テラーノベル
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むにちゃん爆誕記念!お誕生日おめでとうございます、粗品ですが捧げ物は🇮🇹🇯🇵です……
りぃん、という虫の声に共鳴するように、リビングの明かりが微かに揺れる。
少し開いたカーテンの隙間から、遠くの街灯が滲んで見えた。
空調の静かな音と、歌うように朗らかに喋るイタリアさんの声が肌を撫でる。
「そんでね、レデントーレの日だけ橋がかかって、そこから花火も見れるんようになるんだけど、凱旋門みたいにかっこいい門がね、花火に照らされてすっごく綺麗なんだよ〜!」
人いっぱいでちょっと危ないけど、と小さく言って彼は笑った。
「いいですねぇ。うちの世界遺産は木造が多いので、大体光るドローン飛ばすんですよ。」
「なんか日本っぽくていいじゃん。」
彼に微笑み返しながら、また膝の上で手を組み替えた。
言葉を探すそわそわとした気持ちが、体の奥で燻っている。
不意に彼の吐息が耳にかかって、とっさに顔を背けた。
不思議そうにこちらを覗き込まれる。
長いまつ毛が、頬にやわらかく影を落としていた。
「……日本?大丈夫?」
「はいっ。」
声が、自分でも情けないほど震えていた。
「どーしたの?なんか落ち着きないねぇ…?」
クスッと笑いながら、視界の端で彼の影がゆっくり動く。
するりと頬に触れられ、肩が跳ねる。
「なんでも、ない、です……。」
指先に汗が滲む。
火照る顔に、ちゃんと動いているのかとエアコンの方へ目を逸らした。
「ふぅ〜ん……。……なら、ioから近付いてもいい?」
え、と思った瞬間には、鼻先を甘い香りがくすぐる。
それに脳を溶かされるような気がして、慌てて彼のお腹に手を押し当てた。
「だっ、ダメです……っ!」
「ほんとに?」
蜜のように鼓膜に入り込む、しっとりとした声。
彼の纏う空気が揺れる度、熱を持っていく自分の身体が恨めしい。
両手をまとめて包まれた。
ひんやりした長い指が、味わうように手のひらをなぞる。
胸の奥で、ぱちん、と熱の弾ける音がした。
「あれ、どうしちゃったの?」
「……なんでも、ない、っから……。」
じゃあもうちょっと、と上体を背もたれに押しつけられた。
やわらかく冷えたシャツ越しに、ゆっくりと彼の温度に肌を侵されていく。
グリーンアイズに浮かぶ、捕食者じみた赤の光。
ひゅ、と息が詰まった。
観念して目を瞑る。
____と。
「なんちゃって。暑いからぼーっとしてたんでしょ?」
イタリアさんはそうあっけからんと言い放つと、ソファから身を起こした。
エアコンの温度下げとくね、と優しい声が降ってくる。
「じゃあ、お冷持ってきてあげる。」
遠ざかろうとする彼の袖を掴んだ。
驚いたような顔を見上げる。情けなく赤面していようが、もう構わない。
「……ずるい人。散々遊んでおいて、この先はくれないんですか?」
ぴくり、と彼の手が震えた。
「……ふふっ、ごめんごめん。」
ソファにへたり込んだ僕に、イタリアさんがゆっくりと視線を合わせる。
思わず目を逸らすと、拒めない優しさで顎をすくわれた。
息が詰まるほどの至近距離。
「……欲しい?」
腰が抜けそうになるような甘い声。
言葉が出てこなくて、小さく頷いた。
「なら、日本から。」
ぐるぐると色々な感情が渦を巻く。
瞳を閉じた彼の首に、そっと腕を回した。
「んっ………ふ、っ……。」
散々焦らされた触れ合いに、思わず声が漏れる。
一度離れて短く息を吸う。
「かぁいいね〜。」
余裕そうな笑みがこちらを見ていた。
「……ずるい人。」
掠れた声でもう一度だけ言って、その先の言葉を熱に溶かす。
暑くて熱くて仕方がないのに、どうしても彼の温度だけは、手放せそうになかった。
(終)
コメント
2件
もう本当にありがとうございます .... 😢💖💖💖 私は幸せものです 😇💞 🇮🇹🇯🇵って 裏があってこそ 面白いので 🥺❤️🔥 お礼として ♡を 受け取ってください 💖💖 マジで ありがとうございました 🥹🫶🏻️💓