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優里視点
会いたいと思っていたのは多分、
俺だけだった。
彼との現場被りには気付いていたが、
俺の方が後から入るために、
確実に会えるかどうかは不明確だった。
現場入りする前に走って体を温めていたために、
カラカラに喉が渇いていた。
そう言えば休憩所に自販機があったなと思い出して、
俺が向かった時には先客がいた。
一人は俺が一番会いたかった彼だ。
そしてもう一人が彼に膝枕をする藤澤だった。
は?
何あれ?
どういうことだよ。
俺は7年も片思いしてきたんだぞ?
それなのに後から出てきて横取り?
許せない。
それだけは絶対に嫌だった。
でも本当は分かっていた。
あくまでも彼が友人の一人としか俺を扱っていないことくらい、
知っていたけど認めたくない。
俺がヤキモキしている間に、
彼を失ったのだ。
無性にイライラする。
その時だった。
寝ていた彼が寝ぼけ眼でゆっくりとした動きで起き上がると、
俺ですら見たことにない無防備で恋人や夫婦といった、
パートナーに向ける特別に穏やかな微笑みを見せた。
「何であいつなんだよ?」
その顔をどうして俺には見せないんだ?
ムカつく。
どうにかして関係が拗れればいいのに。
そんな感情が蠢いて、
正直これだと思った。
二人の仲を邪魔してやろうーーーと
俺は一旦楽屋に戻り、
どうしたら邪魔できるか作戦を考えた。
彼は一人でマレーシアに渡ってもう、
7年目に入っている。
海外ではボディタッチがコミュニケーションの一環のため、
特に親密ではなくとも仲が深まるために、
接触することも多い。
しかしここは日本だ。
ボディタッチはやはり恋人や夫婦などはもちろん、
付き合いの長い友人や仕事関係者など限定的な相手に絞られる。
それを利用すれば関係に亀裂が入って別れるかもしれない。
(試す価値はあるな)
彼が俺からの接触を拒否したことは一度もない。
つまりかなりの高確率で成功するだろう。
ニヤリと自分でさえ鏡を見なくても、
薄気味悪い笑い方をしているだろうなと思う、
そんな笑顔で俺は楽屋を出た。
彼は一人で考え事をしているのか、
その姿は廊下ですぐに見つかった。
しれっと背後に回り込み、
いつもの距離感で肩を抱くーーーーはずだった。
「うわっ!?」
彼が急にその場にしゃがみ込んで、
俺の腕を交わした。
は?
今のって拒否られた?
そんなこと初めてだったこともあり、
二人の仲を邪魔すると意気込んでいたのに、
俺の方が動揺して毒気を抜かれそうになる。
「びっくりしたー。
なんだ⋯優里さんか」
しゃがんでいた彼がすっと立ち上がる。
そのタイミングでもう一度、
彼の肩を抱き直す。
彼は大人しくされるがままだ。
(ほら大丈夫。
あとは目当てのやつが来れば完璧だな)
俺たちはその状態で立ち話をした。
話をしている間は楽しくて、
ずっとこうしていたいと思うほどだった。
ちょうどタイミングよく移動する藤澤たちが通りかかる。
俺との関係を勘違いされたくない彼は、
気まずさからさっと目を逸らした。
その様子に藤澤はひどく傷ついて、
いまにも泣き出してしまうのではないかと、
思うほど暗い表情をしていた。
最低だが、
俺は胸がスッとした。
「優里さんとは⋯どういう関係なの?」
やっぱりあくまでも友人と答えるだろうな。
聞かなくても分かる答えを敢えて聞くのは辛い。
たとえ嘘でも好きな人だとか、
気になる人と言ってくれたら嬉しいが、
それはあまり期待できないだろう。
「仕事上は先輩で、
プライベートでは友人の一人です」
やっぱりそうだ。
思っていた通りの答えが返ってきて、
ショックというよりも納得すらできた。
(じゃあ俺の7年間は何だった?)
決まった答えがない問題用紙みたいだ。
この傷はいつか癒えるのだろうか。
それともずっとこのまま?
だったらいっそのこと俺は賭けに出た。
「そこは「恋人」って答えるとこだろ?」
「えぇっ!?」
ここまでストレートな言葉を出せば、
いくら鈍感な彼でも俺を意識するようになるだろう。
しかし驚いた反応を見せただけで、
顔が赤くなったり、
恥ずかしがったり、
特にそういった変化が見受けられない。
あれ?
おかしいな。
これほどまで反応しないものか?
つくづく付き合いが長くても、
星崎が分からない。
「優里さん⋯⋯僕相手だからいいものの、
そういうこと誰にでも言わない方がいいですよ」
「全然⋯本気にしないんだな。
この鈍感は」
「鈍感!?
それどういう意味ですか」
恋人という直接的な単語で告白を匂わせてみても、
どうやらいつも悪ノリで彼を揶揄うための、
単なる冗談として受け流されたようだ。
つまり俺は意識すらされてはいなかったらしい。
俺は心の中で深くため息を吐いたが、
藤澤が余裕のない顔で狼狽えているのが見えて、
少し安堵した。
雫騎の雑談コーナー
本当はね病み要素を入れたかったんですが、
見事に失敗してますね。
ヘッタクソですいません。
なんか闇はあるけど純愛みたいな?
病みきれていない病み具合で、
結構な中途半端っぷりですね。
表現が書いてて結構難しい!
誰か教えてくれい。
それか病み物の書き方が上手い人教えて下さい!
読んで参考にしたい。
それじゃあ話変わって本編です。
星崎に7年も片想いしていた優里さんですが、
当の本人はすでに藤澤さんに一目惚れしたあとだった。
嫉妬した優里さんは怒りのまま二人に不協和音を生んで、
別れされるために画策する方向に走っていくという、
あまりよろしくない状況へと陥っていくんですね。
そして優里さんの「恋人」という爆弾発言は、
もちろん藤澤さんへの牽制です。