テラーノベル
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「ささ!松吉っつあん!これを飲んで」
観光客の一人がウィスキーのショットを渡す、船は全速力でマリーナに向かって走っていた
ゴホッゴホッ
「わ・・・わしのことより・・・婿殿を・・・」
松吉が言う、そこへ観光客がジンにもウィスキーのショットを渡した
「さぁさぁ!体が温まるから、一気にこれを飲んで」
差し出されたウィスキーのショットを一気に喉に流し込むとカッと胃の中が温かくなった
白い航跡が、青い海に一直線に伸びていく、デッキにはまだ釣れたばかりの魚がピチピチと跳ねていた、ジンは荒い息を吐きながら、空を見上げた、雲一つない青空が、どこまでも広がっていた
―本当に・・・よかった―
胸に込み上げてくる感情をジンは静かに噛み締めていた、船は、マリーナへと急いでいた
船は全速力でマリーナに戻った、誠一郎が桟橋に船を着けると同時に、ジンと誠一郎は松吉を両脇から抱えて、急いで車に乗せた、松吉の顔色はまだ悪く、体は小刻みに震えていた、濡れた服が体温を奪い続けている
「しっかりしてください、お義父さん!」
自分もズブ濡れにもかかわらず、ジンが声をかけると松吉は震えながらも小さく頷いた、観光客達も心配そうに車に乗り込み、一行は山田旅館へと急いだ
.。. .。.:・
「ただいま!!」
玄関の扉が勢いよく開かれた、ジンと誠一郎がぐったりとした松吉を両脇から担いで入ってくる、三人ともびしょ濡れで、玄関に水たまりができていた
「まぁ!パパ!ジンさん、無事ですか!」
事前に誠一郎が連絡をしていたおかげで、旅館は主が一大事の連絡は隅々まで渡っていた、桜が真っ青な顔で駆け寄って来、その後ろから、仲居たちも慌てて集まってくる
「あなた!」
「お館様!!」
「大変!!」
「何があったんですか!?」
「海で・・・突風に煽られて、お義父さんが落ちて・・・」
ジンが息を切らしながら答えた
「早くお館様を寝かせて!」
桜が叫ぶと、仲居たちが一斉に動き出した
「母屋に布団を引いていますわ」
「それよりお風呂に!」
「お医者様を呼ばなきゃ!」
「タオル!タオル持ってきて!」
ワイワイと松吉がみんなに手厚く看護されている姿を見てジンは一安心した
「さぁ!ジンさんも・・・」
桜が呆然としているジンを気遣ってバスタオルを差し出している
「あ・・・ああ・・・」
「びしょ濡れです!とにかく大浴場へ」
桜に促されて、地下一階にある山田旅館の温泉へと向かった、廊下を歩く度にまだ体から海の匂いがした
コメント
3件
あー無事で何より😮💨 で、あの調査員はどうなったんだろう?
ジンさん自身、満身創痍ながらも気丈に本当によくやってくれて、泣けてきます😭 松吉さん早く回復してくださいね🍀 桜ちゃんこんな素敵なジンさんを絶対離しちゃダメよ〜😊