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4月の終わり、
桜の花びらがまだ校舎の片隅に残る頃。
高校2年生に進級しても、
教室の位置もほとんど変わらなくて、
なんとなく空気だけが少し新しくなっていた。
朝、僕はいつもより早く登校して、
窓際の席に座っていた。
ふと廊下が騒がしくなったのは、
彼がやってきたのが理由なのだろう。
滉斗『おはよ、元貴』
若井滉斗――どこにいても分かるさわやかな声。
彼は身長も高く、誰にでもフラットで、
優しいから女子にも男子にも人気者だ。
その癖、努力家で、ふとした瞬間に見せる、
寂しそうな表情とか、本当にずるい。
元貴『おはよ、若井』
僕はつい目を合わせられず、視線を落とす。
どうしてだろう、隣に座ってくれるだけで、
胸が少し痛くなる。
滉斗『元貴、昨日の課題やってきた?』
元貴『うん、忘れずにやったよ』
さりげない会話。
それだけで1日がちょっと明るくなる
単純な自分が、時々嫌になる。
やがて、ノートを抱えてふわふわと
教室に入ってきたのは、
涼ちゃんこと、藤澤涼架だった。
涼架『おはよ~!』
涼ちゃんは本当に男子なのに、
女の子みたいなかわいらしい顔立ちで、
ふわっとした笑顔と、明るい声。
男女問わず自然に人が集まってくる、
不思議な雰囲気を持っている。
滉斗『おはよ、涼ちゃん』
涼架『おはよう!』
涼ちゃんと若井はクラスのムードメーカーだ。
彼らと話せる僕が、
少しだけ特別な気持ちになることがある。
でも…若井が涼ちゃんに向ける眼差し――
そばにいるだけで、
どうしようもなく胸がざわざわする。
滉斗『てかさ!サッカー部でこういう事が
あってさ〜!』
他愛のない会話。
それだけで、若井と話せて気持ちが落ち着き、
1日がぱぁっと明るくなる。
涼架『何それ〜!笑』
涼ちゃんが若井に向ける視線。
他の人から見れば、いつも通りの優しい目線。
でも僕は、その目線の中に、
中か違う意味――貴方が好きだという意味が
隠れているようにも見える。
僕の勘違いかもしれないけど、。
涼ちゃんから、若井が好き。
若井から、涼ちゃんが好き。
なんて聞いたことがなかった。
中学生の頃から一緒にいる僕たちでも、
そんなことは聞いたことがなかった。
安心してしまっていたのかもしれない。
僕から、若井も、涼ちゃんも、
離れるつもりなんてない。
特別な関係になるつもりなんてない。
なんて、
僕だけが、信じていたのかもしれない。
クラスのムードメーカーである2人の間に、
笑い合っているその“真ん中”に、
僕は取り残されないように少しだけ無理を
していた。
――本当は、気づいている。
このままずっと“親友”のままでいられたら、
それだけでも本当は幸せなんだ、って。
でも、どこかで自分に嘘をついてることにも
気づいていて。何度もごまかして、
毎日が過ぎていく。
明日も、明後日も、その先も――
この2人の傍にいたい。
だけど、
それが一番難しいことなのかもしれない。
教室の中から差し込む朝日が、
いつもは温かくて優しい光なのに、
今は、今だけは、痛くて、
苦しくて、もうどうしようもなかった。
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【登場人物】
大森元貴…高2男子
部活…軽音楽部(ギターボーカル)
成績…300/500
性格…本当の意味で優しい。
可愛くて綺麗な顔をしている。
自分の気持ちを閉じ込めてまで、
相手に寄り添い、力になる。
若井滉斗のことが好き。
若井滉斗…高2男子
部活…サッカー部(キャプテン)
成績…480/500
性格…イケメンで優しい。
誰にでも平等に接し、
男女の両方に好かれる人気者。
???のことが好き。
藤澤涼架…高2男子
部活…吹奏楽部(ピアノ・フルート担当)
成績…450/500
性格…女の子みたいな可愛らしい顔立ち。
誰にでも優しく、基本怒らない。(怒れない)
ふわふわとしていて、みんなから愛される
憎めない天然男子。
若井滉斗のことが好き。
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新連載でございますっ✨
今回は三角関係の連載になります!🍏
三角関係ならではの言動、気持ちに注目して
物語を書いていきます!
三角関係では想いが届かない方が出てきます。
それは一体誰なのか、また、若井さんの
好きな人は“?”になっています。
若井さんはどちらを選ぶのか。
ぜひ、物語と共に考えていただけたら幸いです!
めっちゃ長編になるかなと思います!
ぜひ三角関係の尊さ、
切なさを体感していただけたら嬉しいです!💞
コメント
1件
楽しみに待ってました!1話目から切なさが伝わってくる(´・ω・`)若井くんは誰が好きなんだろ?三角関係の物語楽しみすぎる((o(。>ω<。)o)次回も楽しみに待ってます(*^^*)