライラして仕事の愚痴ばっかりだった。
目黒くんの瞳から大粒の涙が溢れる。
目黒)中学に入っても友達もできなくて好きな子もいなくて全然楽しくなかった。
目黒)俺生きてて意味あるのかなって思った。それで自殺しようと思って。
目黒くんの目から溢れる涙は止まらない。
目黒)でもそんな時に止めてくれたのが〇〇だった。
『君そんなところで何してるの?』
『自殺なんかしちゃダメだよ?辛いならいつでも私のところ来ていいから』
目黒)初めて俺に寄り添ってくれた人で初めて俺が好きになった人だった…!
目黒)それからずっと女の子のこと探して2組の子だってわかって、一緒の高校に行きたかったから勉強も頑張った。
目黒)一緒の高校に行けた時は嬉しくて泣きそうになった。
目黒)同じ高校に入っても想いは止まることがなくて。〇〇の笑顔見るたびにますます惹かれて行った。
目黒)だからどうしても〇〇を自分のものにして手に入れたかった!
阿部)目黒…
〇〇)目黒くん。気持ちはとっても嬉しい。ありがとう。
〇〇)でもその気持ち、受け止めるのは私じゃない。
〇〇)目黒くんなら気付けると思うー
目黒くんの頬に手を伸ばす。
〇〇)あなたを本当に受け止めて癒してくれる人。
私の頬にも涙が伝った。
〇〇)私はもう見つけたよ。
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おわりっ!多分次が最終回になるかも。
阿部ちゃんの寝顔めっちゃ可愛かったな〜
ᵀᴴᴬᴺᴷ ᵞᴼᵁ ◡̈*
コメント
1件
次が最終回、、楽しみにしてます!!