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「それより大事な話って何?」
「妊娠のことだ。おととい、俺の母親にマナが妊娠しているのを伝えた」
「何で圭ちゃんのお母さんに言ったの?」
「他に言える人が、周りにいないだろ。学校やマナの親にバレたらただじゃ済まないからな」
「ふ~ん、それで何を話したの?」
「子供をおろす話だよ」
「何でそんな勝手な話をするの? マナはおろさないから! 絶対に赤ちゃんを産むから!」
マナは予想していた通り、顔を赤くしてムキになって怒っていた。
「何言ってんの! ダメに決まってんじゃん!」
すると、今まで一言もらなかったゆずきがマナに向かって怒鳴り声をあげていた。
「ゆずきちゃん、何で怒ってんの?」
「別に怒ってないよ!」
「怒ってんじゃん!」
「私は、高校生のマナが子供を産める訳ないって言ってるの!」
「勝手に決めつけないでよ! マナは絶対に産むから!」
「そんなの誰も認めないし、未成年のマナが親の承諾なしに産める訳ないじゃん」
「そんなことない! 絶対に産めるもん!」
「産めないから!」
突然始まってしまった2人の言い合いに、俺は止めに入るのを忘れてしまっていた。
「もぉ~いやっ! ゆずきちゃんは黙っててよ! 関係ないんだからさ! 友達ヅラしないでよ!」
パシっ!
「痛いな! 何するんだよっ!」
「マナ、もう一回言ってみな!」
ゆずきはマナの今の言葉が許せなかったようで、とうとう手をあげてしまった。
「何回だって言ってやるよ! お前には関係ないんだから黙ってろって言ってるの!」
パシッ!
「誰も友達になってくれなんて頼んでないよ! 嫌ならやめればいいじゃん! 余計なお世話なんだよ!」
「――――」
「ゆずきちゃんがやめないなら私からやめてやるよ」
パシッ!
「もう、いい加減にしてよ! 私もう、マナにはついていけないよ!」
そう言うと、ゆずきは泣きながら走り去ってしまった。
「ゆずき!」
俺の呼び掛けにも反応することなく、ゆずきは屋上のドアを開けて階段を駆け下りて行ってしまった。
「圭ちゃんは、どうするの? 私と友達でいたいの? いたくないの?」
「――――」
「どうするの? 私はどっちでもいいけど」
「お前な――俺にはいくらでもヒドイことを言っても構わないけど、ゆずきにあんな言い方をするなよ!」
「何でゆずきちゃんの肩を持ってるの? 意味わかんない。私と友達でいたいなら私の味方をしてよ」
「ずっと味方できただろ! 今だってマナの味方だよ。これからだってずっと――」
「だったら黙って私の味方をしてなよ!」
「――――。そっ、そんなことはどうでもいい。とにかくウチの母さんが明日マナに会いたいって言ってるから、放課後待ってろよ」
「だから何で私が待ってなきゃいけないの?」
「いいから待ってろって! わかったか?」
「嫌だね」
「わかったか?」
「わかったよ。しつこいなぁ」
マナは全く納得していないようで、呆れた表情でそう言った。