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額に当てられた氷袋の冷たさよりも、律の指先の温もりの方が鮮明に伝わってくる。
胸の鼓動が早すぎて、華は思わず目を逸らした。
「……桜坂さん、まだ痛みますか?」
律の低い声が、すぐ近くで響く。
「……律さんって……ずるいです」
「え?」
「優しいくせに、気づいてない顔するから……私、どうしていいか分からなくなるんです」
自分でも止められない言葉に、華の頬は真っ赤になった。
律は一瞬息を呑み、心臓が大きく跳ねる。
(……俺だって、もう気づいてるのに)
視線を逸らそうとしても、どうしても華から離せなかった。