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静まり返った社内に響くのは、そう云った国木田くんの声だけだった
─── 実際は静まり返ってなどいない。
静かなのは、私の中だけ。
あぁ、今帰ってきたところなのに。
疲れてもう休みたかった、なのに、また、運命は私の命を削る。
こんな依頼、やりたくない。
でも中也の強さを考えれば全員で行かないと勝てない。
…全員でなくとも、私は確実に行かなくてはいけなくなるだろう。
こんな状況で、”嫌だ”なんて”やりたくない”だなんてとても
「言えないじゃないか」
弱く、細い声で呟く。
私の小さな呟きは、社内の騒然さに掻き消されて、消えていく。
「…ごめん、私、今日はちょっと」
今日はもう休みたい、という言葉を、発した言葉の裏に隠し、皆に伝える。
「あぁ、ゆっくり休め」
「お疲れ様です、太宰さん
ゆっくり休んでください」
「明日になって風邪引いたとか言うなよ?早く帰って休んでな」
国木田君や谷崎君、与謝野さんなど皆が今日に限ってはとても優しい気がした。
ふと鏡花ちゃんの方を見ると、鏡花ちゃんが何か指で合図をしている。
これが報告変わりなのだろうか、それを聞く気力もない。
だから、今日はそう思うことにした。
「…太宰が…死んだ…?」