茹だるような暑さが、僕達を襲った。
でも何故か、君の所だけは緩やかで爽やかな風が吹いている気がした。
水輝(急に呼び出してごめんね。
伝えたいことがあるんだ。
屋上で伝えることなんて、告白ぐらいしかない。だから頭の良い君は勘づいていたと思う。
水輝(祐衣さんのことが好きです!
僕と付き合ってください!
言ってしまった……….。
在り来りすぎただろうか?
でもごちゃごちゃ理由をつけて告白するよりも、想いを簡潔に述べた方が相手も嬉しいはずだ。
と思っていたら………
祐衣(………なんで?
「へ?」
と間抜けな声が出た。
祐衣(どうして私を好きになったの?
水輝(どうしてって…….言われても………
予想外すぎる返答に言葉が詰まった。
どうしても何も約8年間ずっとずぅっと君に恋してきたんだ。そんなのもう、君の全てが好きだからに決まってる。初恋で一目惚れで…….。
水輝(一番..一番好きなのは、本を読んでいる時の君の横顔。その姿に一目惚れだった。でもそれ以前に君の全てが好きだ。
結局は、好きの気持ちを伝えようとすると遠回りになってしまう。
好きの気持ちを伝えるのは、こんなにも難しいのか。
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屋上に呼び出された。この時点で、告白だろうなと確信した。
告白するのには勇気がいるし、何より相手への想いが大切だ。だから、「好きだ」って想いだけを率直に伝えられたのが意味がわからなかった。
分かってる。せっかく、否、勇気を出して伝えてくれた「好き」の気持ちに「なんで?」「どうして?」と聞くのはおかしいって。それでも私は聞きたかった。その「好き」に込められた意味を。
「君の全てが好きだからに決まってる。」
その言葉を聞いた時、こんな私のどこがいいのだろうかと考え込んでしまった。
一目惚れで初恋で、その相手に8年間も片思い。そして告白までした。正直、この恋が報われないのは可哀想すぎる。だから……..
祐衣(………いいよ。
付き合おう。
私は貴方の告白を受け入れることにした。
水輝(え!
まじ?!
陽キャって感じの返答だな。
でもそれがなんやかんやで嬉しかった。なんというか、自然と笑みが溢れるような。
陽キャは少し苦手だけど、君なら何故か大丈夫な気がした。
私はまだ、この気持ちが恋だってことを知らなかった。
第3話「Although we tried dating」
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