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家に着くと、恭介はいつもの流れで風呂に湯を張り、キッチンに向かおうとした。しかし智絵里に背後から抱きしめられ、身動きが取れなくなる。

「智絵里?」

恭介は振り返るが、智絵里は背中に顔を埋めているので顔は見えない。

「どうしたの?」

「……すごく嫌だった……」

さっきのことを引きずってるんだと気付き、恭介は智絵里の手を上から握る。

「何もないから大丈夫だって」

「そうじゃなくて……私が知らない恭介を、あの人が知ってるのが嫌だったの……」

「そう? あいつの知らない俺の方が多いと思うけど」

「だから……そうじゃなくて……」

そこでようやく恭介はピンと来る。沙織が言った言葉を、智絵里は消化できずにいるようだった。でもそれは一線を越えることを意味している。

恭介は智絵里の手を体から解くと、振り返って向き合う。すると智絵里は悲しそうな顔で恭介を見ていた。

「智絵里ってば、ヤキモチ妬いたとか?」

「だ、だってキレイな人だったし……夜までとか言ってたし……」

「あはは。ちゃんと聞いてんじゃん。でも俺からすれば、智絵里の方がずっとキレイだと思うけど」

智絵里は恥ずかしそうに下を向く。緩やかに落ちる長い髪に指を差し入れ、恭介は智絵里を自分の方に向かせる。

「ねぇ、智絵里。俺に言いたいことはない?」

戸惑ったように口籠る智絵里にキスをする。ゆっくりじっくり彼女の中に入り込む。俺は知ってるんだ。こうすると智絵里が溶けていくこと。溶けた智絵里はびっくりするくらい素直になることを。

唇を離し、腰を抜かしそうな智絵里の体を支える。

「俺にはワガママでもなんでも言っていいんだよ」

智絵里は頬を赤くして恭介を見つめると、自ら恭介にキスをする。

「恭介が欲しい……私だけの恭介になって……」

「大丈夫。言われなくても、もうなってるから」

「私も……恭介のものになりたいの……。恭介としたい……」

息が止まるかと思った。智絵里から俺を求めてくれた。それだけでこんなに幸せな気持ちになる。

智絵里の体を抱き上げ、ベッドに横たえる。キスのせいで上気した表情の裏に、不安も読み取れる。きっと智絵里の中で葛藤があるのかもしれない。

「嫌なら途中でやめるから。行けるところまで行ってみようか……」

「……うん……」

恭介は智絵里の服を脱がせ、恥ずかしそうに隠そうとする智絵里の手をそっとどかす。

「キレイだからちゃんと見せて」

智絵里の体の隅々まで唇を這わせる。震える彼女の体を抱きしめ、何度もキスをした。舌を絡め、彼女の弱点を攻め立てる。

「どうしようか……一度このまま気持ち良くなってみる……?」

「……挿れないってこと……?」

「まだちょっと怖いだろ? 挿れなくても気持ち良くなれるし……」

「恭介はそれで大丈夫なの……?」

智絵里の言葉に返事はせずに恭介はただ微笑んだ。ゆっくり動き始めると、そのまま智絵里の上に倒れ込んだ。

智絵里はボーっとする頭のまま、恭介の体を抱きしめる。耳元に感じる恭介の激しい息遣いを聞きながらドキドキしていた。

裸の肌が触れ合うのってこんなに気持ちがいいんだ……。恭介の力尽きた姿を見て、かわいいと思ってしまう自分にも驚いた。

「智絵里……大丈夫? 嫌な気分とかない?」

「大丈夫だよ……こういう感じなんだね……」

「まだ智絵里の中に入ってないから、途中だけどね」

恭介は智絵里の隣に寝転がり、腕を差し出し彼女の頭を乗せた。お互い呼吸を整えていく。

恭介は私のペースに合わせてくれている。しかも慌てず、ゆっくり……。

確かにまだ少し怖い。あの日のことを思い出してしまいそうだった。でも反対に、恭介となら最後までしたいとも思う。

「智絵里、お腹空かない?」

「あっ、空いたかも」

「だよね。とりあえずお風呂に入ってからご飯にしよう。今日はビーフシチューとサラダね」

「……こんな時でも、恭介お母さんが健在……」

「はいはい。でもお陰で抱き心地は最高だったけど」

「……ばか」

二人は余韻を味わうようにキスを繰り返した。

* * * *

お腹も満たされ、恭介が入れてくれた緑茶をソファに座って飲んでいた。なんてホッとする時間だろう。

最後までしていないとはいえ、ようやく恭介と肌で触れ合えた。ただその行為が智絵里の体に火をつけたままになっていた。

隣でテレビを見ている恭介に寄りかかり、目を閉じる。彼の熱を肌で感じ、彼の匂いに包まれる。すると体が恭介をもっと欲するように熱くなる。

「恭介……」

「ん?」

普段と変わらない様子の恭介を見て、智絵里は言葉に詰まった。こんな気持ちになっているのが私だけだったら恥ずかしい。

「……なんでもない……」

その言葉に違和感を抱き、恭介は智絵里を抱き寄せる。

「言いたいことがあるなら聞くけど。それともさっきの続きをする?」

恭介は冗談っぽく言ったのに、智絵里はマグカップを口に当てたまま固まってしまった。

「えっ、やだ! もしかして智絵里……ちょっとハマっちゃった⁈」

「ちょっ、そ、そういう言い方やめてくれる⁈ そうじゃなくて……だから……」

智絵里は口を閉ざす。

「……本当はちょっと怖い……でもそれ以上に、ちゃんと最後までしたいって思ったの……」

好きっていう感情はなんて厄介なのかしら。友達の時の感情や距離感とは全く違う。彼を見つめるだけで、キスしたい、触れたい、この人が欲しい、そんな様々な感情が湧き起こる。

恭介は優しく微笑む。ゆっくりと智絵里のTシャツの中に手を差し入れ、素肌の上を滑っていく。胸まで到達すると彼の指が動き出し、先ほどの感覚が蘇り息苦しくなった。

「……今度こそちゃんと恭介のものにして欲しいの……恭介と一つになりたい……恭介のこと、大好きなの……」

恭介は智絵里の顔を自分の方に向かせ、貪るようにキスをする。

「智絵里さ……そんなに煽らないでくれよ……。もう我慢しない、というか出来ないよ……それでもいいの?」

返事の代わりに智絵里は恭介にキスをする。

「でもソファは嫌。狭いし落ちそうだもん。ベッドがいい……」

「本当に……智絵里ってば可愛すぎる……」

恭介が智絵里を抱き上げるとベッドまで急いだ。

* * * *

智絵里が目を覚ますと、すぐ隣に恭介の寝顔があった。寝息を立てて眠る彼が愛しくて、そっと頬を撫でる。

まだ少し体の痛みはあるけど、それと同時に恭介が与えてくれるどうしようもないほどの甘美な快楽の中で、何度も何度も愛しあったことが蘇る。

耳に響く恭介の息遣いと、愛してるという囁き。私は頭も体もトロトロに溶かされて、全身で幸せを感じた。

その時、恭介の手が智絵里の体を撫でていく。

「おはよう、智絵里」

「おはよう……ん……だめだって……これから仕事……」

「まだ時間あるし、もう一回しとこうか?」

「もうっ……一回だけだからね……」

恭介と繋がりたい。もっとそばにいたい。私は彼の手で愛される喜びを知ったの。

熱く甘く溶かして

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