【清×大英帝国(腐/ほのぼの)】
神カプを提供してくださった神様:一王国さん
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・清攻め/英帝受け……のつもりなのですが、正直左右あんまり気にしないでください。清がマイペースど天然なので。
・地雷の方自衛推奨
・英帝と清の語尾とか一人称とか、性格に関して解釈違いがあったらめんごりません
・アヘン戦争匂わせ描写アリ
・旧国注意
1842年秋
清と大英帝国の両国間では、南京条約による重たい泥水が乾かぬまま、清国側には屈辱の余韻が重く漂っていた。
一方、大英帝国の船団は傲慢気な勢いを湛えて香港の港を後にし、紫禁城へと向かう。
ひんやりと白い月が街を見下ろす真夜中の北京。
英帝は、重厚なブーツで紫禁城の石畳を踏みしめ、カツカツと硬い音を響かせた。
背後では部下の運ぶ荷物が仰々しい物音を立てている。
上品に結われた重厚な箱に眠るのは―
透き通った瞳で静かにこちらを見つめるヴィクトリア女王の肖像画。月光に翳せば淡く光を揺らすガラスの器。
そして、チクタクと時の脈を刻んで虚を弾く機械時計。
それだけではない。様々な小さな西洋風の彫刻や装飾品が、高潔な空気とともに箱の中で揺られていた。
だが、その上品かつ威信の塊のような空気に反し、英帝は唇を軽く噛み
「私がこんな運搬係とは…冗談も大概にしてくれ」と呟いて舌打ちを押し殺すように薄く笑った。
ガタガタ、ドタドタ、カツカツ……
無駄に厳かで無駄にうるさい足音が、やがて清の宮廷内へと響き始める。
中華風窓格子やら装飾品やらで眩く飾られた部屋の奥で。
玉座に腰かけた彼は、華服の袖を揺らしながら柔らかい中国訛りで英帝を揶揄う。
清「やっと来たネ英帝。遅いアルヨ…待ちくたびれたアル。」
惨めに敗北したわりには随分と余裕綽々なようだ。
英帝は、この大清帝国が必死に取り繕ってる面白い姿が見たかったのにな……と性悪な根を巡らせながら背後の部下を一瞥する。
清「全く、これだから西洋のガキ共は時間感覚に呆けてて困るネ」
それを鼻で笑うような仕草で清の挑発を軽く流すが、もちろんお得意の棘っぽい言葉も添えて返した。
英「急かすな清、少しくらいは時間に寛容になるのも”敗戦国のお前への礼儀”なんだ」
流石三枚舌
舌が三枚あるものだから皮肉な言葉もなかなかうまい
……という冗談はさておき。
清「はぁ……それで、何の用アル?まぁどうせ、我のご機嫌を取るために子供騙しの道具で媚びに来たんだろうけどネ」
英「…へぇ…随分強気だな」
少々殴ってやろうかと思ったが今は諍いを起こすべき時期ではない。
彼は豪華な唐机に荷物を置くと、軽い手振りで指示を出し、それを受けた部下がぞろぞろと部屋から退いた。
英「これが我が国の技術だ。お前が扱いあぐねて唸っている様子を見るのも一興だが…。まぁ、扱い方が分からなかったら返却してくれて構わないぞ。」
嫌味ったらしい皮肉を口にしながらも、非常に丁寧な手つきで物品を唐机の上に並べる。
なんせ、機械時計やガラス製品は彼の国大英帝国の技術の賜物、つまり大英帝国繁栄の威信そのものなのだ。
戦争の仲直りや思い遣り……”を建前にした”権威と強大さを大清帝国に見せつけてやるという思惑が主なのであろう。
清は唐机の上の機械時計を手に取ると、一瞬幼子のように瞳をキラキラさせてじっと見つめた
が、大英帝国のからかうような視線に気づき、ふんとそっぽを向いて少々粗い仕草で機械時計を机に戻す。
清「こんなカチカチ小うるさいカラクリ玩具、我が宮廷には似合わないネ。とっとと持って帰るヨロシ!」
居住まいを正して虚勢を張る清だが、やはりこのぜんまい仕掛けの時計が気になるのかチラチラと視線を向けている。
ぜんまい仕掛けを知らない彼にとってチクタクと自ら音を発する機械はまるで生き物だ。
好奇心と興味をそそられて仕方がないに決まっている。
だが戦争で清のプライドを傷つけた張本人であるアヘン売りペテン師を目の前にすると、素直に感心を持てないのもそれまた事実。
あまり居心地がよくないのか、そわそわと気を紛らわすようにガラスの器を手に取った。
清「これは…玻璃……アルネ?」
英「嗚呼そうだ。ガラスの物品くらいお前のところでも造ってるだろうが、大清サマの技術でもここまで透明なのは作れないだろ?」
清「はァ?そんなことー…」
どう言い訳しようが「それはそう」としか言いようがない。
ガラスや機械の面でまだまだ発展途上な清は、このムカつく大英帝国共に頭を下げて技術を教わるしかないのだ。
眉を顰めて不愉快な様子を示していた清だが、英帝の視線に耐えきれず、ふいにぱっと顔を上げた。
英「あ?何だ?」
清「……すまん、忘れてたアルヨ。この玻璃の器を見て思い出したネ」
英「…は?何を…?」
清「茶を出すのを忘れてたアルネ!今淹れてくるから、待ってるヨロシ」
とてとてっと軽い足音を立てて茶器を取りに行く清の姿を横目に
英帝「…茶?…このタイミングで、茶、、淹れるか…??」
と溜め息交じりに小さく呟いた。
そして10分ほど経った頃。
英「チッ…遅いな……何してんだあいつ、」
しばらく経っても戻ってこない清にだんだんと苛立ちが増してきたのか、ソファに深く腰掛けたまま何度も足を組みなおしている。
英「はぁ‥‥…」
え?いや、、そもそも、なんで私はここに来たんだ?
女王陛下の指示で、清に物品を贈呈して戦争でのいざこざをできるだけ揉み消すため…と、牽制…のために来たんだよな?
なんで自分より劣位国家の清を待ってやらなきゃいけないんだ……。
この前日本が話してた「鶴の恩返し」とかいう昔話じゃあるまいし、別に茶淹れてる清のところに押し掛けに行ったって鶴になって消えたりはしないだろう。
そろそろ文句の一つや二つでも言ってやりに行くか……。
悶々と心の中で毒づいていた英帝が立ち上がろうとしたその時、
扉の向こうで茶器の軽い音を響かせながら清が戻ってきた。
清「英帝、お前何してるネ。茶が冷めちまうアルヨ、さっさと座るヨロシ」
英「何言ってんだお前が勝手に茶淹れに行ったんだろ…!?私は茶が欲しいなんて一言も言ってないが?」
英帝の話を聞いているんだか聞こえていないんだか、気にする様子もなく袖をゆったりと揺らしながら机に茶杯を二つ並べる。
清「で?何の用アルカ?……嗚呼!この時計やら玻璃やらの話だったネ」
英「…………あぁ、そうだ」
急に茶を淹れに行って、やっと戻ってきたと思ったら…また急に話題を戻すのか…。
清のマイペースさにすっかり調子を崩された大英帝国は、溜め息を飲み込んでそっと茶杯を取る。
英「ゴクゴク……」
…まぁ、不味くはないな。
このお茶、なんていう種類なんだ……と訊こうと清を振り返ると、顔がすぐ近くにあり思わず息が詰まる。
英「!?、なんだよ…」
清「お前、意外と警戒心無いアルネ」
英「はぁ?」
清「もしその茶に毒でも盛られてたら、お前今頃ぶっ倒れてるネ。せっかく部下が大勢いるんだから、少しは毒見役付けるとか用心するヨロシ」
くすくすと笑う清の言葉にはっとして茶杯を覗き込む。
……確かに、そう言われれば口の中がちょっと痛いような気も………
清「冗談アルヨ」
英「お前殴られたいのか?」
清「でももし我が毒盛ってたr
英「そう言いながら毒見役付けたら付けたで『人間不信にも程がある』とか言い始めるんだろうが」
英「…(実際そうだったしな)」
清「‥‥そ…そうかもしれねぇアルネ。まぁ細かいことは忘れるヨロシ」
コイツといると全くペースが崩れて仕方がない。
はぁ……女王陛下になんて言おうか。
一緒に茶を飲んだとでも言っておけば、ある程度の成果があったと思っていただけるだろうか…?
英「………」
清「眉間にシワが寄ってるアルヨ、せっかく綺麗な顔してるのに勿体無いネ」
英「誰のせいだと思って…‥‥…………、っ」
ん?綺麗な……?今、なんて言ったんだ……?
英「‥‥は??」
自分の脳みそがぐわんっと揺れる感覚に思わず上ずった声が出る。
いや違う、きっとコイツ、毒は盛ってないとか言いながら盛っていたんだ、きっと。
なんとなく自分の顔が火照っている気がするのも、心臓の脈拍がやけに速く感じるのも、絶対に、茶の毒のせいだ
コイツが茶に仕込んだせいで変な気分になってるだけだ…きっと…、。
あぁやっぱりダメだ、女王陛下にどう報告すれば良いか分からない…と、英帝は熱い顔を隠すように茶杯に目を落とした。
コメント
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うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!好きッッッッッッ!!!!!!!
盛ったかは想像に任せる…?!、それ盛ってなかった場合相当尊いがすぎませんか?!?!、この絶妙な関係値って最高ですね…︎︎👍
清っちゃが実際に薬盛ったのか盛ってないのかはご想像にお任せします🫰💕 ただ単に英帝が、初恋の味(笑)を「清が盛ったせいだ」って自分に言い聞かせて「こんな奴好きじゃない」ってツンデレ言い訳かましてるだけという解釈もあるし…… 清ちゃが「冗談アルヨ」とか言いながらガチで盛ってたっていう解釈もあるし… ご想像にお任せっ