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#長編
結愛
329
#地雷系
#夏休み
トド村
44
「ラブコメをするって、具体的に何をするんだ?」
「う~ん……例えばデートしたり、一緒にどこかに遊びに行ったり、一緒に食事や買い物をしたり……。」
全部同じに聞こえるが……つまり、一緒に外で遊びたいってことか――? それ、ラブコメと言えるのか? それに、あいにくだが今日は外に出るつもりはない。一日中部屋に籠もり創作に集中する日だと決めているのだ。
「悪いが今日は引き籠もって、執筆の下準備を行う日と決めているんだ。」
「じゃあ、お昼ご飯は何を食べるの? どこかに食べに行かないの?」
俺がブロックタイプのバランス栄養食を取り出すと、ミィはこちらを向いて俺のことを睨みつけた。分かりましたよ……ミィが家にいる間は、これを食べようとはしませんよ。
ミィはハンガーに掛かっている白いファー付きのダウンジャケットを取る。ミィがここに来た時に着ていたものだ。
「私、何か買ってくる。パソコンを使いながら食べられるものを買ってくるから。」
「ちょっと待って、外は寒いだろうからこれを着ていきな。」
そう言って、俺が普段使いしている紺色のパーカーを投げ渡した。今のミィは長袖のTシャツにジャージのみ。その上にダウンジャケットを羽織るとは言え、12月の今の時期にこれだけだと少し寒いだろう。
ミィはパーカーを受け取り袖を通す。そしてファスナーを上まで上げて、髪型をツインテールにまとめた。彼女は俺の横でくるりと回る。
「どうかな? 似合ってる?」
Tシャツと同様に、パーカーもオーバーサイズで、袖も自然と萌え袖になっている。ミィが着るには丈が長いため裾で尻が隠れているが、胸や尻はパツパツに張っており、その部分だけシルエットがはっきりと分かる。
メイクも家に来たときは”ザ・地雷系”といった感じのメイクだったが、今は薄めのナチュラルメイクだ。恐らく”お家用”の薄いメイクなのだろうが、オーバーサイズのパーカーと相まってお家デート用の服装に見える。
「似合っているよ。何を着ても似合うじゃん。あのさ……女の子に買い出しみたいなことをさせて悪いな……。」
”パソコンを使いながら食べられるもの……” 俺がPCの前で頭を悩ませている姿を見て、ミィは創作の邪魔にならないように気を使っているのだろう。ミィはパーカの袖をつかみ口元を覆う。
「別に……私が食べたいものを買いに行くだけだし……何を買って来たとしても、文句を言わないでよね。」
ミィはパーカーの上からダウンジャケットを羽織り部屋を出た。
◆◆◆◆
ミィが家を出てから1時間以上経つ……昼飯を買いに行くと言っていたのでコンビニにでも行ったのかと思っていたが、どこまで行ったのだろう……?
などと考えているとチャイムが鳴りマンションの玄関を映す小さなモニターにミィの顔が映った。
「買って来たよ~。開けて~。」
モニターを操作してマンションの玄関を開け、部屋の鍵も開ける。ミィは部屋に入るなりハンバーガーショップのロゴが入った紙袋を渡した。このハンバーガーショップはチェーン店だがハンバーガーが大きくパティも肉厚なことで有名だ。
「このお店、この辺にはないよね? どこまで行って来たの?」
「下北沢まで行って来たの。ごめん混んでいたから遅くなっちゃった。」
ミィは俺に謝りながらジャケットを脱いでハンガーにかける。むしろ、こちらの方が感謝をするべきだろう。
下北沢は急行で一駅であるため遠くはない。頑張れば歩いて行くことも出来る……頑張れば……。しかし「わざわざ買いに行くのは面倒くさい。」という気持ちが勝り、今まで食べたことがなかったのだ。
「俺、このお店のハンバーガーを食べてみたいと思っていたんだ。わざわざありがとう。」
そう言いながらノートPCを閉じて机の下の収納スペースへとしまい、紙袋の中からハンバーガーを取り出してテーブルの上に並べる。いつも食べているハンバーガーよりも掌に重量を感じる。さすが、肉厚なことで有名なお店だ。
「あれ? 執筆は良いの?」
良くはない……しかし、わざわざ電車に乗って買ってきてくれたのだ。しっかりと味わわなければ失礼だろう。それに……。
「一緒に食べた方が美味いだろ。」
ミィはパーカーを脱ぐ手が止まり、目を丸くしてこちらを見る。俺、そんなに変な事を言ったか……?
「うん。じゃあ食べよ。」
ミィは嬉しそうに弾みながらソファーに座った。そして、ハンバーガーを手に取り、大きな口を開けて豪快に頬張る。「んっ~♡」唸りながら心底幸せそうな表情を浮かべ頬に手を当てた。
もし、このハンバーガーの案件をミィが受けたとしたら、この表情を浮かべるだけでプロモーションは大成功間違いなしだろう。ミィは顔を蕩かせながら、一口、また一口とハンバーガーを頬張っていく。
俺も負けじと、大きな口を開けてハンバーガーを頬張った。ジューシーなパティから肉汁が飛び出す。味の濃いパティをレタスやトマトのさっぱり感が中和してめちゃめちゃ美味い。ミィが唸る気持ちが良く分かる。
夢中で食べていると、ミィはこちらを向いてくすくすと笑った。そして俺の口元を親指で拭う。
「ソースついてるよ。」
ミィは俺の口元についたソースを親指でふき取り、その親指を唇で挟んで舐め取った。
「ラブコメってこんな感じで良いのかな?」
「どうなんだろう?」
照れ臭そうな表情を浮かべ囁くミィに返事をする。ミィの口元についたソースを見ながら……。
コメント
2件
はるさん、コメントありがとうございます! ミィちゃんとユウト君の距離感を良い感じで描くこと――かなり力を入れているので、褒めて頂けて嬉しいです! これからも、よろしくお願いいたしますね!
いや~、第15話も最高だったわ!🔥 ミィがわざわざ下北沢までハンバーガー買いに行くって健気すぎるし、主人公がパーカー貸すところとか「一緒に食べた方が美味いだろ」のセリフ、グッと来たね。最後の口元のソース拭うシーンは正直ちょっと照れたわ(笑) ラブコメの距離感、めっちゃ良い塩梅で刺さるよ!