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19 ◇恋しくてたまらない
この頃になると、流石に家のことを何もしようとしない凛子に対して、義母の
小言が増えていき、凛子は常に不機嫌になっていった。
そのため、あれほど叔母の凛子を支持していた娘だったが、凛子には相手に
されず体調の悪い祖母からも世話をしてもらえずで、娘の鳩子はそのうち、
情緒不安定になっていった。
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温子が出て行ったあと、渋る俺に早く離婚してほしいと急かし
離婚届に印鑑を押させたのは凛子だった。
そして温子に判を押させたのも半ば凛子の一存のようなものだった。
凛子のこの一連の言動を知ってはいたのに……
情けないが俺は温子に会いに行く勇気も持てず、凛子との再婚を拒絶する
勇気も持てず右往左往するばかりだった。
そのような中、俺たちの、つまり俺と凛子との結婚の話も出てはいたのだが……。
凛子のあまりの身勝手さにようやく義両親から小言が出るようになり、
彼女にとって結婚話どころではなくなったのだろう。
以前なら無かった義母の小言に反発ばかりして、母親との口論を繰り広げる
凛子は、そのうち外で憂さ晴らしをして帰って来るようになる。
そして、男ができると前にも増して家に寄り付かなくなり、あげく俺のことは
丸でゴミを見るような目つきで無視するようになった。
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身勝手は重々承知の上だが……
俺は、自分のことを大切にしてくれた温子が恋しくてたまらなかった。