11月4日、じょーしょーきりゅーさんお誕生日おめでとうございます🎉
ほぼギャグになってしまいましたが捧げ物です。にてきょ×日本
⚠️異様に口が悪い兄弟喧嘩あり。
まだ外はうっすらと東の雲がたなびく時間。
2階の隅のドアをそっと開け、使命を全うすべく忍足で部屋を進む。
布団の中には、やはり日本がいた。
毛布を顔の半分までかぶり、枕に身を委ねた姿は、朝の到来など微塵も想定していないかのように穏やかだ。
やわらかな頬に指先を沈める。
しばらくその感触を楽しんでいたが、日本の眉が動いたのでやめにした。
「日本、朝だぞ。」
返事はない。
まぁこれもいつも通り。
そっと身を屈め、布団の端を持ち上げた。
慎重に日本を抱き上げて、規則正しく上下する肢体を存分に愛でつつ階下に降りる。
この子をこうして運ぶのは自分だけに許されたこと。
この子はまだ、自分がいなければ駄目なのだ。
そう思えるふたりきりの時間は、すっかり日課になった朝の贅沢。
「……何気色悪い顔してんだ、陸。」
だった。昨日までは。
***
「遅い早起きだな、陸。」
日本の部屋を開けた瞬間、まばゆい笑顔を貼り付けた海と目が合った。
部屋の中へと目線を走らせると、穏やかに眠りこける日本の隣にもう1人。
「……なるほど。お前も先越されたか。」
「なっ……違う、譲ったんだ俺は!」
「えへへ〜正解。おはよ陸。」
人畜無害そうな笑みを浮かべるのは空。
大方昨晩、海が愚痴を漏らしたらおいしいところを持っていかれた、とでもいうところか。
「へっ。相変わらず詰めが甘いな。」
鼻で笑うと、海は胡散臭い笑顔を深くした。
「うるせぇ。お前と米帝と共産主義者と変態以外なら誰でもいいんだよ。」
「多いな。せめて3つに絞れ。」
「阿呆め。変態とお前は同義だ。」
その言葉に眉を吊り上げる。
運搬ついでに同衾とかしてたんだろう、と根も葉もないことを言われた。
「卑猥な物言いをするな。そういう陰気な変態技はお前の方が得意だろう。」
「は?」
「は?」
「ちょっと!」
丁度胸ぐらを掴み合ったタイミングで制止が入った。
「日本が起きちゃったらどうするの。」
「……海。」
「後で殺す。」
一時休戦。
舌打ちをひとつ交わし、拳を下ろす。
「そろそろいい時間かな〜」
「あっ、ずるいぞ空!」
「兄に譲れ!」
空は日本を抱き上げながら、器用に人差し指を立てて笑った。
「静かに。起きちゃうでしょ。明日頑張れば?」
***
最初に始まったのは、穏便な暴力。
「最低陸兄!!」
「すまん。手段は選ばん主義だ。」
空に足を掴まれた足を容赦なく振り払い、身動きが取れないよう頭を軽く踏んづける。
「流石戦車を捨ててチャリでジャングル爆走させた奴は違うな。」
「懐かしいな。まぁそれで英帝を退けたんだ。褒め言葉と受け取ろう。」
「頭湧いてんのか俺がお前褒めるわけねぇだろクソ兄貴ガチで死ねやカス。」
日本の部屋に侵入しようとドアノブに触れる海を羽交締めにかけようと身を捩る。
これら全てを全員が小声でこなしているのだから、第三者視点での映像が気になる。
「痛いってば!足どけろ!!この兵六玉!!足軽クソメット!!カナヅチ!痛いって!!」
空の悲鳴…というか罵声が大きくなっている気がするが、昨日の恨みは忘れていない。
「俺は泳げる!ミルキーウェイでだって泳いだ!!」
「犬かきでね!!パラオ溺れてると思って泣いてたよ!!」
「っしゃあ!」
結局空に気を取られている隙に海に逃げられてしまい、勝ち誇る海の腕で眠る日本を見せつけられた。
あぁ、腹が立つ。
明日は絶対俺が勝ってやる。
***
次に始まったのが、早起き勝負。
しかし腐っても3人揃って元軍人。
早朝起床に慣れている俺たちの争いが普通の枠に収まるはずもなく。
深夜2時、タイマーでどうにか目を覚ます。
数分後、残党兵のような足取りで海がやってきた。
「……遅かったな…………」
「……そうかよ……………」
どうやら連日に及ぶ睡眠時間の搾取のせいで空はダウンしたらしい。
日本の部屋で座り込んだまま、寝入ってしまった海をよそ目に、虚しい勝利に1人で浸る。
そして結局、夜明け間際にやってきた空に起こされ、仕方なく脳裏に浮かんだ妥協案を口に出した。
「……じゃんけんで手を打とう。」
「……癪だが同意。」
「……僕も。」
***
「最初はグー、じゃんけんぽん。」
グー、チョキ、チョキ。
どうやら今朝の勝者は俺らしい。
悔しげに身を引いた2人の合間を縫って、日本の部屋へ足を運ぶ。
今日も今日とて、そんな争いは露とも知らず日本は眠っている。
本当に罪な子だ。
「日本、起きなさい。」
「……ん゛ぅ……………。」
それとも、ここまでしても親離れさせない俺たちの方が、やはり悪い大人なのだろうか。
「……んぇ…?父さ、……?」
「起きたか。おはよう。」
だがしかし。
どんなことも、この幸福の前では些細なこと。
目を覚まし、綿のようにふわりと微笑む日本の額にキスをして、くだらない問いは胸の奥へと仕舞い込んだ。
(終)
コメント
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うわぁぁあああ!!(泣) にわかさん…!!あなたはなんてことを…!!!(泣)(泣) いやほんとに今日イチ嬉しかった出来事だと断言できます✨️✨️ もう誕生日終わりかよ…てらのべで寝落ちするかぁとか考えてたときに、通知欄に貴方様の、しかも私のニックネームが載ってたときの幸福感!! 私は二度と忘れないです!!