テラーノベル
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髪も肌も、塩でべたついている、体の芯は冷え切ったままで、震えが止まらなかった
「本当に怪我などありませんか?」
桜が心配そうに声をかける
「うん、ありがとう、少し温まってくるよ」
ジンは小さく微笑んで、心配する桜を後に男湯のノレンをくぐった
その時誰かに見られている様な視線を背中に感じたが、精も根も尽き果てていた彼はさほど気にしなかった
.:・.。. .。.:・
脱衣所に入ると、クーラーの効いたひんやりとした空気が冷えた体を震わせた、窓から差し込む夏の日差しが、木製のロッカーを優しく照らしている、ジンは半乾きなっている塩水でゴワゴワの服を脱ぎ、鏡の前に立った
鏡に映る自分の姿をじっと見た、肩には昨日の荒波祭りの青あざ、腕には今日できた擦り傷、胸にはまだ荒い呼吸の名残が残っている、髪は塩でごわごわに固まり、肌には白い塩の結晶が浮いていた
ボソッ・・・
「ひどい格好だな・・・」
浴室のドアを開けると温かい湯気が全身を包み込んだ、視界が白く霞む、湯気の向こうに大きな岩風呂が見える、湯船からは湯気が立ち上り、まるで雲の中にいるようだった
この温泉には初めて宿泊した時から入りに来ているが、いつ見ても幻想的な滝風呂は圧巻だった
浴室には誰もいなく、静寂の中、滝を流れる湯の音だけがドドドドと湯煙を舞い上げている、ジンは桶に湯を汲み、頭からかぶった
ザバァーーーーァ!
「「あ゛ああああああああ~~~!!」
シャワーを浴びると、思わず叫び声が漏れた、冷え切った肌に温かい湯が触れると、最初は刺されるような熱さを感じたが、すぐに心地良い温もりに変わった
湯が肩を伝い、背中を伝い、足先まで流れていくと白く濁った水が足元に溜まっていく、海水と塩が、少しずつ洗い流されていったジンはしばらくその場に座ったまま、湯を浴び続けた
塩で固まった髪が湯に濡れて柔らかくなっていく、シャンプーのボトルを手に取り、髪をわしゃわしゃ洗うと、柑橘系の爽やかな香りが鼻をくすぐった
―とにかく・・・お義父さんを、助けられてよかった―
頭を洗いながらジンはそう思った、あの時、一瞬でも躊躇していたら、飛び込むのが一秒でも遅れていたら・・・
考えるだけで背筋が寒くなる、桶で何度も湯をかけ、泡を洗い流す
白い泡がさらさらと流れると、髪がきしむような音を立てて、元の柔らかさを取り戻していく
髪と体を洗って一息つくと、岩風呂の縁に手をかけてゆっくりと温泉に足を入れる
バシャバシャ!!
「あっつぅぅぅぅぅ~~~」
湯は思ったよりも熱くて、慣れるまでジンはその場で暴れた、冷えた足先が、ピリピリと痺れるような感覚に包まれる、でも、その熱さが心地よかった、少しずつ、体を湯に沈めていく
足首、膝、太腿、腰、胸・・・・
「おっおっおぉぉぉぉ~~~~・・・!」
全身が湯に包まれた瞬間、ジンはプルプル震えてオットセイのように宙に向かって唸った
そしてまた誰かの視線を感じた気がしたが、ジンは気にしなかった
コメント
3件
誰か見てる…👀思いつくのは浜崎さんしかいない…
いいお湯存分に浴オびて疲れを癒してね♨ 浜やん🥸いるのかいな😮💨